懇親会が終わって事務所に戻って来た範子と恭子。その二人の後には三郎と由美がついて来た。三郎と由美の二人の間で別れきれない気持ちが働いた様だ。
範子「どう、楽しめた」
由美「本当に社長の御陰で楽しい思いをさせて貰いました、有難うございました」
三郎「由美さんにそう言って貰うと俺もうれしいよ」
由美「三郎さんも有難うね、こんなバツイチの瘤つき女に親切にしてもらって」
三郎「何を言うんだ。俺は何も気にしちゃいねえよ。なぜか、それはあんたが由美さんだからよ」
三郎の不器用だが真摯な態度に打たれた由美は心の中をさらけ出す。
二人には此処が事務所である事も範子や恭子の存在も眼中にはなかった。
由美「うれしい、わたしうれしい。サブちゃん、あなたには本当に心のそこから感謝しているのよ、わたしばかりか君江にまで気を使ってくれて。この前あの子の誕生日の時にケーキを買ってきてくれたでしょう。あの時何でもない顔はしてたけど内心じゃグッと来てたのよ」
三郎「本当かい。グッと来た、そう言ってくれるのかい。うれしい。俺もうれしいよ。俺は由美さんのお役に立てればそれだけでいいんだ」
範子の戸惑いを他所に二人のテンションはいやが上にも高まった。
由美「いいの」
三郎「何が」
由美「本当にそれだけでいいの」
三郎「いや、それは」
由美「本当は違うんでしょ」
三郎「そりゃまあ」
間一髪範子の制止によって我に返った由美は慌てて帰ろうとする。
三郎は由美を送ろうとするが由美は断る。
様子をうかがっていた範子の取り成しで二人は一緒に帰っていく。
微笑ましい新しいカップルが誕生したようだ。
続く。
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