
いかれるような、心許ない感覚。
心許ないのに、それは限りなく
純粋で、石のように確かだった。
私たちは一度も、言葉でその
ことを確かめ合ったりしなか
ったけれど、それはそのこと
が、あまりにも明らかな、
いわば自明の理だったから。
好きだと言う必要もないほど、
好きだった。
金 K18 ¥6170
プラチナPT950 ¥4100
【買取値】
佐久市野沢93番地十二町
ケヤキの木の真向かい
アーケード十二町側
~ヤナギダ~
☎0267-62-0220
愛を告げるタイミングは、
むずかしい。
「よし、今日こそは」と思って
いても、相手がちっともそうい
う雰囲気でなかったりすると、
気勢がそがれてしまう。
頭の中で愛の言葉を必死になって
組み立てているところへ
「どうしたの?なんか今日
は元気ないじゃない。そうだ、
ぱーっとカラオケでも行ってみ
る?」なんて言われると、がっ
くり。
逆に夕暮れどきで港なんかがあ
って、あなりにもロマンチック
な状況というのも、また照れく
さい。「いかにも」すぎて、ひる
んでしまう。
さりげなく、さわやかに、いつも
の会話の延長のように伝えれたら
・・・・。その舞台として、花水
木の散歩道というのがいい。
季節は初夏。すらりとした街路樹
に、天からの光を受けとめる手の
ひらのような、白い花(正しくは
苞(ほう)。そこを歩いてゆく二人。
戸外で、動きがる。
僕は心のなかで「この花水木の道が
終わるまでに言おう」と決意する。
こういうときの期限やきっかけと
いうのは、人によってさまざまだ。
「信号が青になったら」だったり
「デザートを食べおわるまでに」
だったり。とにかく何か、自分の
背中をポンと押してくれるような、
えいっと踏み出せるような、そんな
合図。
並木道があれより長かったら、
決意が鈍ってしまったかもしれ
ない。並木道があれより短かっ
たら、勇気を出す時間が足りな
かったかもしれない。
―そこには、愛を告白するとき
の、微妙でデリケートな心情。
また、
性をからめた相聞歌なら、
「風を浴びきりきり舞いの曼珠
沙華(まんじゅしゃげ)抱きた
さはときに逢いたさを超ゆ」
「あたたかいからだのなかに倒
れたいバターナイフがめりこむ
ように」