終盤の稽古の中で「小芝居」という言葉が浮かんだ。
この言葉は演劇界では大概の場合やってはいけない否定的なニュアンスを持って語られる。大筋と関係のない考えなくてもいいごく個人的な演技、といった意味合いでである。そしてそれを語る人の面には侮蔑に似た冷笑がある。
だが私は待てよと言いたいのだ、大方が否定的な「小芝居」とは役者の元来あるべき姿ではないかと。それは役者の読みの深さと工夫の末に生み出されるものだ。
芝居に登場する人物はそれぞれの個をはっきりと充実した形で現すことを求められている。
それは芝居の基本ではないか。本来それはしなければならない事なのだ。
それではなぜ小芝居なる言葉が生まれたのであろう。
それはテーマに奉仕する従来の演劇形式が生み出したものに他ならない。
しかし、その詳細は後ほど。
とにかく今は役者達に大いに「小芝居」を求めていこうと思っている。
その「小芝居」は私の作品を豊かにしてくれる。
お楽しみに。
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