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源頼光公館土蜘作妖怪図 歌川国芳
天保14年1843年
みなもとのよりみつこうやかたつちぐもようかいをなすず うたがわくによし
(この絵では「蜘」の一字で「くも」とよみます)
でました!
日本一の奇想の絵師、歌川国芳の代表作のひとつ。
まあすごいとしか言いようのない、妖怪のオンパレード。
平安時代の武士、源頼光と配下の四天王による土蜘蛛(つちぐも)退治に題をとった作品・・・
とみせかけて実は、贅沢を禁止した天保の改革を痛烈に風刺した作品といわれています。
奥で寝ており、土蜘蛛の作りだす幻影に悩まされているのは源頼光・・・とみせかけて、
12代将軍徳川家慶(いえよし)。国家危急の時に惰眠をむさぼっている姿とか。
その前で主君の危機にそっぽを向いているのは卜部季武(うらべのすえたけ)・・・とみせかけて、
天保の改革の中心人物、老中、水野忠邦(みずのただくに)。
碁を打つ右の人物は、渡辺綱(わたなべのつな)・・・とみせかけて、老中、真田幸貫(さなだゆきつら)
碁の対戦相手は、坂田金時(さかたのきんとき)・・・とみせかけて、老中、堀田正睦(ほったまさよし)
左端の湯のみをもつ人物は、碓井貞光(うすいさだみつ)・・・とみせかけて、老中、土井利位(どいとしつら)
このへんは人物の服の家紋や模様から読み取れるそうです。
そして奥にいる妖怪たちは、庶民の天保の改革への不満をあらわしたもの。
ちょうちん妖怪は富くじ、その下の女性妖怪は町芸者、歯がない妖怪は「歯無し」=「噺」家・・・が、幕府閣僚に
襲いかかっている場面であると、庶民は絵解きを楽しみ、溜飲を下げて大喜びしたそう。
この絵は江戸で大評判となり、そのあまりの評判にびびった
版元は自主的に絵を回収しました。
でも庶民は欲しい! すると、でるのですね、パクリが。
別の版元が、別の絵師に、似た構図で描かせたものが多数出回りましたが、
その版元は幕府からお咎めを受け、絵は発禁処分となったそうです。
・・・と、長く書いてしまいましたが、現在この絵を見ると、これが老中とかはどうでもよくて、やはり見どころは
このユーモアあふれる多彩な妖怪たちでしょう!
不気味なのから、かわいらしいのまでよりどりみどり。
ちなみに、わたしのお気に入りは左端の赤い衣装を着たヤツの額にのってるフクロウみたいなヤツです。
うん? と思ったら、これは飾り?
フクロウ(ミミズク?)が象徴する商売の人の妖怪なのかな?
では次点はこいつ(赤いの・・・木魚?)
これもなかなか(口をあけた目の下にクマがあるヤツ)
番外
じっくり、つぶさにご覧ください!
(この絵の自主回収等の件に関しては 「図説 妖怪画の系譜」30頁にでています。
兵庫県立歴史博物館・京都国際マンガミュージアム編 河出書房新社 2009年初版)
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幕末明治の浮世絵・探訪展
~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~
期 間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)
時 間 9時~17時30分(入館は17時まで)
休館日 毎週火曜日
入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料
会 場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール
富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000