ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

週末の読書 2冊

2012-05-06 23:13:13 | Weblog
ここ数日、上海暑い。
いま室温を見たら、25度もある。
昼間30度まで上がれば、しょうがないというもの。
隣の公園で毎晩行われるカラオケの音がうるさいけれど、
とりあえず、窓を開けてみることにした。

よくまあ、毎晩飽きずに星空カラオケ大会が開けるものだ。
まったく、周囲の住民の迷惑なんて考えてない。
きっと周囲の住民も、迷惑だなんて思ってないんだろう。
文化の違いだ。

こんなに騒がしくても、読書ができるようになったのは鍛錬の成果。
まず1冊目。
『ブータン―変貌するヒマラヤの仏教王国』(今枝由郎著、大東出版社刊)

ブータンと言ってまず思い出すのは、シッキム王国のこと。
すごく昔の記憶をたどると、たぶん35年くらい前に、
母が、シッキム王国がインドに併合されてしまった話をしていた。
そして、ブータンは大丈夫だろうかと言っていた。
もちろん私はまだすごく幼くて、その意味がよくわからなかったけれど、
すごくショックを受けた記憶がある。

それから長い間、ブータンはヒマラヤの不思議な国という印象だったのだけれど、
チベット仏教に興味をもったとき、当然のことながらブータンにも興味をもった。

ブータンが、神秘的なうえに、すごくいい国とは限らないと思っている。
というのも、私がチベットのラサを訪れた時、
漢族の移住者は威張りくさり、チベット人は抑圧された者独特の顔付きをしていたから、
いくら仏教思想がすばらしくても、軍事大国の前にそれを守るのは難しいと思う。

とはいえ、いまだ外国によって占領されたことにない仏教国が、
どのように周囲の大国と付き合い、国づくりをしていくのかは、たいへん興味深い。
この本は、少し前の情報なので、いまとはかなり違う部分もあるだろうけれど、
やっぱり一度は行ってみたい魅力的な国だ。
トウガラシを野菜としてぼりぼり食べる敬虔な仏教徒なんて、想像するだけでも面白い。
ぜひ、体験せねば。

そして2冊目。
『秘史 密教のすべて』(正木晃編集、新人物往来社刊)

小学生の頃、母に質問した。
仏教なのに、なんで墓があるのか。
輪廻転生するのであれば、どうして○回忌などを行う必要があるのか。
戒名なんて、意味がないんじゃないか。
もし、西方浄土に阿弥陀様がいらして、すべての人を救ってくださるのなら、
なぜ、いま、救ってくれないのか。
そして、最大の謎。なぜお坊さんなのに、奥さんも子どももいて、
お坊さんを世襲していくのか。

当時から、変に理屈っぽかったらしい。

仏教系の幼稚園に通っていたこともあって、
むかしから仏教説話にはよく接したけれど、
接すれば接するほど、現実との矛盾を感じざるを得なかった。

密教は、というか仏教は、戒律と、それを得るための過程の修業が大切。
空海が中国から持って帰ってきた当時の仏教と、チベットの仏教の本を読むようになって、
やっと仏教に対する私の距離感が、落ち着いてきた。

そして、本を読んでも、やはり修業をしていない身としては、
文章だけではわからないことがたくさんあると思う。
密教の本を読んで、一番、私の日常世界に取り込めると思うことは、
とにかく「やってみる」ということ。
やってみなければ、そこになにがあるかはわからない。
たとえ簡単な事務作業でも、
知識として知っていることと、実際に手を動かしてやることは違う。

いま、上海人たちは「知ったかぶり」をする。
海賊版が横行するのも、上辺だけを真似したり、コピーしたりすることを、
「頭がいい」と思っているから。
一歩進んだとしても、「できるヤツを買ってくればいい」と思っている。
そして、「こいつがだめでも、他に作れるヤツがいる。金があれば買える」と。

人が代替可能だと思うこと。
それが共産主義の一番の弊害だと思う。
自分すら代替可能だからこそ、たった1つのものを買いたがって、右往左往している。
いまこそ、中国に仏教は必要だと思うなあ。

せまい

2012-05-06 18:49:34 | Weblog
上海に住んでいる日本人は5万人もいるようなのだけれど、
そして、駐在員のすごくいい生活をしている人や、
その太太さん(奥様連中)とは、接点がないとはいえど、
結構狭い世界なので、ウワサはすぐに広まる。
友だちの友だちは友だち、というケースも多い。

また、上海に来てすぐの人は、日本人にだまされた、ということも多くて、
そのせいか、長くいる人は、口コミの裏をとることも多い。
日本人だからといって、信用してはいけない。
ここは、恥をかきすてられる上海なのだから。

最近よく聞くのが、転職したとき、または独立開業したときに、
もとにいた会社から嫌がらせをされたという体験談。
中国人の経営する会社で働いていた場合、
最後の1ヶ月は給料を払ってもらえなかった、
上海で働けないようにしてやると脅された、という話はザラ。

この、「上海で働けないようにしてやる」というのは、
つまり、就労ビザ(Zビザ)が出ないようにしてやる、という意味なのだけど、
通常、会社が就労ビザでつるんでいるのは上海市某区の労働局。
もし、私たち外国人が就労関係で裁判を起こす場合は、上海市管轄になるから、
実は、脅している奴らよりも上位の組織に訴えることになるので、
彼らも手出しできないため、それは単なる脅しに過ぎないらしい。

ただ、中国企業のことだけじゃなくて、
日本人が経営する会社であっても、
ライバルはつぶせ!とばかりに、辞める際に周囲に圧力をかけられた、という話は多い。

意外と、みんな、心がせまい。

という、日本とは違った意味での働く上でのつらさはあれど、
毎週ネイルを自慢しあう、日本大手企業に勤めている人たちの太太さんには、
生まれ変わってもなれないだろうと思う今日この頃。