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アナフィラキシーが怖い人に知ってほしい真実

2021-05-09 16:24:15 | 日記

下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です

先の見えない状況が続く新型コロナウイルス感染。切り札として期待されているワクチンに関する報道で、見聞きする機会が増えたのが「アナフィラキシー」という言葉だ。ワクチンの副反応の一つだが、どんなメカニズムで症状が起こるのか。専門家に話を聞いた。
アナフィラキシーの症状とは?
「アナフィラキシーとは、アレルギー物質(アレルゲン)が体内に入った後、数分後から十数分以内に起こる過敏反応のことで、皮膚や粘膜、呼吸器や循環器など、複数の場所に同時に症状が表れるのが特徴です。このうち、急な血圧低下や意識障害が起こるものを、アナフィラキシー・ショックと呼びます」
こう話すのは、日本アレルギー学会「アナフィラキシー ガイドライン」を作成したAnaphylaxis対策特別委員会委員長(当時)で、国立病院機構相模原病院臨床研究センター・センター長の海老澤元宏さん。
ガイドラインによると、具体的な症状は発疹(じんましん)や赤み、かゆみ、唇やまぶたの浮腫、腹痛、嘔吐、喘鳴(ぜんめい・呼吸がゼーゼーする)、呼吸困難、血圧低下、意識障害など、実にさまざまだ。
また、さまざまなものが要因となる。
食品では、子どもに多いのが卵や牛乳で、年齢が上がると増えるのが小麦や甲殻類(カニなど)、ソバ、ピーナッツ、ナッツ類など。ハチに刺された後に起こる例もあり、抗菌薬や痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬)、抗がん剤などの医薬品も要因となる。
「医薬品に関しては、主体となる成分でアナフィラキシーが起こる場合もあれば、添加物で起こる場合もある。実際、新型コロナのワクチンのアレルギーでは、添加物で起こっている可能性が高いとされています」(海老澤さん)
ファイザー社のワクチン「コミナティ」やモデルナ社のワクチンが用いているm(メッセンジャー)RNAは、脂質で包まれた形で製品化されているが、この脂質であるポリエチレングリコール(PEG)がアナフィラキシーの要因といわれている。アストラゼネカ社のワクチンにはポリエチレングリコールは使われていないが、類似物質のポリソルベート80が添加物として入っている。
「ポリエチレングリコールは、私たちが身の回りで使っている化粧品やハンドクリームなどに用いられている成分で、安全性は高いです。便秘の治療薬や大腸内視鏡検査の前処置でも利用されています」(海老澤さん)
ファイザー社のワクチン接種における国内での副反応をみると、男性より女性のほうが圧倒的にアナフィラキシーを起こしている。海外の報告でも同じような傾向だ。
「これはあくまでも可能性ですが、男性より女性のほうが化粧品やハンドクリームを使う機会が多い。ポリエチレングリコールの一部は皮膚から吸収されるので、気がつかないうちにこの物質に対する反応性が獲得されていて、そこに高い濃度のポリエチレングリコールがワクチン接種によって入ったため、過敏反応が起こったのではないでしょうか」(海老澤さん)
では、今回のワクチン接種では、どれくらいの頻度でアナフィラキシーが起こっているのだろう。
100万回接種あたり37件は相対的に多い
厚生労働省の資料によると、2月17日から4月22日までにワクチンを接種した回数は推定で251万7045回。このうちアナフィラキシーとして報告された事例は580件。最終的には違ったケースや不明なケースを除くと、全部で94件だった。100万回接種にならすと37件。インフルエンザワクチンなど一般的なワクチン接種によるアナフィラキシーの発生率は、100万接種あたり1.3件なので、相対的に見てコロナワクチンのアナフィラキシーはかなり多い。
だがその一方で、94件の経過を見ると、回復(有害事象が消失、またはもとの状態まで戻っている)が47例、軽快(有害事象は完全に回復していないが、ほぼ消失、またはほぼもとの状態に戻っている)が43例、未回復が3例(有害事象は継続中である)、不明が1例だった。
「これを見ると、ほとんどの方が改善されています。アナフィラキシーにはアドレナリンの筋肉注射がたいへん有効です。起こった段階ですぐに注射すれば重症化せずにすみます。ですから、むやみに怖がらないでほしいですね」(海老澤さん)
新型コロナのワクチンとアナフィラキシーに関して、日本アレルギー学会の浅野浩一郎さんにも取材した。
同学会は先に紹介したアナフィラキシーのガイドラインのほかに、今年3月には適切にワクチン接種を行うための指針「新型コロナウイルスワクチン接種にともなう重度の過敏症(アナフィラキシー等)の管理・診断・治療」を発表している。浅野さんは、指針を作成した同学会COVID-19ワクチンに関するアナウンスメントワーキンググループの委員長で、東海大学医学部内科学系呼吸器内科学教授だ。
「これからワクチン接種の対象となる方にお伝えしたい。アナフィラキシーは初期対応さえ間違えなければ、筋肉痛や倦怠感といったほかの副反応と何ら変わりありません。適切に治療をすれば、経過を見るために入院してもらう必要があるかもしれませんが、後遺症も残らず回復できます」
呼吸器内科医として、現在も神奈川県にある大学病院で多くの新型コロナウイルス感染症の患者を診ている浅野さん。重症化したときの状況はもちろん、治ってもなお患者を苦しませる後遺症の状況をもよく知る。だからこそ、「アナフィラキシーを理由にワクチンを接種しないのは、デメリットが大きすぎる」と話す。
アナフィラキシーは怖い。そんなイメージがわれわれにあるのは、全身に一気に症状が表れ、呼吸が苦しくなったり、意識を失ったりするからだ。だが、浅野さんによると、それは適切な初期対応で何とかなるという。
初期対応とは、具合の悪い人をすぐに見つけ、症状などからアナフィラキシーかどうかを診断し、そのうえでアドレナリンを太ももに注射する、というものだ。必要に応じて生理食塩水の点滴も行っていく。
アナフィラキシーが体に与える影響
では、アナフィラキシーになると全身ではどんなことが起こるのか。
まず、アレルギー反応によって、免疫細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出され、その作用で血液の液体成分である血漿が血管外へ漏れ出る。唇やまぶたが腫れたり、じんましんが出たりするのは、漏れ出た水分が皮膚や粘膜にたまるためだ。重症化すると、大量の血漿が血管外に漏れて血液量が減るため、大量出血したときと同じように血圧低下や意識の低下が起こる。
さらに放出された化学物質の作用により、気管支や腸管を取り囲む筋肉(平滑筋)が収縮する。呼吸が苦しくなるのはのどの粘膜がむくみ、気管支周囲の筋肉が収縮するためだ。腸管周囲の筋肉の収縮は腹痛や下痢の原因となる。
「実は、こうしたすべての症状を改善するのがアドレナリン製剤なのです」(浅野さん)
そのうえで、血管から漏れ出した血漿(水分)はすぐに血管内に戻らないため、減った血液量を補うために生理食塩水を点滴で入れることもある。また、ヒスタミンの作用を抑えるために、ヒスタミンH1受容体拮抗薬などを使うことも。アナフィラキシーより軽いアレルギー反応のときは、これだけですむ例もあるという。
さらに、高血圧や不整脈の治療で使うβ遮断薬には、アドレナリンの作用を阻害する働きがあるため、持病の治療でこうした薬を使っている人は、アドレナリン製剤の効果が十分に表れない場合もある。このときは別の薬(グルカゴン)を点滴して様子を見る。呼吸が苦しいときは酸素吸入をする。
「接種会場が体育館や公民館の場合、グルカゴンや酸素ボンベなどを準備するのは、現実的には難しいでしょう。そのときは近くの医療機関との連携で、初期対応で改善しなかったら速やかに搬送する対応がとられるはずです」(浅野さん)
抗ヒスタミン薬の服用に注意
「予防のために接種前にドラッグストアなどで市販されている抗ヒスタミン薬などを服用すればいいのでは?」と思う人もいるだろう。これについて「もともと持病の治療のために飲んでいる方以外は、事前に服用しないように」と答える。
「抗ヒスタミン薬を飲むと、アナフィラキシーの初期のサインである皮膚や粘膜の症状が表れにくくなる。重症化して呼吸器や循環器に症状が出るまで気付かない恐れがあります」
では、どういう人は気を付けたほうがよく、どういう人はアナフィラキシーを理由にワクチン接種できないのだろうか。
基本的に、接種する前には予防接種を安全に受けられるかどうか、必ず医師が接種する人に問診(予診)を行う。その際に医師が注視する病気の一つが気管支喘息だという。薬でコントロールできていたり、喘息発作がずっと起こっていなかったりする人は問題ないが、薬を使っても症状がコントロールできていない、あるいは喘息発作が頻繁に出る人は、注意が必要のようだ。
「私たちが危惧しているのは、アナフィラキシーが起こるかどうかよりもむしろ、重症化するかどうかです。気管支喘息がアナフィラキシーのリスクとはいえませんが、万が一、アナフィラキシーを発症したときに喘息発作も誘発されて、重症化する恐れが考えられます。ただその場合も接種できないわけではなく、重症化した際の体制が整っていれば接種は大丈夫です」(浅野さん)
同じアレルギーでも、花粉症やアレルギー性鼻炎、食物アレルギー、ラテックスアレルギーなどはリスクになりにくいそうだ。アレルギーを起こす原因物質がそれぞれ花粉やダニ、ハウスダスト、卵、ゼラチン、ゴムであり、ポリエチレングリコールとは違うためだ。
ただし、過去に原因がわからないアナフィラキシーを起こしている人、医薬品でアレルギー反応が起こっている人は要注意とのこと。これに関しては、厚生労働省がホームページ(厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」)で紹介しているので、気になる人はチェックするといいだろう。
新型コロナワクチンの1回目の接種でアナフィラキシーが起きた人は、原則、2回目は打てない。海外では違うメーカーのワクチンを打つ方法も試験的に行われているが、「勧められません」(浅野さん)。軽いアレルギー反応が出た人は注意が必要になるが接種は可能だ。
有効性については、「1回だけの接種では、臨床試験で明らかになった高い有効性は得られないでしょう。ですが、アナフィラキシーが起こったからといって接種したワクチンの有効性が消えるわけではないので、1回分の効果はあると考えられます」(浅野さん)。
心配な人は誰かの付き添いを
最後に、アナフィラキシーが心配な人に対して、浅野さんは「接種をする際に誰かに付き添ってもらうとよい」とアドバイスする。
接種会場が広かったり、接種後の待機者が多かったりすると、会場にいる医療従事者が十分に目配りできないため、症状の発見が遅れる可能性がある。そんなとき付き添いがいればすぐに気付いて、医療従事者を呼んでくれるので安心だ。


鎌田實医師「人生には、ゼロ地点を見つめ直すときが必要だ」

2021-05-09 15:30:00 | 日記

下記の記事はNEWSポストセブンからの借用(コピー)です

人間は、何もないところから生まれ、何もないところへ還る。諏訪中央病院名誉院長の鎌田實医師が、人生における「ゼロ地点」についてつづる。
 * * *
 東日本大震災の後、「だれも一人にしない」「社会から切り離さない」ことを目指して、「よりそいホットライン」が創設された。暮らしの悩み、DV、性暴力、同性愛、自殺、被災後の暮らし、日本で暮らす外国人の悩みなど、多岐の分野にわたって24時間365日、ワンストップで相談に応じている。一日2万5000件の悩みが寄せられる。
 自殺者が年間3万人を超えていた時期があるが、その後、少しずつ減少し2万件台までになった。このよりそいホットラインも貢献しているのではないかと思う。
 ぼくは、創設時からこの評価委員を続けている。最近の相談では、家族の問題が目立つと聞き、なんともつらくなった。新型コロナで「ステイ・ホーム」を余儀なくされるなか、家族が家族から逃れられなくなっているからだ。
 たとえば、自分の思いを、家族はまったく理解してくれないと絶望する。お互いに鬱憤をぶつけ合って、関係がこじれる。配偶者との間で、親子の間で、暴言、暴力、性的暴力がある。家族が家族に牙をむいているのである。
 こじれてしまった関係は、できることなら、いったんゼロにしてしまったほうがいい。しかし、そう簡単にいかないのが家族の関係だ。だからこそ、悩みは深くなる。
6000円で始まった名優の原点
 5年ほど前、BS朝日の「ザ・インタビュー トップランナーの肖像」という番組で、一番大事にしている言葉は何かと問われ、「0から0へ」と色紙に書いた。
 人間生まれてきたときには、みんなゼロだった。そして、死んでいくとき再びゼロになる。どんなに浮き沈みがあったとしても、結局、ゼロで生まれて、ゼロで死んでいく。そう考えると、ぼくは気持ちが楽になる。
 ぼくは、両親が離婚し、1歳10か月のとき、養子に出された。実の父親は再婚し、その後、事業を興して成功した。晩年は、糖尿病になり、さらに脳卒中で倒れた。人の話によると、お世話になったからと、病院に何億円もの寄付をして亡くなったという。
 どんなに財産を築いても、あの世には持っていけない。父が大きな額を寄付して社会貢献をしたのは、死を前にして、ゼロに戻ろうとしたのではないだろうか。
 2009年に96歳で亡くなった俳優の森繁久彌さんは、若かりし頃、満州でアナウンサーをしていた。戦争で負けて引き揚げが始まったとき、今のお金で一人当たり6000円しか持つことができなかったという。
 6000円で戦後の人生をスタートした。だから、死ぬ時も6000円だけ持っていればいいと思っている、と言ったそうだ。だから、子どもたちに財産は残さない、とも。
 明快な生き方は、気持ちがせいせいする。
人生には、ゼロ地点を見つめ直すときが必要だ
 先ほどの「トップランナー」で、ぼくにインタビューしたのは野際陽子さんだった。その2年前に肺がんの手術を受け、抗がん剤治療をしていた。高田馬場にある、ぼくが代表をしているJIM-NETの事務所まで来てくれたが、階段を上るのも大変そうだった。
 それでも、インタビューは鋭く、あたたかく、ぼくがどんな地域医療作りをしてきたか、なぜ国際医療支援を続けているのか、そもそもどんな生い立ちか、深く切り込んできた。
 野際さんといえば、NHKアナウンサーから女優に転身したことで知られる。ドラマ「キイハンター」は、視聴率30%という今では考えられないような、お化け番組。その後も、説得力のある存在感で、息長く活躍した。
 おもしろいなと思ったのは、30歳の時、ソルボンヌ大学に留学していることだ。古典文学を学び、1年ほどして戻ってきた。長い人生のたった1年ではあるが、時間の長さ以上に意味があったのではないかと想像する。パソコンやスマートフォンの作動が遅くなったとき、一度、シャットダウンして再起動すると調子がよくなる。野際さんにとって、ソルボンヌ大学の留学は、そういう再起動のときだったのではないか。
 人生の途中で立ち止まって、自分のゼロ地点を確認したからこそ、その後、階段を上っていくことができるのだ。
すべての世代でコロナ不安が広がっている
 昨年春から続く新型コロナのパンデミック。世界中で生活が一変した。アメリカのインディアナ大学は、18~94歳の米国成人約1000人を調査したところ、32%にうつ症状が見られたと発表している。感染状況はアメリカほど深刻ではないが、日本にも不安は広がっている。
 国立成育医療研究センターの調査では中等度以上のうつ症状を示す子どもが、高校生で30%、中学生で24%、小学4~6年生で15%を占めていることがわかった。なかにはほぼ毎日という頻度で「死んだほうがいい」と思ったり、自傷行為をしようと思ったと答える子どももいるという。
 その保護者にも調査すると、保護者の29%に中等度以上のうつ症状が認められた。全世代に広がるうつ。心の不調は、だれもが抱える問題と考えていい。
この時期をどう捉えたら、不安に流されずにすむだろうか。望んだわけではないのに、コロナによって無理やり、人生の「再起動」をかけられているようなものだ。けれど、強制的にであれ、コロナがゼロ地点を見せてくれているのだと考えれば、ものの見方も変わってくる。
 コロナによって、失ったものがあったとしても、ゼロ地点さえわかっていれば、すべて失ったわけではないことに気付く。
ステイ・ホームは“生まれ変わり”の時間
 ぼく自身も、生活が一変した。年間100本を超す講演がゼロになった。こんなに長い時間、家で過ごすことも、人生で初めてだった。
 まったく不安がないかというと嘘になる。けれど、そんなときに、「ゼロからゼロへ」という考えが、心の支えになった。どうせ死ぬときにはゼロになるのだから、何も恐れることはないのだ。
 この1年、ぼくは八ヶ岳を見ながら、スクワットやかかと落とし、ドローイン歩行など運動を続けてきた。冬には毎朝、起きるとすぐにスキー場へ直行し、3キロのダウンヒルをノンストップで3本滑った。それから家に戻って、13本の連載の原稿書きをしている。そんな修行のような生活を黙々と続けながら、世界がコロナに打ち勝った時、どんな新しい自分になってやろうか、密かに情熱を燃やしている。
【プロフィール】
鎌田實(かまた・みのる)/1948年生まれ。東京医科歯科大学医学部卒業後、長野県の諏訪中央病院に赴任。現在同名誉院長。チェルノブイリの子供たちや福島原発事故被災者たちへの医療支援などにも取り組んでいる。著書に、『人間の値打ち』『忖度バカ』など多数。


48歳シングルマザーが貧困に苦しむ深刻事情

2021-05-09 13:30:00 | 日記

下記の記事は東洋経済オンラインからの借用(コピー)です

バス代もなく面接に行けない状態
「もう手持ちのおカネが1892円しかありません。これからどうなるんだろう……みたいな不安だらけ」
関東地方の田舎町、最寄り駅までバスで30分以上かかった。晴天の下、癒やされる田園風景が広がる。しかし、待ち合わせ場所にやってきた佐藤雅美さん(仮名、48歳)の表情は、どんよりと曇る。表情が緩むことはなかった。バツ2のシングルマザー、26歳の知的障害者の息子と2人暮らし。息子は療育手帳Aをもつ重度障害者である。
「2カ月前まで派遣で介護職をしていました。介助でカラダを壊したのと、職場の環境がヒドかったので辞めました。先月から収入は息子の障害年金だけになってしまって、まったくおカネがなくなって、家にある漫画とかゲームを売った。何千円かになって、なんとか10日間くらいはしのげました。でも、もう売れるものは何もないです。バス代もないので、次の息子の障害年金が入るまで、アルバイトの面接にも行けない状態です」
車は車検代が支払えず、使えない。最寄りの駅にすら行けない状態だ。夕方には息子がデイサービスから帰る。お迎え時間には、必ず立ち会わなければならない。息子は食事や入浴、着替えに見守りが必要だ。1人で留守番はできない。在宅介護が始まってから自由はなくなり、働く時間も限られるようになった。
2人暮らしが始まったのは、2年前。息子は小学校2年生のときに在宅は無理と施設に預け、17年間は施設で暮らした。24歳で卒園。受け入れてくれる施設は見つからず、在宅介護が始まった。つねに見守りが必要な状態で、働けるのはデイサービスに行っている時間だけ。事情を話すとコンビニやスーパーには断られ、介護はやっと見つかった仕事だった。
現在、居住する田舎町には6年前に引っ越した。6年前の2度目の離婚のとき、慰謝料としてマンションをもらう。800万円で売却し、現居住地に中古戸建てを購入した。住宅購入した理由は正社員の仕事に就いたことがなく、保証人が誰もいないから。信用がなく、誰も住居を簡単には貸してくれない。人口3万人を切る小さな町、仕事は少ない。
「現状無職なので、収入は息子の障害年金だけ。働こうにも、短い時間しか働けないので月7万円程度が限界です。光熱費とか携帯などの通信費、あと車の維持費とか毎月支払いがある。息子がよく食べるので食費はかかるし、ギリギリというか明らかにおカネが足りないです。パートは面接に行っても、まず断られます。時間的な事情と年齢でしょう。もう、どう生きていけばいいのかわからない。そんな状態です」
現在の年収は障害年金の96万円だけ。これから在宅介護する佐藤さんが働いても、年収90万円程度が限界だ。このままだと世帯年収は96万円のみ、働けても186万円にしかならない。かなり苦しい生活だ。
母親は奔放な女性だった
佐藤さんは非嫡出子だった。自身もシングル家庭で育つ。ホステスだった母親は奔放な女性で、次々と恋人が代わった。佐藤さんは英語が得意だった。高校卒業後は外国人モデルのマネジャーをしたり、通訳の仕事をした。21歳のときにマスコミ関係の男性と同棲して、妊娠をキッカケに結婚した。22歳のとき、長男が生まれた。
父親が違う姉妹がいる。高校を卒業して実家を出てからは、姉妹とは誰とも交流はない。30歳を過ぎてからは母親とも連絡が途絶えた。
「結婚したばかりの若い頃は、本当に平穏で普通の生活でした。おかしくなったのは息子が3歳のとき、障害が判明してから。息子の父親が障害を認めることができなくて、虐待が止まらなかった。父親は精神的にもおかしくなって働かなくなった。とても一緒にいられるような状態じゃなくなりました。どうしたいの?って聞いたら、『別れて1人になりたい』って」
知的障害を含む広汎性発達障害は、自閉症スペクトラムと呼ばれる。特徴や症状がわかるのは、3歳前後と言われている。
「いつまでも言葉が理解できなかったり、じっとしていることができなかったり、何かおかしいなって。そうしたら知的障害があるって。父親は『なんでうちの子だけが』って泣いていました。初めて授かった子で、男の子で障害が見つかって相当ショックだったんじゃないかな。息子は父親に全然懐かなくて、最終的には首を絞めたりみたいなことになった。もう、ダメだなって思いました」
26歳、離婚した。夫は離婚届にハンコを捺して部屋を出ていった。養育費5万円を子どもが成人するまで支払うという約束で離婚したが、支払われたのは半年だけ。請求しても払うことはなかった。それっきりである。
子育ては本当に手がかかった。誰も助けてくれる人はいない、養育費も振り込まれなくなった。貯金は尽きて家賃も払えない。相談できる人はいない。どんなに不安でも、1人で頑張らなければならない。不穏になって暴れる子どもを眺めながら、もうとてもこのまま生活はできないと思った。
「おカネが尽きちゃったんです。ご飯が食べられなくなったりして、どうにもならなくなって児童相談所に相談した。生活保護を受けたらどうでしょうって提案されて、いろいろ動いた。でも、その過程でもう私が疲れてしまって。ワーカーさんたちとのやり取りで疲れ切りました。無理やり調停して『養育費を払わせるように』みたいな流れになったり。母親に無理やり連絡をとったり。もうエネルギーがなくなってしまって、生活保護は諦めたんです」
福祉に助けてもらいたかったが、慰謝料をもらうことは再び子どもと父親がつながることになる。会わせなければならない。それは避けたかった。
生活保護は諦めた。しばらく児童手当と障害手当、それと深刻な窮状を知った母親からのお小遣い程度の仕送りで生活した。毎月のように電気が止まり、たまに水道も止まった。たびたび食べ物にも困る状況になり、最後の望みとして勧められた母子寮に面接に行った。子どもの重篤な症状を理由に断られた。子どもが7歳のとき、どうにもならなくなって施設に預けることを決めた。
出会い系で自営業の人と知り合い、再婚
29歳。仕事を再開した。英会話学校の非常勤講師をして、月15万円程度の収入で細々と暮らした。子どもが生まれて在宅介護が始まってから、友達はいない、さらに一切遊びにも行けなかった。30代になってから誰かとの出会いを求め、出会い系サイトを頻繁に使うようになった。
「出会い系で、電気関係の自営業の人と知り合って、付き合い始めました。2度目の結婚をして、相手の家に入りました。32歳のときです。相手もバツイチ。仕事をしながらの1人暮らしより、生活は楽になりました。久しぶりの普通の生活でした。しばらく平穏だったけど、旦那の娘がうつ病を患って実家に帰ってきた。連れ子と一緒に暮らすようになってから、おかしくなりました」
夫は妻と死別だった。死別までは本当に平穏な家庭だったようで、連れ子の娘からは憎しみがこもった対応が続いた。
「前の奥さんが亡くなってから、ガタガタと幸せな家庭が崩れたみたいでした。うつ病の娘はすごく不安定で、とにかく私に攻撃的でした。お葬式のとき、『絶対再婚しない』みたいなことを言ったらしくて、娘は裏切られたと、とにかく父親にあたり散らしていた。最終的には家族全員から私に『出ていけ!』みたいな感じになりました」
淋しさと貧困生活から抜け出すため、施設で暮らす子どものことを理解してもらいながら、一緒に暮らしていける人がいればいいなと望みを託した再婚だった。このまま普通の生活が送れればいいと思っていたが、10年間で破綻した。2度目の離婚のとき、42歳だった。
離婚の慰謝料として、所有していたマンションをもらった。家族だけでなく、家具や電化製品がなくなった閑散とした部屋を眺めて、別の土地でゼロからやり直そうと思った。
不動産屋に「前年度の収入がなく、保証人もいない」ことを伝えると、丁重に断られた。数軒まわってすべて同じ返答、賃貸住宅に居住することは無理と知った。マンションを売却して住宅購入することにした。現在の田舎町に引っ越した。
「10万円くらい働けば、息子の年金に頼らずに家計はまわる。田舎だし、年齢のこともあって、仕事はコンビニとかスーパーくらいしかない。しばらくはパートをしてやりくりしていましたが、息子が卒園してからはコンビニでも働けなくなりました」
やっと派遣の介護職を見つけたが…
おととし、卒園した息子が帰ってきた。17年ぶりに同居生活。週5日、デイサービスに通う。昼間10~16時までが働ける時間で、あらゆるパートの面接に行ったが「障害のある子どもがいる」ことを伝えると、どこにも断られる。やっと見つけた仕事が派遣の介護職だった。隣の市のグループホームに非常勤介護職として入職した。
「無資格未経験で高齢者介護を始めました。現場リーダーの方に虐待を強制されるというか、ひどい介護する施設でした。ケアマネの方が出勤しない土日は、本当に最低限のことすらしないというか。自力で立ち上がれない高齢者を寝たまま食事介助とか、トイレに行かせないでオムツのままで交換もしないとか。重度の方は完全に放置する。記録はうそも多く、いろいろサービス提供したと書かされました」
介護施設の人手不足は深刻である。第2次安倍政権以降、景気がよくなって求人倍率が上昇してから、誰も介護職をしたがらなくなった。全国的に圧倒的に人が足りず、最近は高齢者を殺してしまう虐待事件が後を絶たない。佐藤さんが勤めたグループホームは第三者的に確認するケアマネがいないとき、現場が一丸となって徹底的に手を抜く運営がされていた。
介護職は人手不足のうえに給与が安く、社会的な評価も低い。現場職員たちは不満を抱え、それが歪となっている。佐藤さんが強制された「食事は寝たままでいい」という介助は、死に直結する誤嚥事故を起こすのが時間の問題だ。介助をしながら恐ろしくなったという。
「夕飯を16時くらいに終わらせてしまって、本当に放置。私も家族の介護は経験があるので、これでは本当に危険と毎日思っていました。記録する表の仕事と、実際の裏の仕事が決まっていて、利用者さんが命を落とすことになったらどうしようって。不安で仕方なかった。だから、しばらく働いて別の施設に移りました」
昨年末、派遣会社に近隣の特養老人ホームを紹介してもらった。
「今度は男性介護職員のパワハラがすごくて、精神的におかしくなるほどやられました。立場的には下の中年男性ですが、まわりに誰もいなくなると、とにかく細かいことに口を出してきて怒鳴ったりする。現場リーダーとか上の人が来ると、なにも言わなくなる。いなくなると、怒鳴る」
先に入職した中年男性のイジメや横暴は、介護現場のパワハラの典型的なケースだ。数カ月早く入職したという理由で威張り散らす。介護職の離職率の高さは、社会問題になっている。最も多い離職理由は毎年「人間関係」で、イジメに近いパワハラに耐えに耐えたが、結局それが終わることはなかった。深刻な人手不足の中、施設側も問題ある介護職を辞めさせることはできないのだ。
「特養では精神的にもおかしくなったけど、さらにカラダも壊してしまいました。機能が低下された利用者さんが何人もいて、パーキンソン病の方の介助で腰を痛めた。坐骨神経痛って診断されて、腰から膝に痛みが走る。歩けなくなったり、起き上がれなくなったりするまで悪化して辞めました。それが2カ月前です。介護で働いて何もいいことなかった。地獄みたいな世界と思いました」
息子がおカネがないことを察する
「息子が私の不安とか、おカネがまったくないとか、そういうことを察するんです。それは、本当にツライです……」
諦め切った表情のまま、悔しそうにつぶやく。
「息子は食べることが好きな子で、おカネがなくて、いつもどおりに買い物ができないのがわかる。おコメが買えなかったりすると、パニック起こして、繰り返し『おコメ、おコメ』って奇声をあげたり、何度も叫んだり。最近は、そんな状態です」
本当にギリギリの生活だが、持ち家があるので福祉は頼れない。それに車がないと生活できないので、なんとか無職から抜けだしてこのままの生活を維持するしかない。
15時をまわった。もうすぐ、息子がデイサービスから帰る時間だ。佐藤さんは大きくため息をついて、立ち上がった。絶望感がただよう無表情のままあいさつをされて、彼女は自宅のほうへと歩いていった。後ろ姿に、何の希望も見えなかった。


眞子さま結婚問題はもはや“国難”…「幸せになってほしい」と無責任に言えないワケ

2021-05-09 11:00:00 | 日記

下記の記事は現代ビジネスからの借用(コピー)です

3月16日にアメリカで放映されたCBSテレビのインタビュー番組で、ヘンリー王子とメーガン妃が英国王室をなぜ脱したのかを語ったことが話題となっている。
とりわけ2人の間に生まれてくる子供の肌の色についてロイヤルメンバーが口にしたとメーガン妃が明かしたことが、人種差別問題ということで物議をかもした。
人は生まれもっての属性で差別されるべきではないということは、どの国においても常識だ。だがメーガン妃の場合、そうした深刻な問題の発議ではなく、単に口が滑った結果、大問題に発展したという印象が否めない。
というのも、誰がそれを言ったのかがはっきりしない。そもそもその発言を彼らがいつ聞いたのかも、あやふやだ。
その時期についてメーガン妃は「妊娠中」と言い、ヘンリー王子は「妊娠前」と述べて、2人の主張は一致していない。
また長男のアーチーに王子の称号が与えられなかったことへの不満や「生きているのが嫌になって、自殺を考えた」というメーガン妃の発言なども話題になったが、その根拠も明らかではないのだ。
英国王室には王子や王女の称号は国王の男系の孫までに与えられるというルール(将来の国王であるウイリアム王子の3人の子供たちには与えられている)があるため、曾孫のアーチーには適用されない。
それにエリザベス女王の末っ子であるエドワード王子の長男・ジェームスと長女・ルイーズは国王の孫に相違ないが、王子や王女の称号を持っていない。
また結婚直後のメーガン妃が衣装代として約6000万円も浪費してチャールズ王太子を激怒させたことは有名で、アーチーを妊娠していた時には3000万円もかけたベビーシャワーに参加するためにニューヨークを訪れたことが批判された。
このような状態で果たして「生きているのが嫌になって自殺を考えた」というのははなはだ疑問だが、しゃべりすぎて馬脚をあらわしたというのが真相ではないか。
そこには自分が居場所を見つけられなかった英国王室への恨みと、それをバネにしてビッグビジネスを展開してやろうというしたたかさしか見えてこない。
眞子さまご結婚問題の厳しい現実
このような“問題児”を抱える英国王室と同様に、日本の皇室もまた非常に悩ましい問題を抱えている。
2017年9月3日に婚約内定の記者会見を行った秋篠宮家の眞子内親王と国際基督教大学で同級生だった小室圭さんだ。本来なら国家の慶事とすべき皇族の結婚だが、それが暗転したのは小室さんの母の佳代さんに借金問題が発覚したからだ。
他人からお金を借りること自体は悪いことではない。どのような人にも経済的な危機はあるものだ。しかし貸した側と借りた側の言い分が異なるのなら、大きな問題だ。
しかも小室さんは問題が発覚するとさっさとアメリカに留学し、「贈与だった」と主張する書面を一度出したきり帰国していない。秋篠宮文仁殿下が国民に対する説明を求めても、まるっきりなしのつぶてという状態だ。
さらに悪いことは、2020年11月13日に眞子内親王が公表した「お気持ち文書」だ。中でも次の文章は、極めて大きな問題を孕んでいる。
私たちにとっては、お互いこそが幸せな時も不幸せな時も寄り添えるかけがえのない存在であり、結婚は、私たちにとって自分たちの心を守りながら生きていくために必要な選択です。
これは国民に対する説明ではなく、一択を押し付ける挑戦状のようなもので、読む側を不可解にさせ、不愉快な感情しか抱かせない。
だが秋篠宮殿下はこれにすっかり参ってしまったようで、同月30日の誕生日会見での「結婚を認める」発言に繋がっていく。
しかし冒頭で述べたテレビ番組でメーガン妃が見せた「被害者ヅラ」に英国民の多くが騙されなかったように、日本国民もこのような見え見えの「泣き落とし」に騙されるはずもない。
それにしてもこのような状態は皇室にとっても国民にとっても、決して好ましいものではないはずだ。
もはや「国難」ともいえる
そして婚約内定会見から3年半もたった今、事態は何も変わらず膠着したまま。このような眞子内親王の結婚問題はもはや国難ともいえるのではないか。そしてこのような国難を招いた秋篠宮家に、国民の多くは好意を抱かなくなるだろう。
ましてや文仁親王は皇位継承権第1位として第2位の悠仁親王に皇統を繋げていく立場であるが、悠仁親王をサポートすべく長姉がこのような問題を抱えていては、けっして良いはずがない。何より国民にとって、この上ない不幸になる。
憲法はその第1条で、天皇を「日本の象徴であり、日本国民の統合の象徴」として定めるが、過去においても天皇は日本の象徴であり続けた。これからもそれは続くだろうが、それは国民が天皇および皇室に対して変わらぬ敬意を抱いているという前提がなければならない。
しかしながら眞子内親王の結婚問題は、このような国民の敬意を粉砕してしまう危険性を孕んでいる。最も大きな問題は、眞子内親王が皇籍を離脱する際に支給される「一時金」ではないのだ。その根幹には皇室の尊厳と日本国民の誇りがかかっている。
実際に眞子内親王と小室さんとの結婚について週刊朝日が行ったアンケート調査によると、97.6%が「よくないと思う」と答えている。これには1万3057もの回答が寄せられたというから、国民の関心の高さが伺える。
皇統の存続を左右する問題
なおこの問題について、テレビや月刊誌では無責任にも一般国民と同じレベルで「眞子様には幸せになってほしい」と空虚な発言をしたり、「眞子内親王には不幸になる権利がある」といった全く陳腐な説の展開が散見されるが、いずれもバカバカしい限りだ。このような問題については、ただ自己顕示のための逆張りは全くの無用に他ならない。
そもそもこのような問題が発生したその原因は何なのか。それを考えなければ、これからの皇室は存続できないに違いない。なお皇太子の結婚問題として過去にも大正天皇の婚約破棄問題や宮中某重大事件などがあるが、眞子内親王と小室さんの結婚問題は単なる内親王の結婚問題にとどまらない。まさに皇統の存続を左右する問題といえるのだ。
さて皇室ジャーナリストではない筆者はこの度、『眞子内親王の危険な選択』(ビジネス社)を上梓した。それは安っぽい個人主義にとらわれることなく、いまいちど日本人として皇室のあり方を正面から考えたいと思ったからだ。お読みいただいてご参考になれば幸いである。


血糖値よりもHbA1cの指標が重要 腸内環境を整え、良質のタンパク質をたくさん摂って血糖対策を!

2021-05-09 08:30:00 | 日記

下記の記事は日刊ゲンダイデジタルからの借用(コピー)です


糖質と早食いをやめるのが血糖の状態を正常にする早道…
 自粛生活の長期化で、心配されているのが健康診断などで注意されている、あの数値。たとえば、高血糖の状態が続けば糖尿病という可能性は高くなる。糖尿病は予備軍も合わせて約2000万人といわれているのだ。では、どうすればその指標となる、血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を下げることができるのか。「名医が教える『本当に正しい糖尿病の治し方』」の著者で、栗原クリニック東京・日本橋の院長でもある栗原毅医師に聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 運動不足に食生活の乱れと、コロナ禍でそんなライフスタイルが常態化している人も多いのではないだろうか。特に健康診断で指摘され改善を促されても放置したままは要注意である。その一つ、血糖値。高血糖の状態が続けば、糖尿病ということに。そこで予防のために目安となり、重要となるのがHbA1cの値である。判断するには、「血糖値よりもHbA1cの方が重要だ」と栗原院長は言う。どうしてなのか。

「HbA1cは、赤血球のヘモグロビンという色素が何%ぐらい糖と結合しているかを示すもので、過去1〜2カ月の血糖の状態が反映されます。つまり、普段から高血糖の人はHbA1cの値が高くなるわけです。一方、血糖値は検査日の血液の状態しか分かりません。だから、糖尿病がよくなっているかどうかの判断や、自身の血糖の状態を知るうえでもHbA1cを重要視するのが常識になっているのです」

 ちなみに、健康な人のHbA1cは5.5%以下で、5.6%を超えだすと要注意。6.5%を超えると糖尿病と診断されることも。

 栗原院長は肝臓病の専門医として43年の経験を持つ。その経験から、糖尿病と脂肪肝には密接な関係があると話す。

「脂肪肝の患者さんは、ほとんどが糖尿病になっています。脂肪肝の初期の頃はまだ糖尿病を引き起こしていないものの、脂肪肝が進行するに連れてインスリン抵抗性が高まり、糖尿病になってしまうのです」
栗原クリニック東京・日本橋 院長の栗原毅医師
カロリー制限の常識の嘘?
 糖尿病の3大療法といわれるのは、「食事」「運動」「薬物」だが、栗原院長は、「食事」と「運動」を重要視しており、とくに食事の内容と食べ方に血糖対策のカギがあると言う。

「ざるそば、カレー、ステーキを食べると食後血糖値はどれが一番上がりやすいのか。一番はざるそばで次にカレーです。ステーキはいくら食べても、よく噛んでゆっくり食べれば、それほど血糖値は上がりません。しかも、お昼に、ざるそばやカレーを飲み込むような早さで食べているサラリーマンの方々を多く見かけます。おそらく日本人は、昼飯を食べるスピードが世界トップクラスの民族。だから、高血糖の人も多くなってしまう。つまり、血糖値を上げるのは糖質と早食いの2つで、脂質・カロリーは血糖値とはほぼ無関係なのです」

 HbA1cは血糖の平均値を表す数値であるため、毎食後の血糖値が高い状態が増えれば自然とHbA1cの値も上がってしまうのだ。

早食いと糖質食が血糖値スパイクを引き起こす!
 HbA1cを健康な状態にするには、いかに血糖値の値を調節する「インスリン」を使わないで過ごすかがポイントだと栗原院長は話す。

「早食いをすると、インスリンが必要量の4倍出ると言われています。インスリンが出れば血糖値は下がりますが、短時間の血糖の乱高下は、いわゆる血糖値スパイクの状態を引き起こします」

 血糖値スパイクの状態が続けば動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことが心配されるのだ。

 ところで、糖質の多い食べ物とはどんなものなのか。例えば、茶碗1杯のご飯には約55㌘の糖質が含まれており、1人前のざるそばには約48グラムの糖質が含まれている。パンは1個約14グラム、リンゴ1個には約33グラムの果糖が含まれている。こうした糖質の多い食品の摂取を1〜2割減らし、肉や卵、ヨーグルトなどの乳製品、豆腐など、筋肉になりやすい質の高いタンパク質を多く摂ることがHbA1cを健康な状態にする秘訣だと言う。

■肉や卵、ヨーグルトなどの乳製品の摂取がカギ

「肉や卵、乳製品、豆腐など、高タンパク質の食品を摂ることが血糖値対策では重要。筋肉を増やさないと糖尿病は治らないためタンパク質摂取は重要です。筋力低下に陥らないように、タンパク質をしっかり摂りましょう。

 また、最近では腸内環境と血糖の関係性も報告されてきていますので、ヨーグルトは、タンパク質も摂れて、乳酸菌が摂れるのでおすすめの食材です」

 とはいえ、どんなに高タンパクの食品を食べても、早食いしては元も子もないようだ。

「肉でも、よく噛まないと糖質の吸収が過剰になってしまい、タンパク質の吸収が悪くなってしまいます。なるべくインスリンを出さないようにするためにも、よく噛んでゆっくり食べることが大事です。また、よく噛めば、唾液の分泌が良くなり、口の中の自浄作用や抗菌作用が促されます。口腔環境と腸内環境は連動しており、生活習慣病との関係性が高いといわれています」

 肉や卵、ヨーグルトなどの乳製品の摂取を心がけ、よく噛んでゆっくり食べることが、血糖対策の何よりの秘訣なのだ。