side by side:湘南夫婦のあしあと

二人が好きな地元湘南、スポーツ観戦、旅行、食べ歩き,音楽・美術鑑賞など、日々のあれこれを綴ります

MET ライブビューイング 椿姫(21May)

2021年05月28日 | 映画で 演劇、歌舞伎、オペラ、バレエ
METライブビューイング 椿姫(ヴェルディ)を上映最終日に鑑賞してきた。
2018年12月の公演で、新演出の作品を同年9月にメトロポリタン歌劇場音楽監督に就任したばかりのヤニック・ネゼ=セガンが指揮をした話題の作品だったようだ。

METライブビューイングは、実際は公演をライブ中継する企画だ(日本では時差の関係でライブ中継が叶わない)
そのため、上映前、幕間には特典映像として出演者のインタビュー等が流れるのも魅力
先ほどまで舞台で歌っていたキャストが時に息を落ち着かせようとしながら、時に興奮が収まらない表情でインタビューに応じるのがとても興味深い。

今回はネゼ=セガンの就任記念もあってか、本作品のリハーサル風景がドキュメンタリーとして流れた。
主演のディアナ・ダムラウとの一音に拘り議論を交わす場面が何度かあり、次の世代へ長く引き継がれるような「椿姫」にしたいというネゼ=セガンの熱い想いが伝わってきた。

演出M・メイヤー、美術C・ジョーンズ、衣装S・ヒルファーティの3人はトニー賞受賞歴をもつブロードウェイで活躍する面々
3月上映のメリー・ウィドウにもブロードウェイのストローマン演出だったし、先月のワルキューレはシルク・ド・ソレイユのルパージュ演出とオペラ界にこだわらない人材の登用が新たな人気作品・METの伝説を生んでいるんでしょうね。

日本でも歌舞伎と現代演劇等のコラボが時折ありますが、もっと盛り上がってほしいですね。
野田秀樹さん、三谷幸喜さん、串田和美さんの歌舞伎作品はありますが、他の演出家にもチャレンジしてほしいです。

さて、新演出の椿姫
オープニングはスクリーン越しに主役ヴィオレッタの屋敷の風景
スクリーンには大きな椿の絵
ヴィオレッタが亡くなったベッドの周辺を関係者が悲しみにくれているという演出。
その後に続く場面はヴィオレッタの回想という設定

前奏が終わると照明が変わり、ドレスアップした人々が出てきて、ヴィオレッタを中心に華やかなパーティーの場面になります。
今回の演出の凄いなと思ったのは、オープンニングでヴィオレッタが伏せていたベッドが舞台中央にあるのですが、最後まで舞台中央に置かれたまま。
パーティーの場面ではソファ変わりになったり、余興の舞台になったり、とベッドと意識することなく展開していきます。

今回は舞台設定自体もほとんど変わらず、照明によって場面変更を意識されられます。
パーティーの場面では華やかで、恋人アルフレッドとの質素な生活の場面は落ち着いた雰囲気が同じ舞台セッティングなのに良く出ていました。

ということで、METライブビューイングの個人的な楽しみの幕間の大道具変更は今回なかったのですが、その分大道具の細かな部分までカメラが捉えてくれて今回もとても楽しめました。

新演出での「椿姫」を堪能しましたが、やはりオペラ「椿姫」の完成度が高いと改めて感じました。
特に第一幕目の有名曲のオンパレード、舞台の華やかさ、ソプラノとテノールのアリアとデゥエットの聞かせどころ、、、、と魅力満載

主演のディアナ・ダムラウが本当に当たり役で、素晴らしい。
ドキュメンタリーでも、ダムラウが理想とする「椿姫」に仕上がったと語っていました。
ダムラウはオペラ界のメリル・ストリープと呼ばれることもあるそうで、歌唱力はもちろん、演技力も高く評価されているというのも納得です。
カルメンを観た時も思いましたが、METで主役を務めるというのは舞台女優でないといけないんだなと強く感じました。

再上映を強く望みたい、凄く素晴らしい公演でした。

椿姫(イタリア語 上演日2018年12月15日)
演出: マイケル・メイヤー
ヴィオレッタ: ディアナ・ダムラウ
アルフレード: ファン・ディエゴ・フローレンス
父 ジェルモン: クイン・ケルシー
指揮: ヤニック・ネゼ=セガン

テラスモール湘南内の109シネマは、まん延防止等重点措置適用期間中は当日販売のみ(インターネットは当日0時から販売)
平日の午前中だったこともあり、10人ほどの観客だった。
配席の制限はないだが、気にする人ばかりだったのか分散されていて、スクリーン正面ががら空きだった。



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