黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

長崎さるく #13 聖福寺1

2009-04-28 02:26:22 | 長崎さるく
前回まで長崎市の唐寺のひとつ、宗福寺をアップしたので、
唐寺をもう一つ。
唐人屋敷跡や宗福寺から少し離れた所にある、
聖福寺(しょうふくじ)です。→Mapion
寺の成り立ちとかはWikipediaをご覧ください。



これまで見て来た唐人屋敷跡の御堂や宗福寺のように赤くなく、
以外と慣れ親しんだ感じの寺だなと思って中へ入ってみました。







ところが実際中へ入ってみると、
画像は本殿の大雄宝殿ですが、
瓦の色のせいか沖縄の建物にも見え、
また周囲の植物のせいか東南アジアの寺院にも見え、
やっぱりエキゾチックです。







大雄宝殿の上から伽藍を眺めてみても、
やはり何か違和感があります。
左寄りには育ったパピルスも写っていますが、
そもそも寺院とパピルスの組み合わせ自体、
国内の他の場所ではなかなかないおめにかかれない光景でしょう。







伽藍や寺の雰囲気はともかく、
この聖福寺を訪れたのは唐寺だからというわけではなく、
この赤い施設を見たかったからです。
「惜字亭」(せきじてい)と呼ばれるこの施設は、
既にご存知の方もいるでしょうし、
その形から以前の記事をご覧になった方は思い出されるかもしれませんが、
金爐と呼ばれる、経文などを焼却浄化する施設です。

この惜字亭のことは既に小菅修船場跡の記事で触れました。
蒟蒻煉瓦と呼ばれる長崎で明治期に製造された、
初期の薄い煉瓦によって作られた現存施設として紹介しましたが、
その時は漆喰で塗り固められ蒟蒻煉瓦は見えない
とアップしました。
確かに表向きは奇麗に塗装され蒟蒻煉瓦製であることはわかりません。
しかし炉口から中をのぞいてみると、







なんと蒟蒻煉瓦が露出してるじゃないですか!
画像は炉口から炉内の上方を撮影したものですが、
天井付近の横積みされた煉瓦は明らかに厚さの薄い蒟蒻煉瓦です。
2015年の夏に世界遺産に登録された小菅修船場跡よりも、
2年早く造られた惜字亭。
ここにまた一つ蒟蒻煉瓦の現存遺構を見つける事が出来ました。







これは境内にあった魚板。木魚の原型で、
「魚の形をしているのは、魚は日夜を問わず目を閉じないことから、
修行に精進することの象徴であったためとされる。
そして、魚の腹をたたくことで煩悩を吐き出させる、
という意味合いが有ったともされる。」(Wikipedia)
だそうです。
確かに舌を半出しにして、ゲボっていう感じですね。

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