雨という字を
入れ替えてみよう
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「雨が好き」
雨が振ってきた
雨が胸にポトンと落ちて
ひろがる
ポトン
ポトン
雨の粒が淡く染みになる
そこから広がって
外側に
波紋がひろがる
雨は
とても
やさしい
雨は
わたしを
やわらかくする
雨の粒はつめたくしみこんで
やがて
わたしは
あたたかくなれる
雨が好き
雨は
あのひとのようだから
雨にむかって
なにを思っても
雨は
ただの
雨だから
背広やジャケットをハンガーに
掛けようとして、「わ、意外と大き
いんだな」と思ったり、「あ、イッ
セイの服だったんだ」とブランド
を知ったり、「くんくん、この香り
は何だろう」と匂いをかいだりし
たことがあなたにはありませんか。
脱いだ洋服というのは、その人の
分身のようでもあるし、さらにそ
の裏側というのは、限られた場面
でしか見られないもの、どきどき
するのではないだろうか。
ただ歌は、匂いをかいだりせ
ず、そーっとそーっと彼の世界に
触れようとしている繊細さであり、
彼は、まだまだ未知の人なのだ。
「宇宙」という言葉が、その人の
未知なる部分の深さや大きさであ
り、それと同時に、男性という存
在そのものに対して、不可思議な
ものという思いを抱いている。
二人のあいだには、かなり距離が
あって、それほど親しくなって
いない。まさに手さぐりで、相手
のことを知りはじめたというと
ころだ。が、いっぽうで、歌の
場面は、「密室」だ。
レストランや図書館や公園では、
背広を脱ぐことはあっても、脱ぎ
「捨てる」ことはない。他人の
目のない、プライベートな空間
になってはじめて、
脱ぎ「捨てる」ことはできる。
そして彼は今、くつろいだワイシ
ャツ姿になっているのだ。「何
か相手のテリトリーに一歩踏み
込んだ、という気持ちが、背広
の裏へと指を運ばせた。
恋愛のドラマとしてごくごく初期
の段階のきらめきを・・・・、
その肩にわが影法師触るるまで
歩み寄りふとためらひ止みぬ
何を言ふつもりもなけれど見て
をればワイシャツの背を風は
出入りす
相手の肩に直接触れるのではなく、
自分の影が触れるかどうかという
緊張感。そこで止まってしまう。
嵐のような大恋愛の歌もいいけれ
ど、ワイシャツの背を揺らすそ
よ風ほどの恋の歌もたまには
いいのだ。