僕はそのとき、当たり前のように仕事を進めていく上で浮かび上がった質問をしようと近付いて行った。
軽口であしらわれるなんて思ってなかった。
理解が足りなかったり、認識がずれていたりして、的外れな疑問や質問を繰り返し投げかけられては誰しも嫌気が差してくるだろう。
やむを得ない。
僕に非がある。
ただ僕は僕なりに一生懸命考えて質問をしたつもりだった。
率直な疑問だった。
業務フロー、手続き処理のフローについて真面目に疑問・質問を投げかけた。
「何言ってるの? 何のためにそうしたいの? いっつもわけの分かんないこと言ってさ。 うんうん、わかった、もうあっち行っといて。」
戯言をあしらう何気ない返しのつもりだったのだろう。
後からよく考えたら、確かに僕の質問は的外れだった。
あんな風にあしらわれても仕方ない。
それにそのあしらい方にしても、もし僕がまともだったら、何ら気に留めたり気に病んだりする必要のないような作法だ。
相手には一切非がないのだ。
わかっている。
自分でも充分にわかっている。
以前と同じようには、うつ病の発症前と同じようには働けないということはよく分かっている。
通院も服薬もしなくなってもう4年以上になるのに、まるっきり普通に日常生活を送っていられるのに、何故か、嘗てと同じようには働けないのだ。
理解できないことが増えたし、忘れっぽくなったし、以前だったら当然気付いたことを気付かなくなっていたり、機転を利かせた立ち回りができなっているんだよ。
理由はわからないけど、うつ病を発症したことと関係があるのかどうかさえそもそもわからないけど、嘗てと同じようには働けないだのということはすごくよく分かるよ。
苛立たせて申し訳ないという気持ちと、分かっていながらできない自分の不甲斐なさに対する怒りと幻滅と無力感。
相手を責めるのは筋違いだし、責めるような言い方はしたくないのだが、信頼していた人から返された軽口が意外に重くて、久し振りに落ちたこの気持ち。
それらが複雑に混じり合って、結構ヘビィに落とされたなあ。
これが何日も続くとよくないんだ。
明日は、どうか気持ちを上向かせるような魚に出会えますように。
The Versatile I Was
万能感に満ちて得意になっていたあの頃の自分には想像できない現実です。