“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

東北の宿に客戻らず 震災前の8割弱 12年度上半期

2013年01月30日 06時00分00秒 | 臼蔵の呟き
3.11東日本大震災の直接被害を大きく受けた岩手、宮城、福島をふくむ東北6県すべての観光客数の減少が2年たった今も続いています。津波被害を受けた海岸部は、宿泊施設も無く、交通基盤も復旧できていないので、仕方がありません。しかし、日本海側、県央など地域は津波被害はほとんどないので、観光客減少になるような要因はありません。
最大の観光客減少要因は、福島第一原発事故による放射能汚染であると考えてよいと思います。セシウムの半減期が30年ということは事故後、多くの国民、海外で報道され、少し知識がある人であれば、誰でも知っていることです。汚染されて地域に入りたくないーーそう考える人は大半だと思います。

汚染された地域を除染することが必要ですし、実態として、除染により放射線量を減らすことが行政の最大課題です。その除染を進める上でも大量に出る汚染された土壌、草木、廃棄物を保管する場所を一刻も早く、選定し確保することです。協力していただける地域、住民への安全対策、保管の技術的な具体化などを国が行う必要があります。同時に、東京電力に対しても応分の負担をさせるべきです。

日本海側の山形、秋田は汚染がされておらず、太平洋側の岩手、青森県も汚染はされていません。これら地域は、汚染の心配が無いことを広報すべきです。何よりも、今後、最大の地域の安全対策、保障は原子力発電所を廃炉にすることであり、少なくても現在、停止している原子力発電所を再稼動させないことこそが、この地域の復旧・復興にとっての最低限の条件となるのだと思います。宮城県女川原発、青森県の大間、東通りなどの原発の再稼動を行わないことが重要なことです。

<東北の宿に客戻らず 震災前の8割弱 12年度上半期>

 東北6県の2012年度上半期の観光による宿泊者数が、東日本大震災前の8割弱にとどまったことが28日、観光庁の調べで分かった。その後もツアー客などの戻りは鈍く、全国が震災前の水準近くまで回復する中、東北の不振が目立つ。
 東京電力福島第1原発事故の風評被害が解消されていないほか、被災地の宿泊施設不足も要因。飲食や物販など幅広い業種に影響する観光の低迷は震災復興の遅れにつながりかねず、てこ入れが必要だ。
 観光庁の12年4~9月の宿泊旅行統計調査によると、観光目的の宿泊者が半数以上を占める東北6県のホテルや旅館の延べ宿泊者数(速報)は、震災前の10年同期比23.0%減の897万7千人。11年同期と比べても11.0%減った。
 一方、全国は震災後の自粛ムードで一時落ち込んだ。しかし、12年4~9月は10年同期比4.2%減まで持ち直した。
 県別では秋田が10年4~9月比50.8%減、山形が16.6%減、青森は11.6%と、岩手(4.9%減)、宮城(17.5%減)、福島(27.8%減)の被災3県以外も深刻な状況。
 韓国や中国を中心に外国人旅行者も12年4~9月は3万9千人で、10年同期比74.9%減と落ち込んだままだ。
 12年度下半期に入っても、旅行最大手JTBの東北6県へのツアー客数が10~12月は前年同期比で5%増えたが、10年同期比では依然15%減。日本旅行も10~20%減と低迷している。
 日本政策投資銀行東北支店の大橋裕二企画調査課長は「魅力的な観光コースの開発や、防災ツアーによる被災地への見学者誘致など、東北全体で連携を図る必要がある」と話している。
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分権改革、曲がり角 自民、民主色を一掃 知事会に戸惑い

2013年01月29日 15時00分00秒 | 臼蔵の呟き
地方自治の重視は、地方経済の低迷、過疎化などを考慮すれば、当然です。地方自治体は、外交、防衛問題を直接扱わない分だけ、経済問題が大きな比重を占めます。政権が変わるたびに自治他の財政収入、条件が変更されれば、自治体行政の継続性、整合性が維持できないことになります。
東北地方のように東日本大震災で被災した地域は、自治体機能を確立するだけでも汲々としています。市町村は、減少する人口、税収の減少にどう対応すべきかが問われています。一年、一ヶ月でも早い、社会基盤整備を進め、一次産業、一次産業を基礎とした地域経済の再生を進めなければなりません。
自公政権が地方自治体を政争の具にしないように監視し、点検する必要があります。

<分権改革、曲がり角 自民、民主色を一掃 知事会に戸惑い>

 昨年末の政権交代に伴い、地方分権改革が再び転換期を迎えている。民主党が主導した統治機構改革や自治体への権限委譲に対し、自民党が独自路線を打ち出しつつあるからだ。新政権がどんな地域社会の未来図を描くのか、地方側の関心が高まっている。

◎一枚岩ならず
 政策変更を象徴するのが一括交付金化の扱い。民主党の目玉政策だったが、政権に返り咲いた自民党は、従来の「ひも付き補助金」復活の方針を打ち出した。
 地方の裁量権を狭めかねない判断に、自治体からは懸念の声が上がる。奥山恵美子仙台市長は「地域特性に応じた事業展開が制度の趣旨。その理念は今後も生かしてほしい」と注文を付ける。
 ただ、地方側が一括交付金支持で一枚岩とは言い難い。煩雑な手続きや限定的な事業メニューへの反発が強い上、中小自治体は導入そのものに及び腰だからだ。宮城県町村会事務局は「理念には賛同するが、確実に補助金を受けた方が、事業が進む」と複雑な思いを代弁する。
 国は代替制度を検討しているとされるが詳細設計はこれから。東北の自治体関係者は「現場の声を聞いて制度構築してほしい」といっそうの権限拡大に期待を寄せる。

◎知事会戸惑う
 「脱民主」路線は、財政分野にとどまらない。道州制導入を掲げる自民党は、28日招集の通常国会に関連法案を提出する方針を表明した。民主党政権が推進した国の出先機関改革の見直しは避けられず、地方に波紋が広がっている。
 出先機関の受け皿づくりに向け、2010年10月から準備を進めてきた九州地方知事会。積み上げた議論がご破算になりかねない事態に、知事会事務局は「道州制までの段階的な形態として移管を進めてもらいたい」と戸惑いを隠さない。
 出先機関改革に関しては、東北6県も1年以上にわたって対応を協議した経緯がある。「分権施策が選挙向けの道具になっている」と県の担当者。政治的思惑を優先させた政府方針に、地方が振り回される構図が浮かび上がる。
 「地方重視」を掲げて誕生した自民政権だが、早くも自治体との摩擦が生じている。地方公務員の給与削減を求め、地方交付税の圧縮を打ち出したことに地方側が猛反発。自治体の裁量権をないがしろにした手法に、非難が集中している。
 宮城県町村会長の鈴木勝雄利府町長は「政権党に対する自治体の信頼なしに地方分権は進まない。地方の役割、あるべき姿について、両者が共通の認識を持つことが必要だ」と指摘した。

[一括交付金] 11年度に当時の民主党政権が導入した補助制度。国土交通省の道路改修や農林水産省の農地整備、厚生労働省の水道事業など18件の補助金から一定額を拠出させて一本化。18件の補助金に関連した事業なら自治体が自由に使えるようにした。初年度は都道府県が対象で、12年度には政令指定都市分を合わせて計6754億円を配分した。

[国の出先機関改革] 民主党の09年総選挙の政権公約の一つ。複数の都道府県でつくる広域連合などに対し、14年10月以降、国土交通省地方整備局など国の出先機関の業務、職員を移管する計画。昨年11月に当時の民主党政権が法案を閣議決定したが、衆院解散に伴い国会提出は見送った。全国知事会が賛成しているのに対し、市町村側は実施に反発していた。

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安倍カラーは封印 所信表明

2013年01月29日 11時00分00秒 | 臼蔵の呟き
ようやく衆議院本会議が開催されました。17日以降、自民党政権は、経済対策を次々に発表して来ました。国会での議論、点検を受けることでようやく、その内容、彼らの意図が国民の前に明らかになります。当然のことがようやくできる状況になりました。

報じているように、政権党、政府としての考え方、方針が全て開示され、点検、検証される必要がありますが、彼らの狙い(憲法改正、TPP交渉)がいくつか演説で意図的に触れられなかった。このことは自公政権が参議院選挙をにらんで、国民から批判されるような政策課題には触れなかったことを示しています。自公政権の本音を隠して国会審議を行い、国政の方向を隠蔽することになります。このような姑息なやり方で、国会審議を乗り切り、国民をだまし、参議院議員選挙で自公勢力が多数派になった段階で、憲法改正を提起しようとしています。これが彼らの狙う、戦術です。しかし、本当に本性を表すことなく、隠し通せるかが問題です。

安倍氏は二月にアメリカオバマ政権詣でを行います。そのときの手土産に持ってゆくものとしていくつか検討がされています。普天間基地の移設を辺野古沖として行う。TPP交渉への参加、牛肉の輸入条件緩和などが手土産として報道されています。これらどれ1つとっても前民主党政権が国を二分するような議論を行った、政策課題です。何1つ国民的議論が終了し、結論がでていないにもかかわらず、12.16選挙結果で多数派になったから何でもありのような交渉、外交上の約束をすることが許されるはずがありません。

生活保護費の切り下げ、規制緩和、公共事業の拡大、大手企業への支援、原子力エネルギー政策を従来型に回帰させるーーーなどなど、彼らの全ての政策提起、予算編成は多くの国民、普通の生活者と鋭く対立せざるを得ないことは確実です。そして、自公政権、安倍氏の本性が暴かれることは確かです。

<首相所信表明 原発政策に触れず>

 安倍晋三首相は二十八日午後の衆院本会議で、第二次安倍内閣発足後、初の所信表明演説を行う。経済、復興、外交・安全保障、教育の「四大危機」を突破する決意を表明。デフレの克服による経済再生を最大、喫緊の課題と位置付け、金融政策、財政政策、民間投資を成長戦略に向けた「三本の矢」にして「強い経済を取り戻す」と強調する。その一方で、原発の再稼働をはじめとするエネルギー政策には言及しない。
 首相は冒頭で、アルジェリア人質事件に触れ「何の罪もない日本人が犠牲になったことは痛恨の極み。卑劣なテロ行為は断固として非難する」と表明する。
 経済再生では、日銀と2%の物価上昇目標の導入を柱とする共同声明を取り交わしたことについて「政府と日銀がそれぞれの責任で共同声明を実行していくことが重要だ」と指摘。事業規模で二十兆円に上る緊急経済対策によって景気を下支えし、成長力を強化していく考えを示す。
 震災復興では縦割り行政をやめ、復興庁に要望を吸い上げる窓口を一本化するほか、予算増額で「被災地の復興と福島の再生を必ず加速する」と約束する。
 しかし、被災地の現状を「三十二万人が住み慣れたふるさとに戻れないままだ」としながらも、その大きな原因となった原発事故には触れず、原発の再稼働や新規増設をどうするかや、新しいエネルギーの在り方は取り上げない。
<参院選へ経済最優先、安倍カラーは封印 所信表明>
 安倍晋三首相は28日の所信表明演説で、当面の政権運営は経済を最優先する方針を鮮明にした。憲法改正や集団的自衛権の行使容認などの持論には触れず、安倍カラーの濃い課題は封印。7月の参院選までは安全運転に徹し、国民の関心が高い経済政策で成果を上げたい考えだが、再登板後初めての国会演説としては国家論のメッセージが乏しい印象は否めない。
 キーワードは「危機」で、14回登場した。「国家国民のために再び我が身をささげんとする私の決意の源は深き憂国の念にある。危機的な状況にある我が国の現状を正すため、なさなければならない使命がある」。吉田茂元首相以来、64年ぶりの首相再登板を決意した背景として(1)経済(2)東日本大震災からの復興(3)外交・安全保障(4)教育――の4つの危機を挙げた。
 危機突破は「国政に携わるすべての国会議員が担うべき責任」と訴えたのは、参院で野党が多数を握る「ねじれ国会」を乗り切るためでもある。だが野党は参院選をにらみ政権への対決姿勢を強めるとみられ、政策ごとに連携する部分連合を築けるかは見通せない。
 国民には危機突破への共闘を促した。戦後、芦田均元首相が将来を憂う若者に「どうなるだろうかと問いかけるのではなく、自身の手によって運命を開拓するほかに道はない」と諭した言葉を引用。「自らへの誇りと自信を取り戻そう」と国民に呼びかけた。
 所信表明演説は約4700字。2006年の第1次安倍内閣以降で最も短い。経済再生、震災復興、外交・安保の3テーマに絞り込み、ほかの懸案は1カ月ほど後に予定する施政方針演説で見解を示すという。
 06年9月の第1次安倍内閣の所信表明演説は約8300字で「美しい国」をキャッチフレーズとして骨太の国家論を語った。今回は得意分野の外交・安保は深入りせず、環太平洋経済連携協定(TPP)や原発再稼働にも触れなかった。
 「かつて病のために職を辞し、大きな政治的挫折を経験した」と振り返る首相のトラウマは07年7月の参院選大敗。鬼門の参院選を今年7月に控え与党内から反発を招かず、野党に攻撃材料を与えないようにしたため、目指す「国のかたち」は明確には浮かばない。
 財政政策、金融政策、成長戦略を組み合わせた「アベノミクス」は、成長戦略で具体策を実らせなければ、日銀頼みの円安誘導策の批判を免れない。公共事業中心の積極財政は、族議員がはびこる「古い自民党」復活の可能性をはらむ。外交では沖縄県の尖閣諸島をめぐり対立する中国との関係改善の道筋は描けていない。
 危機突破への意気込みが空回りし、国民目線で結果を出さなければ、参院選で厳しい審判が下されるだろう。
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みんな・渡辺代表が維新批判「合流あり得ない」

2013年01月29日 06時00分00秒 | 臼蔵の呟き
みんなの党、維新の会も自民党型政治の枠内の政治です。したがって、コップの中の争いとしかいえません。自公政権の与党連立に入ってないだけであり、憲法改正、TPP交渉参加、自衛隊の国防軍化、社会保障の切捨て、規制緩和路線などは若干の政策的な違いがあっても、枠内での問題という範囲です。

日本政治経済の最大の問題、閉塞感は自民党型政治によってもたらされたわけであり、その自民党型政治、政策からどれだけ変化を作り出せるかが最大の争点です。したがって、自民党型政治構造を維持しながら、デフレ改善、不況克服が出来ないことは1990年以降の政治経済状況が証明しています。しかも、この時期に1000兆円になる国債大量発行を行いました。しかし、一向に経済低迷、デフレ解消は出来ないでいます。
新党が竹の子のような乱立し、自民党政権を有利にしました。自民党政治の補完政党としての政党になるのか、本当に、日本政治経済の再生に寄与する政党になるかが問われているのだと思います。

<みんな・渡辺代表が維新批判「合流あり得ない」>

 みんなの党は27日、東京都内のホテルで党大会を開き、「(今夏の)参院選で、自民、公明両党での過半数を阻止すること」を目標とした2013年の運動方針を採択した。
 目標達成のため、「日本維新の会などとの選挙協力は、基本政策などの一致を前提に1~3人区を中心に調整を進める」と明記した。
 運動方針採択に先立ち、みんなの党の渡辺代表はあいさつで、維新の会との合流について「あり得ない」と否定した。維新の会が先の衆院選前に旧太陽の党と合流したことを理由に挙げ、「政策がまるで分からなくなった。信頼が崩れている」と指摘。衆院選で維新、みんな両党の候補者の競合が28小選挙区に上ったことについても、「自民党を利した。猛省を促したい」と述べるなど、維新批判を繰り返した。
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企業と賃上げ 格差是正を

2013年01月28日 15時00分00秒 | 臼蔵の呟き
デフレ経済が改善出来ない最大の要因は、国内消費が拡大しないことです。その主要因は、少子高齢化で人口減少が継続的に進んでいること。また、大手企業の海外移転に伴い、雇用機会の減少が起きていること。社会保障の費用を国民負担に移行させていること。可処分所得が減少していること。しかも、そのような中で、大手企業が正規雇用を削減し、派遣、非正規労働を拡大し、雇用調整を利益の安全弁としていることに起因しています。

その結果、多くの労働者は年収の低下、年金制度の崩壊などを見て、将来不安を感じて、少ない収入を貯蓄に回さざるを得ない状況があることです。それでも貯蓄が出来ればよいのですが、年収200万―300万世帯では日々の生活を維持することに汲々として、貯蓄は無理、消費の拡大などは夢、また、夢です。この点は、自民党政権、元民主党政権も、知っているのだと思いますが、富裕層、大手企業の立場(資金援助、支持者が富裕層)で政策立案するために、低所得者の生活苦を改善する政策提起は不可能となっています。ここに最大のデフレ対策が成功しない要因があります。

風が吹けば桶屋が儲かると同じような構図が、デフレ対策には当てはまっています。国民の大半を占める層が収入増加、豊かになれば、デフレも改善されるし、税収も拡大することは誰が考えても理解できることです。また、自公政権は生活保護受給者が多いと攻撃しますが、その要因を作っているのは大手企業であり、規制緩和であり、その政策を推進する自民党型政治です。生活保護受給者が減ることで、○兆円の生活保護受給者への予算配分もいくらかは減るはずです。社会保障制度は生きる上での権利であり、安全装置であり、受給者が安心して受給できる環境を整備することが、少子高齢化問題、生活不安解消などに重要です。

<企業と賃上げ 格差縮める任を果たせ>

 安倍政権も企業の潤沢な資金の存在に気づいたのだろう。賃上げした企業の法人税負担を和らげる税制の導入を決めた。企業が貯蓄に励み、設備投資も賃上げも躊躇(ちゅうちょ)していてはデフレ脱却が危うい。
 人件費を増やした企業は、その最大一割を法人税から差し引く。与党の自民、公明両党がまとめた二〇一三年度税制改正大綱に、企業の税負担を緩和する新たな制度が盛り込まれた。企業の手元に積み上がっている巨額の内部留保を眠らせることなく、勤労者に移し替えて内需を盛り上げる。デフレ脱却に対する安倍政権の意図が込められている。
 だが、経団連の春闘方針「経営労働政策委員会報告」は、賃上げを「実施の余地はない」と一蹴、年齢などに応じて給与を引き上げる定期昇給も延期や凍結があり得るとほのめかしている。法人税軽減というニンジンを見せられても、減税が時限措置ゆえに、やすやすとは応じられないと冷淡だ。
 日本の経営者は一九九〇年代からの「失われた二十年」にうろたえ、すっかり内向きになってしまったようだ。分厚い手元資金に安心を求め、賃上げはおろか、設備投資さえためらっている。日銀統計によると、企業が抱える現預金は二百十五兆円にも膨らんだ。
 経済界は「アジアの成長を取り込む」と勇んではいるが、海外子会社からの年三兆円に上る受取配当なども有効に活用しているか疑わしい。日本経済をむしばんでいる原因の一つは、十五~六十四歳の生産年齢人口減少に伴う内需縮小であり、企業はとりわけ消費性向が高い子育て世代にお金を回し、内需拡大に転じることが求められていると言うべきだ。
 経団連の企業行動憲章は「従業員のゆとりと豊かさを実現する」とうたっている。円高などの六重苦を嘆いてばかりいないで、日本再生への自助努力を受け入れる度量をしっかりと示すべきだ。
 オバマ米大統領は二期目の就任演説で、米国の成功は復興しつつある中間層に支えられるべきだ-と訴えた。「なぜ1%が金持ちで、99%が貧乏なのか」を合言葉とした金融の中枢、ウォール街占拠への回答でもある。
 購買力のある中間層の復活は日本も重い課題だ。格差拡大の原因にもなった製造業への派遣就労拡大を法制化したのは、かつての自民党政権ではなかったか。税制で賃上げを促そうとする安倍政権には、中間層復活に向け、経済界に協力を強く求める責務がある。
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