一方、後藤小尉と桂木少尉は眠れぬ夜を過ごしていた。
後藤 「どうした、眠れんのか」
桂木 「ああ、もったいなくてな。もうすぐ腐るほど眠れるからな」
後藤 「そうだな」
佐伯 「志乃さん、お願いがあるんだ」
志乃 「なんですよ、こんな時間に」
佐伯 「お願いです。背中を貸してください」
その心情を察し慟哭する志乃。
時間はあらゆる感情を押し流してゆく。
出撃当日。
今中司令 「諸君の任務は此処で改めて言うべくもない。戦局はかかる必死の攻撃を行わなければ国家の興隆が期しがたいところまで来ているのである。物量には物量を持っての戦いは残念ながら我が国力の至らざるところである。物量の敵を倒すには一機よく一艦を葬るこの特攻の作戦しかありえないのである。諸氏の健闘は後へ続く者の模範となる。諸氏の精神は脈々と受け継がれ後から後から諸君に続く。また我々も続く。身体は死しても霊に生きよ。個人に死して国家に生きよ。現代に死して永遠に生きよ」
払暁の出撃の時が迫ってきた。
続く。
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