油圧シリンダーのシール交換にチャレンジしてみたが
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過酷な使用環境で使われている建機では、油圧シリンダーヘッドからの油漏れなどシリンダーを分解し、シール類を交換修理して使うのがあたりまえのようだ。
建設機械の油圧シリンダーは過酷な使用に耐えられるように、ピストン構造、シール類も耐久性があるものが使われていて、メーカーから機種ごとに交換シールセットが用意されているのは嬉しい話だし、市販汎用シール部品でも対応できるようだ。
PH-GS13 PRO前期で使われているシリンダーを分解してみると、往復動用のピストンリング1本が SPGO型:NOK製かST型:阪上製か、すべて私の推測ですが、これらに類似するシール構造を使う簡易タイプの構造だった。
この往復動用ピストンリングが曲者で、外側がPTFE(フッ素樹脂)材のリング、内側にニトリルゴム製のリングの組み合わせだ。サイズの問題とPTFE(フッ素樹脂)材リングは伸縮性がなく装着には非常に難易度があり、素人には装着が難しい。
失敗から学んだ結論から、油圧シリンダーヘッドからの作動油のダダ洩れ問題だけならば、シリンダーヘッドのシール交換だけで問題は解決する。薪割機の破砕圧力が十分に維持されているならば、ピストンのシール類は触らないで、そのまま元のシリンダーに戻せばよかった。このピストンに合うピストンシール用パッキン、ウェアリング汎用品でサイズが完全に一致する製品が見つけられない。
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シリンダーヘッドには回転させて取り外すための二つの開閉穴(ピン径5㎜)があり、穴径80㎜の位置をマジックで控えを取る。 | ヘッドの開閉穴にピン掛けて回すには、専用工具「ユニバーサルホルダー」TAKEGAWA(武川) 2,200円が必要で購入した。 |
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製品のままのユニバーサルホルダーではヘッドの凸部が障害になって、ピン長さ5㎜が開閉穴に入れて回転できないので、先端部をサンダーで削って加工した。 | ユニバーサルホルダーの柄は短くて回しずらいので、柄にパイプを被せ回すと簡単にヘッドが回った。 |
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シリンダーヘッドから油が出るので、養生テープで仕切り壁を設け、油が廃油受けに落ちるように細工した。 | シリンダーをさらに引き抜くと内部の油が大量に出てきて、シリンダーピストが現れた。 |
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シリンダーヘッドには〇リングだけがあった。本来なら〇リングとバックアップリングがセットであるはずなのだが? シャフトの先端からヘッド部を抜けそうだがロッド変形が考えらられるのでピストン側から抜く。 |
私の計測だが、前後にウェアリング(外径90㎜、幅8㎜、厚さ2.5㎜)、中央に往復動用ピストンリング(SPGO型)と思われるが? ヘッド部を抜くにはいったんピストンを取らないといけない。 |
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ピストン側ナットを緩めるのには、ロッドシャフト先端を逆向きに押し出し板に取り付け固定する。ピストンを保護するために、刃に板を取り付けて仮台を設ける。 | ピストンを固定するナットは抜け止め剤がしてあり硬い。ナットにレンチを取り付け、レンチの柄に鉄パイプを被せ回すことで簡単に外れた。 |
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ピストン側からヘッドを抜き、内側をチェックする。手前がダストシール、ロッドパッキンと並び、二つの劣化と損傷が著しく、ウェアリングに変化は見られない。 | シリンダー内部は、ヘッド部以外に錆等がなく綺麗なものだ。特別何もしなくてもよさそう。 |
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ダストシールLBI型、ロッドパッキンUSH型、ウェアリングWR-W型、〇リングISOシリーズのシールサイズリスト | ヘッド本体の溝、各シールパッキン類にシリコーングリース(ゴム製品を傷めないグリース)を塗り組み込む。 |
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ピストン装着の部品をノギスで計測し、ピストンシールリストを作り注文した。購入したウェアリングの厚みが元の物より薄くて使えない。 | 厚みが足りないので、元のウェアリングを使うことにした。SPGO型パッキンわずかだが合っていないようだ。 SPGO型パッキンを取り外さないでおけばよかった。 |
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ピストンとロッドとのシールとしての〇リング装着だが、傷つけないために養生テープを巻いて装着した。 | 押し出し板を逆にし左右にボルト1本取り付け傾け、ロッドを固定して作業ができるようにした。 |
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固定されたロッドを木材で浮かし、ダストシール・ロッドパッキンが装着されたヘッドをロッドに通すのは大変だ。 | ピストンをロッドに入れ、ロッドのネジ山に「ねじロック」を数滴たらしボルトを締め付けた。 |
失敗から教訓をまとめた
ヘッドの油漏れと破砕圧力低下を分けて考える。ヘッドの作動油漏れならヘッドのシール交換だけにする。破砕圧力低下がみられるならばシリンダーアッセンブリを購入して取り付け修理する。ピストンに適合するSPGO型パッキンを見つけるのが難しいのでピストンに手を出さない方が良い。
作動油漏れだけならヘッドのシール交換だけにする
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