サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

未来都市の暮らし その2

2012年12月09日 | 環境と教育・人づくり

駅前オフィスとテレワーク

 

 続いて、僕(翼)は仕事と都心の市街地ことを話します。

 

 僕は、IT企業でコンピュータプログラムの開発を行っています。若い頃は都心にある本社オフィスに毎日通っていましたが、10年くらい目から、本社に通うのは週2日だけ。あと3日は最寄駅前の「テレワークセンター」に勤務しています。 「テレワークセンター」はどこの企業に勤める人も、自由に使うことができます。机は決まってなく、あらかじめ予約をしておく必要があります。

 

 「テレワークセンター」に通う日は、往復2時間の通勤時間が節約できるため、その時間を利用して、近所の森で開催される「里山セラピー教室」に通っています。森の中で開催される樹林気功教室です。一本の木を前にして深呼吸をすると、自分の体の中が澄み渡り、力がよみがえる感じがします。この教室に通いだしてから、風邪をひかなくなりました。妻や娘も時々ですが、一緒に参加しています。

 

 本社オフィスに通勤するときも昔のように通勤混雑はありません。テレワークを導入する企業が増え、1日当たりの通勤人口が半分以下になったからです。出勤すると、部内会議が中心です。WEB会議室でも会議ができ、顔を合わせた会議をしない会社もあるようですが、僕の会社は、社員が同じ場所にいる時間をつくることを大事にしています。

 

 官庁の情報システムを担当していて、霞が関に出かけて打ち合わせをすることも多いです。都心の中の仕事での移動は、電気バスや地下鉄を利用します。都心の道路を走る車は「電気自動車」と「プラグインハイブリッドカー」だけになりました。バスと乗用車、さらには自転車で、走行レーンが分かれています。

 

 電気自動車等の充電は、都心オフィスの太陽光発電で発電された電気を集めた充電施設で行われています。オフィスビルの屋上はほとんどに太陽光パネルが敷き詰められていて、都心を走る電気自動車に電気を供給したり、またオフィスの電源に利用されています。

 

 都心を走る自動車はかなり少なくなりました。都心に流入する自動車のうち、市街地を通り抜けるだけの通過交通は規制されているからです。また、電気自動車とハイブリッドカーだけが走行することができます。次の段階ではハイブリッドカーも規制され、電気自動車しか走行することができなくなるようです。都心内の駐車場では、自動課金システムになっており、電気自動車とハイブリッドカーだけしか利用できません。

 

 昔は、都心への通勤ラッシュ、都心の混雑は、大都市という魅力的なところで仕事をするために我慢しなければいけないことだと思っていました。しかし、最近では通勤も都心内の移動もスイスイとできますし、都心の中も緑が増え、空間にゆとりができました。心にもゆとりができ、仕事の効率もあがっていると思います。

 

 

 

地球温暖化による気象災害と大震災への備え

 

 僕(翼)は今の仕事や暮らしに満足して、幸せです。ただ、心配なこともあります。それは、地球温暖化による異常豪雨の増加となかなかこない大震災のことです。

 

 日本では地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出削減努力を続けてきました。2011年3月11日の東北大震災のときに原子力発電所の事故があり、その後、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー化を進めてきました。

 

 しかし、K市のように街をあげて、環境・エネルギー問題に取り組んできたところばかりではありません。まだまだ、取組みが遅れている都市も多くあります。開発途上国の人口爆発は歯止めがかからず、経済成長とともにエネルギー消費量と二酸化炭素排出量は増加を続けています。

 

 地球温暖化が進むと、日本では平均気温が上昇するばかりでなく、降水量が増加すると予想されていました。また、台風の上陸回数は減少するが、一つひとつの台風は大型化するという予測もありました。それらの全ての予測があたっていたようで、大型台風の上陸やゲリラ豪雨が増えていると実感します。

 

 都心部では省エネ化や公開空地の創出と緑化を進めていますから、ヒートアイランド現象への歯止めはかかっていると思いますが、地球全体の温暖化が止められていないのだと思います。

 

 また、東北大震災の後、関東大震災等の太平洋側での大地震の発生確率が高まったと予測されました。幸いにもまだ大震災は起こっていないのですが、いつ来てもおかしくない状態は続いています。

 

 このため、災害に対する備えも徹底されています。K市では、街の総合計画に「レジリエンス」というやや難しい言葉を掲げ、街をあげて自然災害のリスクに備える対策をとっています。猛暑に対する備えとして、高齢者等の社会的弱者に対する安否確認をする情報システムが整備されています。異常気象による停電も多くなっていることから、公民館には蓄電設備が設置され、停電時の安全な避難場所となるように徹底した準備をしています。

 

 また、近隣住民と公民館が一緒になって、「自然災害リスク行動計画」を作成し、猛暑や異常豪雨、大地震等の際にどのように行動するかを、それを予防するためにどうすべきかを、地区毎に考えています。避難訓練も徹底して行っています。

 

 自然災害の猛威は避けられないものですが、行動計画策定や避難訓練等を通じて、一人ひとりが意識を高めていますし、災害の事前予測や事後の情報をいち早く正確に伝える情報システムが整備されています。地域で助け合うための準備もできています。

 

(続く)

  

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