序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

痩せた台詞、豊かな台詞。

2015-04-30 16:56:30 | 覗かれる人生芝居
世の中はゴールデンウイークを迎えました。

今の劇団芝居屋の状況から言わせれば公演一か月前を迎えたという事でしょう。

役者達の自分創りの時間は過ぎ、作品の中での役割も明確になり、人との関係も網羅できなければならない時期です。

その意味で言えば大変順調に稽古は進んでいると言っても良いでしょう。

しかし、ここからが役者の欲の見せどころなのです。

劇団芝居屋の目指す現代の世話物としての「覗かれる人生芝居」が要求する役者の在り方から言えば、先に上げた自分創り、明確な役割、関係性の構築の後に、その作品の日常を生きる人間としての存在を確立する必要があります。

これは違う言い方をするならば、あらゆる芝居的(演ずる)なものを削いで行けるかにかかっています。

例えば台詞を例に挙げてみましょう。

劇団芝居屋に於いて目指す台詞の在り方とは、ずばり台詞の肉声化です。

肉声化は曖昧な所から発して出来るモノではありません。

肉声化された台詞の在り方を私たちは「豊かな台詞」と言ってます。

これは役としての個の追及の中から、外からではなく内側からでる、登場人物としてこうとしてしか言えない言葉を生み出す事なのです。

今まさに私達が次の段階への歩み出す為に必要な事は、自分の現在の「痩せた台詞」を自覚する事なのです。

「痩せた台詞」とは外側から発する台詞を肉声化から遠ざけるものを羽織った台詞という事になります。

曰く、役の印象という「曖昧な」ものから発したものであり、役割という縛りの中で硬直化したものであり、増してセリフの言い方などのに惑われて発する台詞的なもの、この様なものを排除していかなければ肉声への道は進むことが出来ないのです。

これからの稽古はここに力を傾注して行われるでしょう。

これは優しい道ではありません。

でもその先には真にオリジナリティーをもった人間が立ち上がって来るのです。



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