地域の方から「からとり」を頂いた。近年「からとり」は頂く事がなかったので、郷愁にかられ懐かしさに浸った。子供のころ「からとり」は、堆肥のたっぷり入った屋際の苗代の後作として、どの農家でも栽培していた当たり前の光景だった。
晩秋に農家の方たちが、市街地の親戚に「からとり」を自転車に積んで、お歳暮がわりに配っていた事を覚えている。お礼にと一杯ご馳走になって、ほろ酔い加減で帰って来る懐かしい交流もあった。田植え機械になると苗代が消え「からとり」も消えた。今は、庄内の珍味として残っているだけとなってしまった。
「からとり」は里芋の一種で、芋の部分は「ずいき」と呼びじっくり煮込み、とろけるような歯ざわりと濃厚で緻密な食感と、まろやかな味わいは無類なもの。庄内の味として一部に栽培される程度である。
茎は、逆に淡泊であっさりした食味で、シャリシャリした歯ざわりである。また、風通しの良い日陰に茎をつるし干した「芋がら」は、昔ながらの保存食で、お汁の具材や、納豆汁には不可欠な存在である。しかし、いずれにしても調理に手間ひまがかかり、若者には敬遠されるしろものでもある。
フランス料理やイタリア料理がハイカラで、からとり芋はダサイ料理だとは思わないのだが、時代は流れる。
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