埼玉の酒蔵を訪ねる
私は女性なので、目につくのはどうしても値段です。純米吟醸酒「彩の国(さいのくに)」が気にいりました。。
埼玉にこだわって造ったお酒ですね。埼玉県の酒造好適米「むさしの酒6号」を酒造米として、酵母は埼玉県の酒造組合が開発した「埼玉C」を用いて醸したお酒が「彩の国」なんですね。このような発言をした仲間がいた。
埼玉県久喜市にある造り酒屋「寒梅酒造」を仲間で訪ねた。9月の下旬であったのでまだ酒の仕込みは始まっていなかった。久喜の駅から3・4分歩くと、「寒梅酒造」がある。通りに面して旧家の趣のある母屋が酒蔵の事務所になっている。深い軒、7寸角はある欅の大黒柱は黒光りしている。昔の酒蔵の風格が偲ばれる。事務所の隣には、ビールの空き瓶が堆く積んである。酒瓶よりビール瓶の方が圧倒的に多い。ビールの卸をしていると分かる。入って行くと社長さんが迎えてくれた。奥行きが深い。酒蔵ではなく、食品工場という雰囲気である。その奥まった一室に案内された。そこは社員の研修所という感じである。スチールの椅子と机が設置してある。部屋の前には7本の酒が並べてあった。 ビニールのコップを7つ並べそこにお酒を注いでいく。一番のお酒が『飛翔天』大吟醸・雫酒・中取りとカタログに説明がある。雫とは袋絞りのお酒を意味している。もろみの重みだけで木綿の布地を通って斗瓶に集められたお酒のことである。
二番目のお酒が、純米吟醸酒『彩の国』であった。
三番目のお酒が、生酛仕込みの純米吟醸酒。このお酒を好む人が数人にいた。きっと本当の飲み助なのだろう。しっかり味がのり、滑らかなお酒だった。
四番目についだお酒が、しぼりたて大吟醸・生原酒である。このお酒を好んだ人が一番多かったように思う。アルコール度数はI7~18度と高いにもかかわらず、喉越しがよい。精米歩合は50%。寒梅酒造の杜氏さん、星野馨さん自らが自分の田で栽培した酒造好適米『五百万石』で醸したお酒である。きっと杜氏さんの思ひ入れが入ったお酒なのだと思った。その気持ちが飲む人に伝わったのかもしれない。
五番目のお酒は、山廃仕込本醸造酒である。このお酒には醸造用アルコールが添加してある。骨格のしっかりしたお酒のように感じた。
六番目のお酒が、樽酒であった。普通酒を樽に詰め、杉の香りがついたところで瓶に詰め替えたお酒だと説明かあった。飲んでみるととても綺麗なお酒のように感じた。樽の香りが懐かしく美味しく飲ませていただいた。
七番目のお酒は、大吟醸秘蔵酒であった。原料米・山田錦。精米歩合が50%。無濾過、10年熟成古酒とラペルにある。古酒特有の紹興酒に似た味が少しした。このお酒が美味しいと言った参加者はいなかった。私は黙っていた。私が一番気に入ったお酒はこのお酒であった。とてもバランスがよく、熟成香がとても上品で素晴らしいと感じたが、共感してくれる仲間はいそうになかった。仲間の一人が私に囁いた。720㎖で3675円ですよ。前回訪ねた酒蔵ではやはり大吟醸・原料米は山田錦。10年、寝かせたお酒を720㎖で5万円でしたね。10倍以上の値段の違いがありますね。うん、もしかしたらこのお酒はお買い得なのかもしれませんね。ほほ笑んで言った。私もしばらくじっと秘蔵酒の瓶を眺め、感じ入ってしまった。