豚も杓子も。

私にすれば上出来じゃん!と開き直って、日々新たに生活しています。

2009年06月19日 | Weblog
まゆという名前の劇場。
興味深いお芝居が次々に上演されているその憧れの場所に、先の日曜にやっと足を踏み入れることができました。
大竹しのぶさん、古田新太さん、笹野高史さん、白井晃さん、秋山菜津子さん、そして、中村勘三郎さん。
素晴らしく豪華な面々が大集結しての舞台。もう、お名前の印刷してあるチラシ(フライヤー?)からもオーラが立ち上ってくるようです。


このメンバーが上演するのは、「桜姫」。
歌舞伎の演目を現代劇に焼きなおしたもの、ということでしたが、そもそもその元になる歌舞伎の物語を知りません。ですから、なにがどうなるのか、今ひとつわからないままにただただずっと舞台を見つめておりました。お席は二階の一番奥まったところ。このシアターコクーンという劇場は、それほど大きな会場ではないのですが、縦の空間が広く作られています。まさに繭のような構造で、二階からは見下ろすような場所に舞台が見えます。かといって、舞台が遠いわけではなく、舞台に覆いかぶさるように観客が周りを取り巻いている・・という具合なのです。

まず、舞台には笹野さんとしのぶさんが登場。
笹野さんは、いきなり転ばれたように見えましたがアクシデントだったのでしょうか?何をやっても可笑しい方ですので、計算された演技に見えました。狂言廻し的に、ずっと脇からお芝居を支えていらっしゃいましたが、トランペットもお上手なのですね。(・・・そういえば、上海バンスキングにご出演されておりました。たぶん、拝見しているはずですが。)
大竹しのぶさんは、日本一「ばっかじゃないの・・?」という台詞をキュートにしゃべることのできる女優さんだと敬愛しておりますが、遠目だからというわけではなく本当に可愛い方でした。若い女の子の役なので「今日で、16歳!」という台詞があったのですが、観客席から沸き起こるくすくす笑いは、単なるお約束のようでありました。ちゃんと16歳に見えましたね~、少なくとも私のお席からは!
大きな太鼓を身体の前につけて叩くシーンは、「道」のジェルソミーナを髣髴とさせました。ザンパノは、このメンバーの中では、古田さんかなあ・・。

この「桜姫」は、歌舞伎としても7月に演じられるそうです。二ヶ月にわかって見ることで、より深く勘三郎さんの意図したことが理解できるのかも?
でも、今回は現代劇だけで我慢しましょう。

繭のような空間で、勘三郎さんの企みに加担した。そんな感想を持ちました。面白かったのかそうでなかったのか。斬新な試みは成功していたのか、そうでないのか、むむむむ・・。お芝居の内容を正確に受け止めたという自信はないのですが、俳優さんたちの作る空間を共有した。僭越ながら、同じ場所で一緒にその場の空気を作ったという達成感のような感覚を抱きました。まさに、それはこの劇場の持つ独特な雰囲気に負うことが大きかったのかもしれません。

それから、そうですねえ。
白井晃さん。今まで、どうも律儀な方のような印象だけが強かったのですが、この方の声の素晴らしさには驚かされました。質感も素晴らしいし、何より細部まではっきりと聞き取れました。この方の舞台をもっと見たいものです。
古田新太さん、今回は楽しみながら一歩引いて悪いやつを演じておられたようにみえました。しかしながら、後半に登場されたときの扮装は・・・
先の「蜉蝣峠」の冒頭の衣装にも勝るとも劣らない特筆すべきものでした。場面転換で舞台を去るときにはすっかり脱ぎ捨てて、お美しいおみ足を披露してくださったのは、ひょっとすると古田ファンへのサービスであったのでしょうか?
秋山菜津子さんは、本当に切れ味のある方で、とても好きな女優さんです。劇団☆新感線のゲキシネやDVDで何度も拝見しているので、すっかり御馴染みになっていましたが、生で拝見するのは初めて・・・。。そのことに今、気が付きました。
そして、中村勘三郎さん。
飄々とした子悪党ぶりが、ナイスでした。なんだか中年のチャラ男という風情。衣装は、スペイン系の不良という感じなのに、漂うものはいなせな江戸っ子。不思議ですねえ・・。
カーテンコールでは360度の観客席を上から下まで順に見通しておいででした。観客の一人一人に、軽く会釈しながら暖かいまなざしを注がれていたのが心に残っています。

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