兎に角、琴枝ちゃんの長男坊が頑固なんだそうだ。まあ、遺伝だな、オヤジの勝利もそうだったから。
まあ、俺も何となく立会人みたいな立場になってこの経緯を聞いたんだけどね。
勝己君の気持ちも分かるんだよな。
若い内に父親亡くしてさ、まあ社会的には小とはいえ、いきなり社長だ。
家族に対しては、死んだ親父の教えもあり、自分が父親がわりだと気負いに気負いまくっている。
それなのに妹は、少し待てという約束を破って駆け落ちさ。こりゃ、怒るよね。
いや、俺も若気の至りっていうのを結構やってきた口だから、若い二人の気持ちも分かるんだけどさ。
まあ、こういう時は嵐の過ぎるのを待ってね、ハイハイ言ってりゃよかったんだが、気弱そうな光男君って妹の玲子さんの相手が、頑張っちゃった。
いきなり豹変しちゃってよ。「僕に玲子さんをください」なんて始めちゃった。
多分、いままで勝己君に逆らった事なんかなかったんだろうね。
窮鼠猫を咬むってやつさ。
勝己君驚いちゃった。
今まで思いを二人してぶちまけて勝己君に迫ったもんだから。
それで勝己君がキレちゃった。
泊り客を巻き込んでシッチャカメッチャカの大乱闘さ。
そんな所へ、チェリーさんの送別会の為に酒を仕入れにいった達夫君と昭雄が帰ってきて、こっちが楽しくやってるんだと勘違いしてクラッカーを鳴らす始末さ。
さあ、今度はこの騒ぎに琴ちゃんがキレちゃった。
もともと冷静に話をするという約束でここに来たのに、感情的になった勝己君に腹を立てたんだな。この結婚は私が許すと宣言した。
そうなったら勝己君の立つ瀬がねえや。
俺は勝己くんが気の毒になった。
なんたって、四十年前におしめを取り替えた事のある勝己君だからな・・・
まあ、詳しい話はまた今度。
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