*****ご注意! 一部ネタバレの可能性があります! *****
帯には『作家生活35周年記念作品』とあった。
『「白夜行」「手紙」ーー新たなる最高傑作』とも。
作者、編集者とも力が入った作品だったのだろう。
流石東野さん、1ページ目から作品の世界に引き込まれ、途中で中断することがもったいなく感じたほど。
弁護士白石健介が他殺で発見された。
担当刑事五代が怪しんだ名古屋在住の倉木は早々に自供し、事件は解決したはずだった。
白石の娘と倉木の息子が父親がとった行動に違和感を感じた。
五代自身も不確かな疑念を払しょくできずにいた。
そして、事の発端は30年前の殺人事件で、白石と倉木は遭遇していたことを突き止める。
その時についた嘘のために、不幸になった人がいたことに二人とも心を痛めていた
流石東野作品、予想ができそうでできない展開に一気に読了
でも、作品名の「白鳥とコウモリ」が私は最後までしっくりこなかった。
作中で一度、「白鳥とコウモリが一緒に空を飛ぶ」と被害者側(白石の娘)、加害者側(倉木の息子)の相容れない関係の例えに使われていたけど・・・
白石の娘と倉木の息子が真相を明らかにしたいと拘るほど、自分の親の性格・行動様式を理解している姿もそういうものなのかな?とややひっかかった
何より真犯人とその動機が愕然とする。
大人の年少者への保護心を隠れ蓑にしようとしたことも。
今の社会(とその問題)を一番表しているのが真犯人のような気がする。
2021年4月5日第一刷発刊
小説幻冬 (2017年2月号~2021年2月号)に加筆・長編としてまとめたもの。
装画・ブックデザイン 鈴木成一デザイン室
ソフトカバー、モノクロの東京と地方の長屋の風景が作品をよく表している
東野圭吾のガリレオ(湯川教授)シリーズの沈黙のパレードが映画化、来年公開だそう。
福山雅治の当たり役ですし、柴咲コウさんの再登場など、こちらも楽しみですね。