How many rivers must I cross? I don't know...

幸せになりたくて川を渡る・・・

我ら鱒士は刀を納む ~納刀の儀 納竿の儀~

2017-10-04 00:05:13 | 渓流釣り 徒然草

多くのフィールドで禁漁となり、2017年の渓流釣りは終わった。

できれば最後に本流でもう一本いいやつと出会いたかったがそううまくは行かない。
ダムに注ぐ山上の小渓流で、鼻曲がり婚姻色の雄とは二度、優しい顔付きの雌とは一度出会い、僕は今季に自身で幕を引いた。

最後の益田川本流での釣りは言ってみればアンコール、カーテンコールのようなものだと思いながら竿を振った。
大物が獲れたらそれはそれできっと感動的な終幕となったろうが、最後の魚は掌サイズのアマゴだった。



山上の小渓流。
要するに渓である。
川面を覆う樹木とその枝葉。
まだ夏の名残りを見せる葉の色だが、中には少し色づき始めているものもある。
頬を掠めて吹き抜ける風は秋のそれ。
空は澄んで高く、そして渓の水は冷たい。
そんな中で桜色の婚姻色を纏った渓魚たちに出会えば、否応なく漁期の終焉を意識する。
もう、竿を畳むときが近いな。


そして、最終日がやってくる。
明日には、釣り師は皆、竿を置いているのだな。







2017年のシーズン途中で、細山長司さんが逝去した。
我ら延竿遣いの本流師だけでなく、釣法の垣根を越えて尊敬、畏敬、畏怖の念を集めていた、僕らのヒーロー、英雄、カリスマが逝去した。
その細山長司さんを偲び、そして細山さんが手掛けた名竿「刀」を称えて、今季の終幕に詠いたい。


錦繍に先立つ渓の桜見つ 我ら鱒士は刀を納む 

来季を各々の腕と刀を磨いて待っていよう。




安竿を磨きつ春をまつ我は廃刀令下の士なれば


僕に短歌を手解いてくれた◯◯◯◯さんはこう詠んだ。










 



益田川渡りし季節過ぎゆくも いく歳いく度われ渡らむや

そして僕は、最後にアンコールのつもりで竿を振っていた夕暮れ迫る益田の川面にこう詠った。
 

また来季。
そして来季。
僕はいつまで益田川に相手をしてもらうことができるだろうか。





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2017/09/30 飛騨の小渓流 ダム遡上の雌のアマゴ

2017-10-03 01:42:14 | 渓流釣り 釣行記(一般)

先週、先々週と鼻曲がり婚姻色の雄のアマゴを獲ったフィールドへやってきた。
水況を見て今日は厳しいなと感じた。

ポイントを見ると、複数名でのグループ釣行後の模様。
実際に散々ぶっ叩かれたのだろう。
29日は反応は皆無だった。


そして最終日の30日。
この日もずっとアタリはなかったが、目先を変えようとさほど期待もせずに流したブドウ虫に食ってきた。




目測30cmくらいの雌のアマゴ
正直雌が釣れるととても困る。
極力ダメージを与えないようにリリースしたく、出来映えなど気にせずに撮影実施。
勿論体長測定もなし。
なので、大きさは目測なのです。


死なせてしまってはいけない。
この大切な時期に我々は侵入者以外の何者でもない。
アマゴにとっては迷惑なだけだ。
それでも会いたい。
だから少しだけ我慢してくれよというエゴ。
いい気になってはいけない。
謙虚でなければならない。
でも所詮それらはすべて綺麗事なのだ。
釣りなんて、どれだけ格好つけても単なる魚殺しと言われたらそれまでだ。
「キャッチ・アンド・リリース?食わねえのに釣るなんて虐待だろう」と言われたこともある。
結局何が正義か分からなくなる。
これはある種「釣り哲学」のような領域に入ってきたなと思ったものだ。

とにかく、釣りをすること自体が魚にも自然にもダメージやらプレッシャーやらストレスを与えることになる。
突き詰めるとこの世で自分が呼吸をしていること自体が悪だということになりかねない。
自己の存在意義まで考えなくてはならなくなる。
そうまでしなくてもよかろうが、渓魚や渓魚を取り巻く環境のことを思ったら、釣りなんてしなきゃいいんだという考えに至ることはある。
でもそれは耐えられない。
だから自分が正しいと信じた釣り哲学に従うしかない。


それに従って、僕はサッと撮影をすませ、体長も測定せずにその雌のアマゴを流れに返した。




竿:シマノ スーパーゲームベイシスMH 75-80
水中糸:フロロ0.8号
ハリス:フロロ0.6号
鈎:オーナー スーパー山女魚8号
餌:ぶどう虫


2017/09/24 飛騨の小渓流 ダム遡上のアマゴ44cm

2017-10-02 01:27:36 | 渓流釣り 釣行記(一般)

飛騨渓の紅葉前の秋桜は散る橙の薄墨桜


季節が進み山の木々が紅葉する前に、橙色が散りばめられた淡墨桜を見ているような気持ちになる。
飛騨の小渓流で、そんなアマゴに出会いました。



先週41cmのダム遡上のアマゴを獲った同じポイントに僕は降り立った。
葉が少し色づき始めた木々も窺える。
渓を吹き抜ける風は冷ややかで、「秋めいて」どころか「丸っきり秋」だった。
勿論見上げれば少し弱々しい陽の光と高い空。
冬場は雪に閉ざされる山上の鄙びた小渓流は、あまりに寂しくて、竿を出す気も萎えてしまいそうだった。



僕はあまり気乗りしないまま先ずは立ち位置の右手の流れを探る。
反応はない。
左手の流れを探ると、ひと流し目で餌を咥えて持っていくアタリがあった。
そのアタリから最初はイワナかと思ったが、鈎に掛かると直後から首を振ったシャープな引きはアマゴだと確信した。



「鼻曲がり婚姻色の雄」
多くの釣り師がこのような個体を狙っているがなかなか掛からないし、釣れない。
それが、二週続けて僕の竿に掛かり、獲ることができた。
雑誌の表紙に掲載されてもおかしくないほどの立派な雄のアマゴ。
できすぎなような気がして少し怖かった。

















もしかして先週と同じ個体かと思ったが、体長は少し大きく顔も黒い。
そして何よりも朱点が多かった。
去年獲ったランドロック・サクラマス、即ちダム遡上のヤマメには勿論朱点はない。
やっぱり僕はアマゴ域に住む釣り師だな。
アマゴの体表に散る橙色を見ると安心する。
強く、大きくなる遺伝子を繋いで欲しいと願いながら僕は彼を流れに返した。

魚種:ダム遡上のアマゴ(ランドロック・サツキマス)
体長:44cm
竿:シマノ スーパーゲームベイシス MH75-80
水中糸:フロロ0.8号
ハリス:フロロ0.6号
鈎:オーナー スーパー山女魚8号
餌:ミミズ

 

 

 


2017/09/16 飛騨の小渓流 ダム遡上のアマゴ 41cm

2017-10-02 01:08:57 | 渓流釣り 釣行記(一般)

禁漁が迫った9月。
昨シーズンはヤマメ水系でダム遡上の個体を狙った。
今シーズンはアマゴ水系で同じくダム遡上の個体を狙おうと思っていた。
しかし、本流でもう一本いいやつを獲りたくて、午前中は益田川本流で竿を出した。
結果、まったくいいところなし。
朝一番のポイントは風が強くて竿を振っていられなくなり上流へ移動。
何とか風裏を見つけたと思ったが、川面付近は穏やかでも、空中はそれなりに風が吹いていたかな。
なんと、シマノのロングの3番と4番を折ってしまった。
本当にいいところが無い。

ふと思い出した。
最近音信不通になってしまったある人が教えてくれたおまじないのようなものを。
よくないことがあったら試してみてと言われたあのおまじない。
これは、また別の機会に詳しく書きたい。


そのおまじないを実行して、僕は山上の小渓流に向かった。
ダム遡上の個体が一旦は止まるところだろうと踏んだ場所で、狙い通りに食ってきた。
まさか自分にもこんな個体が獲れるとは思っていなくて、手にしたときには何故かおかしくて笑えてきた。
とにかくありがとう。
おまじないのおかげだと思う。

 

 

 

 


魚種:ダム遡上のアマゴ(ランドロック・サツキマス)
体長:41cm
竿:シマノ スーパーゲーム ベイシス MH75-80
水中糸:フロロ0.8号
ハリス:フロロ0.6号
鈎:オーナー スーパー山女魚 8号
餌:ミミズ