中国経済を思う
侘助 中国の経済力が急速にアメリカに近づいているという話になってね。それについて仲間の一人が民主主義国はなかなか政府の意向で政策を実現できないから経済成長が鈍くなっているんだという主張をした者がいた。
呑助 なるほど、中国は一党独裁国家だから政府の意向で政策を強硬することができるから経済が急成長しているんだということでしようかね。
侘助 きっと、このような主張をしている人の話を聞いてそうなんだろうと思ったんじゃないのかな。
呑助 私もなんとなくそうなんだろうなというような気持になりましたよ。
侘助 例えば、戦後日本は高度経済成長を遂げて、イギリスを追い越し、ドイツを追い越し、世界第二の経済大国になった。イギリスもドイツも民主主義であっても民主主義国になった日本に追い越されてしまった。だから中国は共産党の一党独裁国家だから急激な経済成長を遂げたんだという主張は成り立たないんだ。
呑助 じあー、中国が改革・開放政策をして、急速に経済成長を遂げた理由はなになんでしようね。
侘助 市場経済を導入し、豊かになれるものから豊かになろうという政策を掲げた鄧小平の政治が成果を上げた結果なんじゃないのかな。
呑助 社会主義経済政策を取りやめた結果が今の中国の経済成長を生んだということなんでしようか。
侘助 そうなんじゃないかな。しかし中国は社会主義政策を取りやめたわけではないんじゃないのかな。市場経済を通して社会主義を実現していこうとしているんじゃないの。
呑助 市場経済のことを資本主義経済というじゃないんですか。
侘助 違うと思うよ。今の中国政府は商品経済、貨幣経済、市場経済と社会主義経済が両立できる道を模索しているんじゃないのかな。
呑助 昔、社会主義経済というのは、計画経済だと学校で教わった記憶がありますよ。社会主義というのは計画経済じゃないんですか。
侘助 その通り。資本主義経済は生産が無政府的だから国民を苦しめると考えたから生産を計画的にすれば国民を幸せにできると考え、計画経済にしたんだけれども、失敗してしまった。だから分配の平等をどのように実現するかという問題に今の中国政府は取り組んでいるんじゃないのかなと考えているんだけれど。
呑助 市場経済である以上、分配の平等など、できるはずがないじゃないですか。富める者と貧しい者は出て来るんじゃないんですか。
侘助 理論的に考えるとね。資本主義の本質は搾取にあるんだ。だから資本主義経済は市場経済であるけれども、市場経済は資本主義経済ではないんだよ。
呑助 数学の部分集合のような話ですね。
侘助 そう、市場経済、商品経済、貨幣経済であって、搾取のない経済の仕組みをどのように実現するかということを中国政府は探っているのじゃないのかな。
呑助 搾取というのは、何ですか。
侘助 そう、資本家という人は全然働かないにもかかわらず、会社の儲けを権利として受け取る仕組みを搾取というのかな。