5月30日から6月1日にかけて、鹿児島県日置市で開催された環境自治体会議にコーディネイターとして参加をさせてもらった。分科会やシンポジウムでの議論が十分になさたわけではないが、私にはふだんにない刺激になり、よい機会となった。たぶん、参加した多くの人が何かしら得ることがあったのだろう。
さて、1日に吉本哲郎さんが、「地元学」の話をされた。ギャグのセンスならあれくらいにはなれそうだと思いつつ、普段、笑いをとろうとしていない自分に気づかされた。努力課題が見つかった。
それはさておき、吉本さんの話の中から、ひとつだけ取り上げてみたい。それは、「人材育成ではなく、地域の人の持っている力を引き出すことが大事」と言い、「人そだて」という言葉を何度か、言われていたことだ。
私は、国の環境基本計画の中で記述された「地域づくり・人づくり」という言葉をよく使う。「人づくり」という言葉をよく考えると、環境や地域のためという目的を伴うニュアンスがあり、押しつけを避ける意味で「人そだて」という姿勢をさらに強調することが必要だろう。
また、私は、気候変動を地域の活動テーマ化するための気候変動学習のプログラム開発と試行に、今年から取り組み始めた。気候変動(地球温暖化問題)は、将来の影響や地球規模の問題といってしまうと、地域や生活との距離感があり、自分のこととして取り組まれにくい。しかし、気候変動の影響は地域の足元で既に発生している、その実感を事実として共有するを入口にすれば、気候変動に関する学習が進みやすいと考えたからだ。
この「気候変動の影響実感を入口とした気候変動学習」のプログラム開発は、実践であるが、研究でもあるので、気候変動に係る学習プログラムの事例分析等も行いつつある。ただし、こうした既存の気候変動学習の改良の留まったり、ESD(持続可能な社会のための教育)という概念にとらわれたくはない。できれば「気候変動の地元学」ともいえるものを開発できればと思う。気候変動の影響について、地域で起こっていることを知り、分かち合い、気づき、考えるという機会を提供し、サポートするようなプログラムを目指したい。
「気候変動の人そだて」だとすると、学習(?)の成果目標も、いわゆる環境教育や気候変動の普及啓発とは異なるものとなるだろう。