サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

カーボン・オフセット旅行

2008年10月12日 | 気候変動緩和・低炭素社会
写真:ハナミズキの実



カーボン・オフセット旅行というものがある。

旅行で発生した二酸化炭素排出量を、なんらかの代償により、埋め合わせるというものだ。埋め合わせの方法は、寄附型と参加型がある。寄附は、一定の費用を二酸化炭素排出削減となる活動に寄附するものである。参加型とは、旅行者自らが植樹をしたり、ごみ拾いをしたりと、自ら汗をかいて、埋め合わせる方法である。

前にも書いたが、カーボン・オフセットにおいて、注意しなければいけない原則がある。

まず、排出量そのものを減らす努力を最大限に行ったうえで、オフセットを行うこと。旅行でいえば、贅沢三昧で二酸化炭素を大量に発生させながら、オフセットをすることは偽善的だと批判されよう。

また、オフセット先となる活動の選択も重要である。持続可能性のない活動ではオフセットが保証されない。二酸化炭素削減になっているかもしれないが、他の側面では問題がある活動かもしれない。

しかし、たまの旅行での贅沢を否定しきれるか。爪に灯をともすように苦労をして貯めたお金で、日常生活を離れ、一時の贅沢をする。あるいは、人生を振り返りの時間を持つときまで、カーボン・オフセットを厳格に意識しなければならないのか。

観点は違うが、環境省のグリーンイベントに関するガイドライン作成検討会を傍聴したときのコメントを思い出した。

プロ野球やサッカーは娯楽である。娯楽と環境配慮は両立させることは難しい。しかし、野球のゲーム時間の短縮は、見ている観客にもゲームの魅力を向上させるだろうし、省エネルギーになる。こうした両立性のある配慮を工夫する必要がある。
という意見だった。

旅行の楽しさと環境配慮を両立させる方法を工夫する場合、旅行に求めるものが人によって、あるいはその人のそのときのニーズによって異なることに留意する必要があろう。オフセットをする場合も、旅行者の旅行ニーズと両立させるオフセット方法を工夫すればよい。


例えば、自然を楽しみたいという旅行であれば、植樹等の方法でオフセットをすればよい。自然保全への取組みへの寄付を、旅行代金に組み込んだとしても、自然愛好家は好意的に受け止めてくれるだろう。

地域のおいしいものを満喫したいという旅行であれば、食べすぎに気をつけつつ(?)、地域の農業や水産業に感謝して、収穫の手伝いをするのもよい。食品廃棄物の堆肥化やメタン発酵等(それによる二酸化炭素排出削減)に貢献できるように、寄付を行うこともいいだろう。食べることが好きな人は、食べ物のライフサイクルに関わることで、食べ物への愛着をさらに深めることができるだろう。

自然保護や環境学習、地域づくり等にこだわる、真のエコツアーをうたうなら、ツアーのための移動や宿泊等に伴う二酸化炭素排出量を、排出権取引の対象となるきちんとした削減枠の購入で代替することもいいだろう。エコに徹底することが、商品の魅力を高めることになるだろう。

オフセットの方法として、日常生活の暮らしで省エネをするという方法もあるだろう。

日常生活で省エネ努力を行い、節約できたお金を旅行資金とするだけでなく、削減した二酸化炭素排出量(の一部)で、旅行中の二酸化炭素排出量のオフセットを行う。旅行の後に、旅行中の二酸化炭素排出量を削減するための省エネ行動をはじめるという方法もあろう。節約志向の人にいいかもしれない。


ただ遊びたい、日常のウさを晴らしたい。そんな旅行の場合はどうか。

ウさをはらした後に、ウサの根本原因を問い直してもらうようなアクティビティが用意できるとよい。精神のオフセットができれば、カーボン・オフセットを考える余裕もできるだろう。

かな・・・?




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