詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

「悪魔に魂を売った女 沙羅」NO.3~「潮騒」続編

2010年12月10日 | 小説「悪魔に魂を売った女 沙羅」
この小説は、オリジナルストーリーで完全なフィクションです。
WEB公開するのを直前までためらった
通常の作者とはかなり異なるタッチの小説になっております。

ご了承の上、お読みください。

前作のシナリオ風小説「潮騒」の続編になります。
「潮騒」をお読みになっていらっしゃらない方は下記からお願いいたします。

http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/f03e0f2b4a27e49ae5f0485daa09d4a0


「悪魔に魂を売った女 沙羅」第一回目は下記からお願いいたします。

http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/2894361143b5bb47631d6480c47ce838


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第五章 イエロー


朝起きて、いつものように玄関をでると玄関のところに大きな文字で「人殺し」「このマンションから出ていけ」と書かれていた。

前回の猫の死体事件があってから駿が朝刊をとりに行くようにしていた。

そのまま、エレベータに乗り込むと

「1005号室の、秋吉さんと山口さんは結婚もしていないのに一緒に住んでいて、二人でいたいけな何の罪もない少女を殺した人殺しです。」

とエレベータの中の黄色いカレンダーに悪意のあるに黒い文字で書かれていた。


郵便受けはもっとひどいことになっていた。赤、青、黄色、緑のペンキで、それも様々な人間の筆跡で「人殺し」「出て行け」などど書かれてあった。

郵便受けを開けると、一枚の黄色い用紙にブログのURLが書いてあった。

急いで部屋に戻ってアクセスしてみると

「山口小百合の人殺しルーム」という題名のブログが掲載してあり、駿と沙羅がつきあっていたのに、小百合が、狂人のふりをして、沙羅から駿を取り戻し、ナイフで沙羅を脅しつけて、自殺に追い込んだというような内容がぎっしりと詳細に書かれていた。

小百合が、ガラスの破片を持っている鬼のような形相。沙羅のほうには、顔がわからないように目のところは黒くマスキングされていた。「スプラッターが好きな人、マーダー小百合に殺人依頼をどうぞ」と書いてあり、この間新しくしたばかりの小百合の携帯電話番号が記載されていた・・・・・

彼女さえいなければ彼女さえいなければおまえはこんな目にあわずにすんだんだ・・・・

あわててそのブログを削除しようとしてもパスワードもIDもわからないのでだめだった。
「くそ!!」駿は自分の力のなさを嘆き・・・・小百合は自失呆然としていた。



第六章 グレイ

その事件が会った後、小百合と駿はだんだん相手のことが信じられなくなりつつあった。

先日のブログは、管理元のプロバイダーに連絡をし、削除してもらったが、削除しても次々に違うプロバイダーでブログはアップされ、完全ないたちごっこだった。

俊と小百合の喧嘩も絶えず、小百合のブログの内容はどんどんエスカレートし、掲示板、コメント欄には人殺し、人でなしとの書き込みがたくさんあった。

どこで聞きつけたのか、アクセス数はうなぎのぼりでブログのランキング上位に名前があがり、また知らない人達がたくさんアクセスをしてくるという悪循環になっていた。

「小百合・・・このままじゃ俺達二人ともだめになってしまう。少し離れて暮らさないか?」

「駿・・・・駿は、私がこんな状況なのに見捨てて一人で逃げるの?」小百合は、駿の口からでた言葉が信じられなかった。

「でも、ブログの内容はどんどんエスカレートしているし、友人の話だとそれ以外にもあと10くらい小百合になりすましてのブログがあるらしい。ほとんどが、恋人(セフレ)募集と裸の写真。それと人殺しの依頼受けますという内容らしい。それに2chでは、小百合専門のスレまでできているとか・・この頃では、まあ・・・学校でも俺に話かけてくれる奴いなくなったから詳しいことはわからないけど・・・」

「私だって、全員から無視されているわよ・・・・先生にまで・・・・」

というと小百合は、両目からポロポロと涙を流した。

ピンポーン 1階の総合入り口のインターホンがなった。

「はい」と駿がでると

「宅急便です」といわれたので、とりあえず開錠した。

お届けものです。といわれて届いたのは、真っ黒なバラの花束だった。

グレイのメッセージカードには、真っ赤な文字で

一日早い誕生日に。 地獄の使者より

と書いてあった。

「これを依頼した人は誰ですか?」駿は口早に聞いたが、「電話での予約だったので。え・・・・と名前は、松岡沙羅さんって言っていたけど、くぐもったへんな男の人の声でしたよ・・・」

ガシャーン 小百合は、洗っていたお皿を床に落として割ってしまった。

「きゃあぁぁぁぁぁ!!やっぱり生きているのよ!あの女・・・あの女が・・・私を殺しにくるんだわ・・・
いや・・・・いや・・・・!!!!」

小百合は発狂したようになり、自分の髪の毛をかきむしり始めた。その姿はまるで幽霊を見た狂人のようだった。

「あの・・・・僕は帰っていいでしょうか」「あ・・・・すみません。ご苦労様でした」

宅急便屋を帰すと、割れたお皿の破片で血だらけになっている小百合の元に駿は向かった。

その瞬間駿は、昨年のあの血塗られたクリスマスの悪夢を思い出していた


クリスマスイブ・・・そして沙羅の誕生日。
彼女が、手料理を駿に作ってくれる約束だった。それなのに、チャイムがなって出るとそこには小百合が立っていて、無理やり部屋に入ってきた。
そしておもむろに洋服を脱ぎだし、「ここでいますぐ私を松岡さんにしたように抱いて!!」と叫んだ時、駿の部屋のチャイムがなった。

泣き顔で下着姿の小百合が静止する駿を押し切り、玄関にでていった。

沙羅は、驚きを隠せずに、その場で、ケーキ、料理の材料、プレゼントを落としてしまい、呆然と立ち尽くしていた。

小百合「帰って!!今日は、駿は、あなたじゃなく私と、私と・・・・」

駿「沙羅・・・・ごめん。ちょっと取り込んでいて・・・・・」

沙羅「ど・・・・・どういうこと」

ガシャン!!!!

小百合が、駿の携帯電話を窓に投げつけた。

小百合は、ガラスの破片をもつと手首に当てて、こういった。

小百合「駿・・・・今すぐここで私を抱いて・・・・じゃなければ、沙羅さんをこのガラスの破片でさして、私も死ぬわ・・・・・・・・」

駿「ごめん・・・・沙羅・・・・今日は帰ってくれ・・・・小百合は病気なんだ・・・お願いだ」

というと、駿は呆然とした沙羅の前で、ドアをバタンとしめた・・・・・・


小百合は真っ青な顔をしてがたがたと震えていた、しゃがみこみ自分で自分の肩をだき、目は血走り髪はかきむしったせいでボサボサだった。

「小百合・・・・・ごめん。やはりそばにいるよ。こうなったのも全部俺のせいだ・・・・
俺が、沙羅に対して思いやりがなかったから・・・・・だから沙羅は・・・沙羅は・・・・

まさか・・・沙羅は生きているのか?そんな馬鹿な・・・・」

「生きているのよ。松岡さんは、そして私に復讐をしているのよ」



「彼女さえいなければ彼女さえいなければ彼は・・彼は・・・・・・・」
そしてもうひとつの部屋の窓辺でほの白い姿が揺れていた。


****つづく****