パックス・アメリカーナの終焉
侘輔 先日、ネットで不破哲三氏の「日本共産党95周年記念講演」を聞いたんだ。この中で不破氏が述べたことで印象に残った話があった。
呑助 どんなことを言っていたの。
侘助 20世紀は大国が世界を支配する世紀だったが、21世紀は大国の世界支配が終わり、世界中の国々が協力して世界の平和・安全を築いていく時代だと述べていた。
呑助 そうですか。
侘助 パックス・ロマーナ以来2000年間大国が世界を支配する時代が続いてきたが、いよいよ大国の世界支配が終わる時代を迎えるのかと言う感慨のようなものを感じたな。
呑助 「パックス・ロマーナ」とは、何なんです?
侘助 今から2000年前、ローマ帝国という強大な帝国が地中海周辺地域にあったんだ。その地中海の周辺地域には言葉の違う人々がそれぞれ自分たちの国を作っていたが、ローマ帝国が周辺地域の国々を属国として支配し、徴税をしていた。
呑助 周辺地域の国々はローマ帝国の支配に抵抗しなかったんですかね。
侘助 厳しい抵抗をし、戦争になった。最も厳しく抵抗したのがササン朝ペルシアという国だった。しかし、その他の国は抵抗する軍事力をすべてローマ軍によって破壊されてしまった。
呑助 ローマ帝国に反抗することができなくなってしまったんですね。
侘助 ローマ皇帝は「破壊、殺戮、略奪を誤って『支配』と呼び、そこに廃墟を作ったとき誤って『平和』と名づける」と言ったと言う。
呑助 ローマ人が平和になったということなんですね。
侘助 そうなんだ。だから「パックス・ロマーナ」とはラテン語でね。ローマ人の平和ということ。
呑助 なるほどね。
侘助 だから「パックス・アメリカーナ」といったら、アメリカの世界支配が安定し、アメリカの強大な軍事力に対抗する武力を持つ国が無く、アメリカ政府の言うことに背く国がないということなのかな。
呑助 ソ連という国がありましたよね。ソ連はアメリカと戦っていたんじゃないんですか。
侘助 冷戦だね。核兵器製造をし、にらみ合い合っていた戦争だね。だからこの時代は「パックス・ロッソアメリカーナ」と言われていたんだ。アメリカとソ連が世界を西側と東側に分け、世界を支配した。この時代はアメリカとソ連の平和時代なのかな。西側世界はアメリカが支配し、東側はソ連が支配した時代。
呑助 じゃー、ソ連が崩壊した後、アメリカの世界支配が続いてきたということですか。
侘助 そうなんじゃないかな。そのアメリカの世界支配が揺らいできたというのが21世紀入って、顕著になったというだと思うよ。
呑助 2001年9月11日、アメリカニューヨークツインタワーがイスラム過激派によって爆破されたことはアメリカ世界支配の終わりの象徴的な出来事なんですね。
侘助 そうかもしれないなぁー。それ以来、テロとの戦争が西アジアを中心にして、始まったが、その戦いは今、ヨーロッパ諸国でも始まっている。英独仏、スペインでもね。