北国の風光明媚な観光地として知れ渡っている岬。
そこの裏側は自殺の多発する場所といわれている所。
そこにラーメン屋「ともしび」があった。
ある日「ともしび」の店主の田中徳雄が急逝する。
葬儀の日、父の徳雄と長年仲違いをして家出していた一人息子の一郎が喪主として出席する。
一郎にとってそれは針の筵の様であった。
その一郎を励ます婚約者の美香。
疎外感の中にいる一郎の気持ちを察した芙美枝は、何かと一郎を庇うのであった。
一郎は家族を顧みずにラーメン造りに没頭する父を尊敬していた。
しかし母親が危篤の時に間に合わなかった父を恨み十五の時に家出したのであった。
それから十年。
一郎もまた東京の有名ラーメンで修行する身になっていた。
芙美枝は一郎の幼少の頃から「ともしび」で働き一郎と徳治の軋轢の原因や生い立ちを全て知っていた。
一郎の想いと別に、この地域の大人たちは一郎の手で「ともしび」が存続する事を願っていた。
芙美枝は徳治が長年苦労して造り上げた「ともしび」の味を伝えたかった。
その事を聞いた一郎はその願いを受け入れるのであった。
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