だいすき

　ひとそれぞれ、宝ものとするものは様々。昔の子どもは王冠やビー玉が宝ものだったりした。

　爺婆は孫にもらったラブレターを大切にしている。たどたどしく「じじ　だいすき」と書かれた紙切れが宝物となり、爺はもらった日付を裏に書き込んだ。
婆も「だいすき」のラブレターを何度ももらった。
　毎日、毎日、一日何度もつき合わされている恐竜カルタ。婆はこれにつき合うだけでずいぶん愛されている。そして「だいすき」ラブレター。
　婆のカレンダーの予定欄までもいつの間にか「だいすき｝が書きこまれ、ただ今「だいすき」の大安売り。お蔭で婆はもう恐竜の名前も覚えてしまったよ。
　今夜も恐竜カルタで一勝負。やれやれ。愛されるのは嬉しいものね。
だけど、ホントは４歳児は婆よりはるかに恐竜が好きなんです。
　　＜　ひらり舞う　紙切れひとつも　宝物　＞