現在、黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館、2Fオープンギャラリーでは、
「小森谷 徹 木象嵌展 ~木目が織りなす美の世界(Ⅶ)~」を開催いたしております。
〈木象嵌〉という技法と複雑な色、模様を持つ自然からの贈り物である木という材料を駆使して
私の中の心の風景を視覚に訴える形で表現しました。
小森谷 徹 展覧会キャプションより
小森谷 徹は、「心象」をテーマに独学で学んだ木象嵌技法を駆使しながら、発表活動を行っています。
木象嵌(もくぞうがん)とは、地となる木に、象(かたど)った形や模様を嵌(は)め込む技法。
種類の違う木片を嵌め込み、色や質感の違いにより、形を表現します。
木象嵌の歴史は古く、最古の木象嵌作品は、ツタンカーメンの副葬品であるスツールや箱に見ることができます。
物と物とが隣り合った時の喜びを、みなさんも日常の中で感じるかと思います。
例えば、家庭の中にあるもの。かたいものとやわらかいものという風に自然と組み合わせをしていたりしませんか。
全く同じ質感と組み合わせだと、刺激が少なくてものたりない。だから、組み合わせる。
木象嵌の技法もそんな単純なところから生まれたのではないでしょうか。
特に木は最も身近なものであり、種類によって質感や色味は様々。
それが組み合わさって、嵌め込まれるというだけで、なんだかドキドキしますよね。
小森谷さんの作品は、シンプルです。純粋に木々の持つおもしろさと組み合わせが味わえる作品かと思います。
木々の模様は、時に不思議な見え方をします。
みなさんは、木々の模様に人や雲、風景をみることがありませんか。私にはあります。
自然が織りなすあいまいな形態には、そのような不思議な景色や像をみせる力があるのかもしれません。
小森谷さんは、木々の模様に何を見てとるのでしょうか。
あるいは、心の中の風景を通し、木々の素材を組み合わせているのでしょうか。
木々の模様自体が幻想的。さらに、風景の形が重なっていく。
よく観察すると、模様が途切れているところがあり、意図的に素材を変えているところもあります。
素材の変化を楽しめるようになっています。
そのような変化もあって、鑑賞者は、何とも言えない感覚と景色をみることになります。
あいまいな形に見出すイメージ。それは私が作り出す「心象」です。
ふと、考える時もありますが、あまり気にもせず、日々を過ごしています。
小森谷さんの作品をみていると、そのようなイメージについて考えさせられます。
「心象」を通し、時には、センチメンタルな気分になったりもするわけですが、
「私である」とか、「私がある」ということを再発見します。
そういう意味においては、私自身を作り出す大切な要素とよべなくはない。
みなさんは、小森谷さんの作品を通し、どのように感じるでしょうか。
展示は、10月22日(日)まで。入場無料。
開館時間は、9時~17時30分(入館は、17時まで)。
※作品は販売もいたしております。
黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館
富山県黒部市宇奈月温泉6-3
TEL0765-62-2000 セレネHP