牧場の日記~競走馬生産者の日々~

競走馬の生産牧場の現状と考察

子馬とえさ

2008年05月16日 | 子馬の育成
子馬も産まれてそろそろ2が月が過ぎようとしている。

子馬も親の飼い桶に顔を突っ込んで親と競いながら食べている。
この頃の親のおっぱいはどの程度役に立っているんでしょうか。

子馬の一日を見ていると、おっぱい飲んで草食べて、ねて、他の子馬と遊んで、おっぱい飲んでねて・・・の繰り返し。

おっぱいを飲む回数もかなり減っているし、草を食べている時間もかなり長くなっている。

子馬の正しい発育のためには、濃厚飼料はあまり多給しないほうがいいらしい。

しかし、親のえさを男馬なら親とけんかしてでも食べる。

もうおっぱいが用を足していないのなら、いっそのこと3ヶ月くらいで離乳しちゃって、的確な量のえさが食べられるようにしたほうがいいのか。

やっぱり、3ヶ月くらいじゃ、まだ自分で必要な量を食べることが不可能なのか。


家でまえ、親の開腹手術のため、3ヶ月くらいで離乳した馬がいたけれど、
とくに問題なく育った。

精神的なものもあるのかもしれないけれど、どの程度の期間親と一緒に暮らすのがいいのかはわからないと思う。

なんにしても、子馬をすくすくと問題なく育てることがこんなに難しいとは。

まず健康に育てないとならないし、足がまっすぐじゃなきゃいけないし、OCDとか骨端症とか、骨疾患のない丈夫な骨格、人に従順に、それでいて早く走る馬にしなくてはいけない。

相反することもあったりして、さじ加減というか、知る人ぞ知る、コツみたいなもんがいっぱい。

それでいて、馬の教科書みたいなものって、あんまりないんですよね。

日々勉強です。

5月なのに

2008年05月14日 | 
5月なのに寒い。今日の朝氷が張っていました。
夜間放牧の1歳馬、かわいそうに。

夜間放牧を始めてから寒い日が続き、さぞかし馬たちも堪えているだろうとおもいきや、案外、馬たちは元気。

馬は寒さに強いって言うのは本当ですね。


しかし、私は寒さに弱い。真冬の極寒は結構大丈夫なんだけど、季節の変わり目の寒さ、寒の戻り、とか、リラ冷え、寒くて泣きそうになります。

家は本場と分場はあるんだけど、山の中にある本場は風もなく穏やかで結構暖かい。
しかし、夜間放牧をしている分場は風が強く気温も低い。

だから夏の暑い時は避暑に来たかのように涼しい。しかし、最近の寒さでは毎日風がビュービュー吹いて襟裳岬のよう・・・。

そろそろ子馬も昼夜放牧始めたいけど、子馬は寒さにどうなんでしょうね。

ひと段落

2008年05月12日 | 
最後のお産も終わり、やっとぐっすり眠れる日がやってきた。

とはいっても季節は5月。夜明けも早くいつの間にか朝起きる時間も4時半になっている。

日の暮れるのも遅いから、仕事が終わるのも7時。夜飼いだ風呂だといってるうちに寝るのは11時。

まあぐっすり眠れるけど、睡眠時間は5時間半。

そりゃあ昼寝もするけど、寝ればすぐ眠っちゃう旦那と違って、私は寝付くのに時間がかかる。それにちょっとでも物音がすると起きてしまう。

神経太くしないと生きていけないよ、なんて、冷たい言葉しかかけられず、牧場の嫁ってつらいなあ、とつくづく思う。

たまには晴れてても、今日は仕事が休みの日というものを作って、しっかりやすみたい、と思う。

でも、牧場で産まれた旦那は休みなく一年中働いていても、苦にならないらしい。

早く冬にならないかなあ・・・。眠いです。

寒い日

2008年05月09日 | 
今日は最高気温が10度をきるらしい。
天馬街道では雪が降ったらしい。
こう気温差が大きいと参ります。

特に今最後のお産の監視で睡眠不足の上、1歳を昼夜放牧にして、子付はまだしていないので、一日の仕事がややこしい。

それに今日は社台へ種付け、診療所も行ったし、旦那は大忙し。

私はいま久しぶりのうちでの自由時間で、かといって、何をしようにも
いきなり時間をもらっても、準備もなにもしてないし、やみくもにパソコンを見ている。

寝ればいいかもしれないけれど、熟睡してるうちに外でお産しちゃったらこまるから、30分おきに放牧地へ見に行かなきゃなんないし。

まだ今年、芋植えてないんだよね。

カソロンもまきに行きたいし、仕事はたまってるんだけど。

家の場合本場と、分場と採草地が全部地続きではないので、いちいちそれぞれのところに行くために14分とか20分とか往復時間を見なくてはならないので、不便。


ぜーんぶ地続きの牧場がうらやましい。

競走成績と繁殖

2008年05月07日 | 繁殖学
うちの今年のあがり馬はとまらない。

この馬は3年間競走馬として生活をしていた。

今までの経験上、競走生活を永くしてきた馬はなかなか繁殖牝馬としての、体になりにくい。

みため、健康そうに太り、けづやも良いのだけれど、排卵しなかったり、発情が来なかったり、きても本格的になりづらい。

オリンピック選手が結婚して女としての生活を始めても、なかなか生理が来なかったりするのと、同じなのでしょうか。

極限まで肉体を鍛えてしまうと、ホルモンの異常をきたし、繁殖としての仕組みがおかしくなってしまうのでしょうか。

今回の馬は10戦しかしていないのでそれほどではないけれど、3年間という数字が牝馬を競走馬にしてしまっていたのでしょう。

とりあえず今日種付けまでこぎつけたので、これで排卵すればきっと・・・。

種馬はどうなんでしょうね。すごく走った馬が種付けに至らないって言うのはあまり聞かないと思うのですが・・・。


大変な一日

2008年05月06日 | 
今日はゴールデンウイークの最終日。

どこへも子供たちを連れて行って上げられなかったので、夜は温泉でも行こうかと思っていたのですが、削蹄が入り、今年産む最後の一頭がやにがついちゃって家を離れられない状態になってしまった。

それに前から痛んでいた私のあばら骨が急に痛みが増し、削蹄で馬を抑えていたら、悪化した。

黙って座っていれば痛くないけれど、動くと時々ずきっと痛む。

痛くても熱が出ても休めないのがこの商売。

何とか我慢して今日を終えました。

TVではゴールデンウイークのUターンラッシュ。

インタビューに答えてる人が

「明日から仕事です。まだまだ休みたいんですけど、しょうがないです。」

といっていた。

休んだんならそれでいいじゃん、文句言うな。っておもいました。

秋に秋のゴールデンウイークを作る話があるそうな。

勘弁してほしいね。そういう発想。

ああ、、さいきん愚痴っぽい。

ゴールデンウイーク・・・いいなあ・・・・。

一人で行うことの限界

2008年05月05日 | 
家は家族だけで牧場を営んでおりますが、家族といっても実質2人。

子育て、家事をしなくてはいけない私は0.5と言うとこでしょうか。

家の旦那は家族だけだと、時間制限なく、思いっきり仕事に打ち込める。

などといっていますが、一人で仕事をすると、時間にルーズになり、かえって仕事がおろそかになっている。

人間が働ける時間は限られている。どんなにがんばっても休まなくては続かないし、仕事ばかりしていると、頭が固くなり、柔軟な考えが持てなくなる。

特に牧場で働いていると、価値観が偏っていく。

出来るだけ、牧場関係以外の人たちと触れ合う環境を時々持ったほうがいいと思う。


とにかく、私は仕事をだらだらし続けることには反対だ。

ある程度の期限をもち、ノルマを作って、できなかったとしても、取り合えずやめて、体を休めたほうがいいと思う。


放牧地の草種

2008年05月03日 | 
去年雑草が生い茂っていた放牧地に客土をして、新しい種をまいた。
客土といっても10センチ以上置き更新に近い。しかし、春になると雑草は地下から這い上がってきた。

除草剤で殺してから種をまいた。

草種はケンタッキーブルーグラス。

全く生えなかった。

以前起して更新したところにケンタッキーを撒いたときも生えなかったので、やめようと反対したけれど、旦那にとってはケンタッキーの草地がどうしてもあきらめられなかったようで、チモシー混撒でまいたところ、チモシーだけ根付いた。

雑草も除草剤では死にきらず、また勢力を伸ばしている。

ケンタッキーが出ず裸地になったところにはどんどんと雑草が芽を出してくる。

全く素人で、悲しくなります。

高級品

2008年05月02日 | 
昨日のニュースで小さな町工場から世界へ、と言う話を見た。

「そこにしかないもの」

そのニュースでは小さな町工場でスポーツカーを作っていた。

みんなが必要なものではないけれど、そこにしかなく、手に入れたいもの。

馬の生産をしていると、どんな馬を作りたいか、と言う概念はときどき忘れ去られる。

走る馬、売れる馬、・・試行錯誤しているうちにただ単に何とか種付け料が払える、ちょっと人気の種馬に、ちょっとブラックタイプがいい馬、という、何の特徴もない、大手の牧場とは勝負にならない馬になってしまう。

うちの牧場ではこんなところに工夫してこういう良さがあります、といった、よそにはない利点があればいいなあ、とニュースを見て思った。

しかし、いつも、毎日の仕事に追われ、その日暮らしのような生産になってる。

もう一度、初めてこの牧場に嫁に来て意気込んでいた頃の精神を取り戻して、
がんばろうと思った。