環境自治体会議のニセコ会議があり、アドバイザーの一人として参加をしてきた。私の担当は、地域資源活用の分科会。今回は、ニセコのフットパスを歩くという体験が中心であった。
フットパスは、もともとはイギリスに発祥があり、囲い込みをされた土地の中に、市民の歩き権利を取り戻すというコンセプトである。
日本の場合は、もともと長距離自然歩道が国によって整備されてきたが、それらが忘れられつつある現在、トップダウンではなく、ボトムアップで道を作り直そうという運動がフットパスであるといえるだろう。
今回は、北海道でのフットパスをリードする小川親子が案内役。歩くことを通じて、自然や人とのつながりを体験し、楽しもうという方針で、フットパス運動を広げていることがよくわかった。
フットパス歩きの効用について、お父さんの小川巌先生は、①誰でも、いつでも、どこでも実践できる、②個人的にも社会的にも直接投資がわずかで済む、③知的好奇心が刺激される、④上下の人間関係とは無縁である、⑤地域についてよりよく知る機会になる、⑥他者とのコミュニケーションが促進される、といった点をあげている。
また、フットパスは地域づくりにも有効なツールである。同じく小川巌先生は、①誰でも特別ば準備なしで利用でいる、②滞在時間の大幅な延長ができる、③地場産品を知ってもらうことができる、④見られることによる美意識の高揚を促す、⑤フットパスづくりを通して地域間交流が図れる、といった点をあげている。
フットパスは、環境教育、森林セラピー、エコツアー、エコミュージアム等の活動とも共通する点が多い。ただし、それらが専門性と強く打ち出すことで、参加者や地域づくりとしてのハードルをやや高くしているのに対して、フットパスはより多くの参加を得やすいスタイルである。急速に各地に広がりだしているフットパスに期待したい。
参考文献:小川巌「フットパスに魅せられて―私のフットパス遍歴―」2011年