序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

「民宿物語・糸口」大吉オヤジの独り言10

2010-12-08 22:34:36 | うんちく・小ネタ

勝己君も意地悪や悪意で二人の仲を反対していた訳じゃない。

とにかく真面目なんだよ。生真面目で融通の利かない所は親父の勝利と瓜二つだ。
自分は親父に代わって家族を守るんだって気負っていたんだ。だがね、その想いの伝え方が上手くなかったんだな。

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それに若い時はそんなものかもしれねえが、駄目って言葉が、反対に力になる時があるからね。

まあ、妹の方もやり方が性急過ぎたよね。

まあ、両方とも若いって事さ。

でも、俺には勝己君の気持ちがよくわかるんだ。

俺も娘を去年嫁にやったからね。そん時初めて俺のカカアの親父さんもこんな気持ちだったんだなってわかったんだよ。いや、慎重になるもんだよ、わが娘の相手選びってのはね。

_ck10038 どこの馬の骨が分からない野郎に娘はやれないもんさ。

そう、心配なんだよ。

でも、それがうまく現せないから、専制君主みたいなものいいになったんだ。

俺が色々詳しく勝己君の親父の勝利の事しってるから、勝己君も俺と親父の勝利との関係に興味を持ったらしい。

今から四十年前の学生時代のポン友だったって事を教えてやった。

そしたら、なんだか素直になっちゃった。

しみじみ言ったよ。

誰にも言った事はなかったが親父を尊敬してるってね。

腹を割って話してくれた。

こんな俺だから、琴ちゃんもこの民宿にみんなを集めたんだろうな。

琴ちゃんも勝己君の事が心配で顔出した。

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琴ちゃん、自分達が駆け落ちをして、結局親の監視下で暮らす事になったんだが、その後えらく苦労したんだそうだ。

だから子供を自分の二の舞にはさせたくなくて、駆け落ちなんて何ですか見たいな顔して子供達を規律にやかましく育てたらしい。

その模範生が勝己くんさ。

そこへ親父の勝利が亡くなって、会社も家庭での親父代わりをしなくちゃならなくなった。そりゃ気負うぜ。

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だから、本当は自分達もそんな半端な時代があっただって事を、恥ずかしい昔の自分をさらけ出そうと、琴ちゃんかんがえたんだね。

それでここへ来たんだ。

勝己君、両親の過去を知ってかなりショックだったみたいだったが、何とか納得したようだった。

でもね、勝己君もその真面目な律儀さが自分を苦しめていたんだ。

勝己君にも彼女がいるんだそうだが、それが所謂水商売の人で、これが勝己の相手選びの障害になって、琴ちゃんにも言い出せないいたらしい。

そんな事も含めてみんなあからさまにして、出直したいとおもったんだろうな。

_ck10120 勝己君の途端に素直になった。

それはそうと、琴ちゃんが来てくれたお蔭で、俺も四十年前の若やいだ頃の思い出が蘇っちゃって、なんか気分が良くなっちゃった。

四十年前の学生の頃、勝利と琴ちゃんと三人でよく三軒茶屋の玉電の駅の近くのゴーゴークラブで踊ったもんだ。

それ思い出して音楽を探して掛けたんだ。

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そうしたらその音楽聴いてみんな出てきちゃった。

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こりゃいい機会よ。

強引にみんなを踊りの輪に誘いこみ、ワサワサしている間に勝己君と二人を一緒にダンスさせて和解させようって作戦よ。

丁度、港祭りのフィナーレの花火大会が始まって、照明は最高だ。

俺は大声で言ったぜ「エベバリーレッツダンス!!」ってね。

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いや、みんな乗った乗った。大乗りさ。

_ck10152   

って事があってさ。その日は無事に済んだ。あとでどうなったかは知らないが・・・

まあ、多分上手くいったんだろう。

翌朝、皆機嫌よく帰っていった。

_ck27174 また今日も新しい客がくるんだろう。

今日も相変わらず娘は口やかましい。

まったく誰に誰に似たんだか・・・

Minnsyukumonogatari_024

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