恋愛小説「途中下車」は、作者が初めて掲載する、大人の恋愛を描いた小説であり、
文中に一部今までの小説とは違った、男女の恋愛描写が描かれている部分がございますので、ご了承の上お読みください。
また、この物語に関しては、長編小説初挑戦で現在作成途中のため、不定期に掲載される場合があります。
当小説は、作者のオリジナルフィクション物語であり、登場する人物、団体名は実在するものとは全く関係ありません。
☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・
ご訪問ありがとうございます♪
最初からお読みになる方は下記からお願いいたします。
http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/c45e8109514fc86cd817de86c809fa80
☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・゜'★,。・
第四部第二十九章「エピローグ」NO.108
空は今にも泣き出しそうな曇天だった。
プシューという無機質な音をたてて電車のドアが背中の後ろで閉まったあと、無人駅の改札口を出た。
やがて眼下の切り立った断崖絶壁の岩肌に荒々しい波がぶつかっては砕け散る。
「大丈夫か?」
少しおなかのせり出した妻の体を気遣うように、俺はそっと手をとる。
俺と百合菜の結婚式から2年の月日がたっていた。
俺が、百合菜をもう一度取り戻したいと心に決めた場所に
百合菜がどうしても来たいというので、俺達は、あの時一人で乗った汽車にゆられ
今、ここにいる。
「うん。大丈夫。」
「足元、気をつけろよ・・・」
「うん。」
少しの間、俺達は、その大自然が織り成す美しいというよりももっと神々しい
風景に目を奪われていた。
結婚してから、冴場社長の元、俺と百合菜は、会社の経営陣になるべく、経営学をはじめ
多くのことを学び始めた。
そして今、百合菜のおなかの中には、小さな新たな命が宿っている。
高井はその後、SABを辞め、高井工機の若き後継者となった。
それも中森という伴侶と共に・・・・・
高井の計画の最初のほころびのきっかけになった、綾部の姉の写真を
会社に送ったのは、高井に頼まれてその写真を撮った、大学時代のうさんくさい
友人だったらしい。
中森に乱暴をはたらこうとしたグループの中にいて、
警察にしょっぴかれ、高井をうらんで起こした行動らしい。
それ以外にも、高井には、多くの危ない友人、知人がいたらしいが、
そいつらとはすべて手を切って、一から中森と一緒に人生を始めていくことにしたらしい。
俺には、あんなひどいことをされてそれでも、結婚しようと思う中森の気持ちは全く理解できなかったが、高井の祖父と母親の悲劇の話を聞き、情にほだされ一緒になることになったらしい。
誰一人、人間を信じることの出来なかった高井の常にそばにいた中森の存在が、いつの間にか高井の中でも大切な人になっていたようだ。
高井工機では、若き経営者、高井昌樹の辣腕によって、業績も順調に伸びているとのことだった。
そして、来月、また、官公庁の、それも今度はかなりおおがかりなシステム構築のため、SABと高井工機は、共同入札を行うべく、共同プロジェクトを発足させたところだ。
あいかわらず、横柄でいやみなヤツだったが、人間性に丸みを帯びてきたことは
ここのところ一緒に仕事をしていて感じている。
「友香のところにね。」
平らになっている少し大きめの岩に腰掛けながら百合菜が口を開いた。
「あぁ・・・」
「お姉さんから、手紙が届いたんだって。」
あの騒動の後、綾部の姉と、高橋課長は共に行方をくらましたらしい。
社内では「駆け落ち」をしたのではないかというのが、もっぱらの噂だった。
そして、それが原因で、綾部の両親は正式に離婚し、綾部は一人暮らしを始めていた。
「どこかの海辺の町で、今、高橋課長と一緒に暮らしているらしい。
高橋課長のところも、正式に離婚が成立したみたいだし、時期をみて、籍をいれるんだって。」
「そっか・・・・。」
俺には、それ以上の言葉は言えなかった。
人事課長というポストを捨てて、家族を捨ててまで
守り通したかったものとは・・・・・
高橋課長もまた、この巨大な企業のひとつの駒になることに嫌気が差し、会社の敷いた決まったレールから途中下車をしたのかも知れない。
人生は、いくつもの岐路に分かれた複雑な汽車のレールなのかも知れない。
片道切符を握り締め、みな日々走り続けている。
平凡な生活の中にもいろんなことや感情が入り乱れている。
絶望、悲哀、怨恨・・・
負の感情にとらわれたとき、ふっと何もかも投げ出して、敷かれたレールから
降りてしまいたくなるときもある。
あのときの俺も・・・・・
人によっては「途中下車」をして、一旦休んでみるのも必要かも知れない。
でも俺は・・・・
これから先何があろうとも、この守るべき、愛すべき存在である百合菜と子供とともに
たとえ、その道がどんなに険かろうが、決して降りることなく
走り続けていく。
どこまで伸びているかわからない、先の見えないレールの上を・・・・・
~Fin~
筆者の始めての「長編小説」途中下車をお読みいただきました、画面の向こうにいらっしゃる皆様に心より感謝申し上げます。
もしよろしければ、読後の感想などいただけると今後の創作活動の励みとなります。
(ブログのコメ、TwitterのDM、MIXIメッセ等どんな形でも・・)
**あとがき**
「途中下車」は最初の注釈にも書いてある通り、筆者が始めてかいた「大人の恋の物語」であり、創作しながらブログ掲載をするという新たな試みをした作品です。
題名の「途中下車」は大好きな嵐のアルバム曲の題名を使わせていただきました。
実は、最初は、以前掲載した
「歌詞小説~Lotus~嵐物語」
http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/5c36ef6c39d63bde24424a670e77005c
のような歌詞小説にするはずでしたww
ただ、途中から登場人物達が勝手に動き出し、(小説を書いたことのあることなら、経験したことのある方もいらっしゃると思いますが)筆者もエンディングが全く見えない状態で書き続けました。
初めてトライしたサラリーマン小説ですが、途中何度も筆を休めながらですが、
5月の連載開始から8ヶ月たって総ページ数、127ページという私にとっては
かなりのボリュームの物語となりました。
本作品を通して、お読みくださった皆様の心に何かが残ってくれれば
うれしく思います。
こんな私のつたない文章に今までお付き合いいただき本当にありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
尾崎詩絵里~★シェリー★~
追伸:来週からまた、新しい小説がスタートします。
是非遊びに来てください♪
☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・
過去の小説一覧
http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/7a68ca5ccfad81ab3cc156c0c126dc98
よければこちらにも遊びにいらしてください♪
☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・゜'★,。・
小説の感想、ポエムのリクエスト、感想もお待ちしております。
よければ、気軽にコメ下さい。
(以前、H系及び中傷コメがあったため、承認制になっております。)
◆よければポチをお願いいたします↓ 皆様の応援が、ブログの更新の励みになります☆ 是非よろしくお願いします!!◆
にほんブログ村
アラシゴト中心の日々つぶやきブログもよろしく!
★シェリー★の輝きの小部屋~chez moi~
http://blog.goo.ne.jp/shelly0324
☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・
文中に一部今までの小説とは違った、男女の恋愛描写が描かれている部分がございますので、ご了承の上お読みください。
また、この物語に関しては、長編小説初挑戦で現在作成途中のため、不定期に掲載される場合があります。
当小説は、作者のオリジナルフィクション物語であり、登場する人物、団体名は実在するものとは全く関係ありません。
☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・
ご訪問ありがとうございます♪
最初からお読みになる方は下記からお願いいたします。
http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/c45e8109514fc86cd817de86c809fa80
☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・゜'★,。・
第四部第二十九章「エピローグ」NO.108
空は今にも泣き出しそうな曇天だった。
プシューという無機質な音をたてて電車のドアが背中の後ろで閉まったあと、無人駅の改札口を出た。
やがて眼下の切り立った断崖絶壁の岩肌に荒々しい波がぶつかっては砕け散る。
「大丈夫か?」
少しおなかのせり出した妻の体を気遣うように、俺はそっと手をとる。
俺と百合菜の結婚式から2年の月日がたっていた。
俺が、百合菜をもう一度取り戻したいと心に決めた場所に
百合菜がどうしても来たいというので、俺達は、あの時一人で乗った汽車にゆられ
今、ここにいる。
「うん。大丈夫。」
「足元、気をつけろよ・・・」
「うん。」
少しの間、俺達は、その大自然が織り成す美しいというよりももっと神々しい
風景に目を奪われていた。
結婚してから、冴場社長の元、俺と百合菜は、会社の経営陣になるべく、経営学をはじめ
多くのことを学び始めた。
そして今、百合菜のおなかの中には、小さな新たな命が宿っている。
高井はその後、SABを辞め、高井工機の若き後継者となった。
それも中森という伴侶と共に・・・・・
高井の計画の最初のほころびのきっかけになった、綾部の姉の写真を
会社に送ったのは、高井に頼まれてその写真を撮った、大学時代のうさんくさい
友人だったらしい。
中森に乱暴をはたらこうとしたグループの中にいて、
警察にしょっぴかれ、高井をうらんで起こした行動らしい。
それ以外にも、高井には、多くの危ない友人、知人がいたらしいが、
そいつらとはすべて手を切って、一から中森と一緒に人生を始めていくことにしたらしい。
俺には、あんなひどいことをされてそれでも、結婚しようと思う中森の気持ちは全く理解できなかったが、高井の祖父と母親の悲劇の話を聞き、情にほだされ一緒になることになったらしい。
誰一人、人間を信じることの出来なかった高井の常にそばにいた中森の存在が、いつの間にか高井の中でも大切な人になっていたようだ。
高井工機では、若き経営者、高井昌樹の辣腕によって、業績も順調に伸びているとのことだった。
そして、来月、また、官公庁の、それも今度はかなりおおがかりなシステム構築のため、SABと高井工機は、共同入札を行うべく、共同プロジェクトを発足させたところだ。
あいかわらず、横柄でいやみなヤツだったが、人間性に丸みを帯びてきたことは
ここのところ一緒に仕事をしていて感じている。
「友香のところにね。」
平らになっている少し大きめの岩に腰掛けながら百合菜が口を開いた。
「あぁ・・・」
「お姉さんから、手紙が届いたんだって。」
あの騒動の後、綾部の姉と、高橋課長は共に行方をくらましたらしい。
社内では「駆け落ち」をしたのではないかというのが、もっぱらの噂だった。
そして、それが原因で、綾部の両親は正式に離婚し、綾部は一人暮らしを始めていた。
「どこかの海辺の町で、今、高橋課長と一緒に暮らしているらしい。
高橋課長のところも、正式に離婚が成立したみたいだし、時期をみて、籍をいれるんだって。」
「そっか・・・・。」
俺には、それ以上の言葉は言えなかった。
人事課長というポストを捨てて、家族を捨ててまで
守り通したかったものとは・・・・・
高橋課長もまた、この巨大な企業のひとつの駒になることに嫌気が差し、会社の敷いた決まったレールから途中下車をしたのかも知れない。
人生は、いくつもの岐路に分かれた複雑な汽車のレールなのかも知れない。
片道切符を握り締め、みな日々走り続けている。
平凡な生活の中にもいろんなことや感情が入り乱れている。
絶望、悲哀、怨恨・・・
負の感情にとらわれたとき、ふっと何もかも投げ出して、敷かれたレールから
降りてしまいたくなるときもある。
あのときの俺も・・・・・
人によっては「途中下車」をして、一旦休んでみるのも必要かも知れない。
でも俺は・・・・
これから先何があろうとも、この守るべき、愛すべき存在である百合菜と子供とともに
たとえ、その道がどんなに険かろうが、決して降りることなく
走り続けていく。
どこまで伸びているかわからない、先の見えないレールの上を・・・・・
~Fin~
筆者の始めての「長編小説」途中下車をお読みいただきました、画面の向こうにいらっしゃる皆様に心より感謝申し上げます。
もしよろしければ、読後の感想などいただけると今後の創作活動の励みとなります。
(ブログのコメ、TwitterのDM、MIXIメッセ等どんな形でも・・)
**あとがき**
「途中下車」は最初の注釈にも書いてある通り、筆者が始めてかいた「大人の恋の物語」であり、創作しながらブログ掲載をするという新たな試みをした作品です。
題名の「途中下車」は大好きな嵐のアルバム曲の題名を使わせていただきました。
実は、最初は、以前掲載した
「歌詞小説~Lotus~嵐物語」
http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/5c36ef6c39d63bde24424a670e77005c
のような歌詞小説にするはずでしたww
ただ、途中から登場人物達が勝手に動き出し、(小説を書いたことのあることなら、経験したことのある方もいらっしゃると思いますが)筆者もエンディングが全く見えない状態で書き続けました。
初めてトライしたサラリーマン小説ですが、途中何度も筆を休めながらですが、
5月の連載開始から8ヶ月たって総ページ数、127ページという私にとっては
かなりのボリュームの物語となりました。
本作品を通して、お読みくださった皆様の心に何かが残ってくれれば
うれしく思います。
こんな私のつたない文章に今までお付き合いいただき本当にありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
尾崎詩絵里~★シェリー★~
追伸:来週からまた、新しい小説がスタートします。
是非遊びに来てください♪
☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・
過去の小説一覧
http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/7a68ca5ccfad81ab3cc156c0c126dc98
よければこちらにも遊びにいらしてください♪
☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・゜'★,。・
小説の感想、ポエムのリクエスト、感想もお待ちしております。
よければ、気軽にコメ下さい。
(以前、H系及び中傷コメがあったため、承認制になっております。)
◆よければポチをお願いいたします↓ 皆様の応援が、ブログの更新の励みになります☆ 是非よろしくお願いします!!◆

アラシゴト中心の日々つぶやきブログもよろしく!
★シェリー★の輝きの小部屋~chez moi~
http://blog.goo.ne.jp/shelly0324
☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・'★,。・:*:・゜'☆,。・:*:・゜'★,。・:*:・