内容は本読みですが、それぞれの役の読み方を披露してもらいました。
読み方といっても台詞のしゃべり方と言う意味ではなく、各々の役者が自分の役をどの様な捕らえ方をしてどの様な方向で役創りをしたい欲求を持っているかを見せてもらったわけです。
私はこの初回の稽古にかかる前に、稽古の仕方について所見をのべました。
往々にして役者は稽古場にいる他の役者達に自分の見っとも無いところを見せたくないという心理が働きます。そして破綻のない誰でもやるような芝居に陥っていくのです。つまり台本を読んだ印象であいまいな芝居をするのです。
この心理が曲者なのです。この様な心理でなされたあいまいな芝居は一度なされた事として、脳裏に刻み込まれます。
そして意味のないこだわりを生むのです。
この刻み込まれたものは厄介なもので、新しい発想の創造を阻害して容易に消えません。
ですから私は役者諸君に、みっともない稽古をする事を要求しました。
みっともない稽古とは、自分の役をどの様に理解しどうありたいかという明確な欲求をとりあえず形にしなさいということです。
それは誰でもやる様なところからは発することができないので、一般的な芝居みたいな事ではすみません。
まとまりのないものになるかもしれないのです。
そして多分格好の悪い結果になるでしょう。
でも独創的で個性的な役創りのとっかかりにはそれが最もいい方法なのです。
さてこの所見を述べた後の本読みはどうだったのか。
残念ながら思い切りの悪いどっちつかずの結果におわりました。
次回の役者諸君の奮起を期待したいと思います。
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