木曜はラノベ愛語りです…が、今回はライトノベルと言って良いのか分かりません。もしかするとライト文芸にふくまれるのかもしれませんが、その辺りのジャンルの詳細は分かりませんし、作品が面白かったので紹介します。
今回紹介する作品は、蒼真まこ先生の『半妖のいもうと~あやかしの妹が家族になります~』です。
主人公は高校生の杏菜。母親が死に父親と二人暮らしの家に、ある日、妹がやってきます。しかも、その妹には角と牙があり、父親からは半分鬼の血をひいた「半妖」だと説明されます。
物語は、色々な出来事を通し、杏菜と妹が心を通じ合わせ、三人が家族になるまでを描いています。「家族再生の物語」と言っても良いでしょう。
私が「いいね」と思った1つ目は、しっとりと進む前半です。
妻を亡くして落ち込む父親に理解を示し、新しい母親や妹に理解を示したいと思いつつ、なかなか納得する事の出来ない杏菜。とても理解できます。人間、そんなにパッと気持ちを切り替えられないものです。
それが、妹との日常生活を送る中で、少しずつ心が通じてくる…この過程が丁寧に描かれていてイイのです。本当に些細な事の積み重ねが、ちょっとずつ、ちょっとずつ、気持ちに変化をもたらしてくる…これがイイ!
もう1つの「いいね」ポイントが、後半のドキドキ展開です。
前半が日常生活を描いているのに対し、後半は「あやかし」に関わる展開となります。前半と異なりサスペンスいっぱいですし、アクションシーン的な展開もあります。
随分と極端な差がある様に思われるかもしれませんが、前半が丁寧に描かれているので、この落差が気になりません。スティーブン・キングのファンなら分かると思うのですが、前半の日常描写が丁寧であるからこそ、後半の非現実展開が楽しめる感じです(キングの作品で言えば、『クージョ』とか『クリスティーン』でしょう)。
最後はハッピーエンドですが、少し切なさもあります。それも「いいね」と思いました。
因みに、この作品は続きがあります。それも読んだので、それについては次回(R6.5.16)に書きたいと思います。
…と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。