恋をすると淋しさが
よく見えてくる
樹は揺れるあなたが
誰を愛そうと
あなたが誰から愛され
ようと
よく見えてくる
樹は揺れるあなたが
誰を愛そうと
あなたが誰から愛され
ようと
離婚の理由の上位に、必ずとい
っていいほど「性格の不一致」
というのがあげられる。そうい
うアンケートや統計の結果を見
るとき、私はとても不思議な気
持ちになる。逆に、人間が二人
いて、性格が一致するというこ
とがあるんだろうか。
一致しないからおもしろいし、
一致しなところに惹かたり、そ
こを認めあったり、あるいは補
ったりするのが恋愛だろう。
「性格の不一致」とはたぶん。
「性格の不一致を愛することが
できなくなった」ということで、
ならば「愛情が冷めた」という
ほうが、よほどわかりやすい。
「性格の不一致」という言葉
は、恋愛という主観的な問題
を、何か客観的な事実におき
かえようとしているようで、
潔くないなあと思う。
人間は、一致していないから
こそ、その隙間を埋めようと
する努力もするし、目には見
えない自分の心を、言葉で伝
えようとするもする。が、悲
しいことに、それが百パーセ
ント伝わるということはほと
んどない。時には、ささいな
行き違いからケンカになった
り、ちょっとした誤解が、とり
かえしのつかない事態を招くこ
とさえもある。
それで愛情が冷めてしまえば、
かえって楽かもしれない。もっと
も辛いのは、愛しあっているのに
何故か行き違ってしまう場合だ。
たとえば、『風と共に去りぬ』の
二人のように。
歌の二つ目の「ひとえ」には
「一重」と「ひとえに」という
意味とが掛けたもの。
ほんのわずかな心のズレが、し
かも思いの深さゆえに、別れを
もたらしてしまう。情けないよ
うなばかばかしいような気分を、
下の句で感じていただきたい。