本日ご紹介するのは格調高き作品。
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新皇居於テ正殿憲法発布式之図
安達吟光 明治22年1889年
しんこうきょせいでんにおいて けんぽうはっぷしきのず あだちぎんこう
明治22年2月11日、大日本帝国憲法が発布されます。(施行は翌年11月29日)
帝国憲法は、プロイセン(現在のドイツ)の憲法を参考につくられました。
そもそもは外国との不平等条約を解消しようとする明治政府の努力のひとつであり、
法律的な内容においてなんの問題もありませんでした。
ひらたく言えば、憲法もない非民主的な国とは不平等条約を解消しないという外国のいちゃもんに対し
先達は真面目に熱心に取り組んだのです。
実際、これらの努力が実って、不平等条約は解消されます。
つまり、外国も文句のつけようのない民主的な憲法だったということです。
(いえ、現行の日本国憲法に対して帝国憲法は非民主的な憲法だったと誤解されている方が多いので、念のため)
さて話を絵にもどして・・・
絵の中央、壇上におわすのは明治天皇。その前で憲法をうけとっているのは
第2代総理大臣、黒田清隆(くろだきよたか)。
画面左には皇后陛下もいらっしゃいます。
居並ぶ大官貴顕、紳士淑女。壮麗にして厳粛な雰囲気です。
圧倒されるのは正殿の豪華にしてシックな装飾。
じゅうたん、壁面、天井、シャンデリア・・・どれをとっても落ち着いた華やかさが感じられます。
日本国史上に記念すべきこの日。
画家の絵筆も緊張でふるえたことでしょう・・・と、思いきや解説によれば
画家はこの場面を想像で描いたとか。
列席した人から話を聞いて描いたのか、せめて正殿は(式典後にでも)見せてもらえたのか
(絵師が御所にはいるのは難しそうですね・・・)気になるところですが、間違いなく素晴らしい作品です。
そして絵師の力によって、この場面を日本中の人が見ることができたわけです。
まさに浮世絵の力といっていいでしょう。
そして昨日紹介した明治浮世絵の赤。初期の作品を見るとやや使いすぎの印象もありましたが
この作品では見事に消化され、最も効果的な個所に使われており、画面を華やかにひきしめています。
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幕末明治の浮世絵・探訪展
~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~
期 間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)
時 間 9時~17時30分(入館は17時まで)
休館日 毎週火曜日
入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料
会 場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール
富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000