第六場 その1 五月二十六日日曜日午後三時前
早々とマーガレットに来た美樹と隆文は、お互いの想いをぶつけ合った後の清々しさを感じていた。
この事件を通して二人は一人前の大人として互いを認め合うようになっていた。
美樹 「ねえ、もうそろそろ?」<o:p></o:p>
栄治 「そうだね、そろそろだ」<o:p></o:p>
純子 「ここの場所は・・・来たんだからわかっているよね」<o:p></o:p>
隆文 「判ってるね」<o:p></o:p>
純子 「でも今日はこの前とは違うからね・・」<o:p></o:p>
栄治 「ママ、何が言いたいの」<o:p></o:p>
純子 「迎えに行かなくていいんだろうか」<o:p></o:p>
栄治 「・・・そうか、そう言われりゃそうだ。今日は正式な対面だからな」<o:p></o:p>
美樹 「迎えにいった方がいいの?」<o:p></o:p>
純子 「わたしゃその方がいいと思うよ」<o:p></o:p>
栄治 「そうだな、お父さんとどんな関係があったか知らないけど、わざわざ亡くなった事を知らせてくれた上に、その後始末をしてくれたんだ。迎えに行くのが礼儀だよ」<o:p></o:p>
隆文 「決まり。じゃ早く行こうよ」<o:p></o:p>
ドアベル。隆文の言葉にあたふたと店を出る一同。
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この間に五郎と幸子も駆けつけると純子達に案内された権藤が現れる。
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純子 「権藤さん、こちらがこのビルのオーナーで二人がお世話になってる金山五郎さんです」<o:p></o:p>
五郎 「金山五郎でございます。この度は大変お気遣い戴きまして有難うございました。二人に成り代りまして御礼申し上げます。本日はよろしくおねがいたします」<o:p></o:p>
権藤 「これはご丁寧に、わたくし、権藤海路と申します。本日はよろしくお願いいたします」<o:p></o:p>
五郎 「権藤さんは栄町でお店をやられていたそうですね」<o:p></o:p>
権藤 「ええ、昔、栄町でサムソンというお店を出しておりました」<o:p></o:p>
五郎 「はあ、そうですか」<o:p></o:p>
ふと見詰め合う権藤と五郎。
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五郎 「ハイ・・」<o:p></o:p>
権藤 「・・・ねえ」<o:p></o:p>
五郎 「・・・・そうですよね」<o:p></o:p>
権藤 「でしょう?」<o:p></o:p>
二人の会話に気を 取られる一同。<o:p></o:p>
純子 「五郎ちゃん、何かあったの」<o:p></o:p>
五郎 「うん・・権藤さんとはどこかで会ってるんだと思うんだが・・」<o:p></o:p>
権藤 「やっぱりそうですよね」<o:p></o:p>
純子 「アラ、お二人は知り合いだったんですか」<o:p></o:p>
五郎 「その筈なんだけど・・思い出せなくて・・」<o:p></o:p>
権藤 「そうなんですよね・・」<o:p></o:p>
純子 「そうだとしたら、ずいぶん昔ね」<o:p></o:p>
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