樹木医のまね事ですがオニグルミの外科治療
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庭のシンボルツリー、オニグルミはキクイムシ幼虫で傷んでいる。伐採してしまえばいいのだが、胸高直径40センチ、樹高10メートルを超えると存在感がありすぎて伐採するにはもったいない気がする。
樹木医か造園屋さんに依頼して治療するという方法もあるが、処理費用が気がかりなので、自分でやることにした。なんとかキクイムシの食害に耐えているが、かなりの重症だ。今回治療しても最終的に伐採ということになるかもしれない。
まずはネットで空洞処理を検索して情報収集すると、空洞が大きい場合、発泡ウレタンを充填する方法があったが、ウレタンは紫外線に弱く、雨水が隙間に侵入して腐るとある。
雨水が侵入しそうな箇所と外気に接する表面に変成シリコン膜を塗布することで、少しの効果を期待することにした。これでも倒木の危険性が増したら伐採ですね。
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斜面途中、根元から4メートルの足場板の上に立つと結構高く恐怖を感じる。安全第一で転落に注意しながら作業しないとと気持ちが引き締まる。 | 高所作業ではヘルメットを被り、安全帯、足元は地下足袋が必修だ。狭い足場板の上ではチェンソーをしっかり握りキックバックに注意しながら削る。 |
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常に上から下へと縦方向にチェンソーの刃を送りながら1~3センチ削り出して、キクイムシを探していく。 | 大小5匹のキクイムシが隠れていて、すべてを見つけ駆除するのは困難だ。薬剤で殺すか窒息させるかだ。 |
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効果のほどはわからないが、削った表面に向けてオルトラン水和剤、スミチオン乳剤500倍を噴霧する。 | キクイムシが開けた穴やチェンソーの刃で削れなかった隅々まで薬剤を噴霧した。 |
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オルトラン水和剤、スミチオン乳剤500倍を塗布した上に殺菌剤トップジンMペーストを塗る。 | チェンソーの刃で細く削った表面にトップジンMペーストを刷毛で塗るのは難しい。 |
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根元から上端まで幹が3~8センチの幅で口が開いている。養生シートで開口部を閉じ、発泡スチロール板40㎜厚を溝幅に合わせながらカッターで切り取り、隙間を塞いでいき養生テープで仮止めした。 | 発泡ウレタンは硬化しながら2倍ほど発泡して膨らむとある。開口部を塞いでいる発泡スチロール板に発泡圧力が掛かるのでしっかり固定しなければならない。木材の添え木と一緒にビニールテープで巻き固定した。 |
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空洞内に発泡ウレタンを均一に隅々までいきわたらせて充填するには、70~80センチ間隔に注入口を設けウレタンを充填しなければならない。 | 発泡ウレタンは密閉空間では発砲しないと注意書きがあった。発泡空気の逃げ道が必要なのだ。注入口から発泡ウレタンが噴出してくる。 |
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木材の添え木、発泡スチロール板、養生シートを取り除くと注入口から噴き出した発泡ウレタンだけが残る。 | 隙間や注入口からはみ出た発泡ウレタンをカッターナイフで切り取り、表面を整える。 |
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外気に接触するウレタン表面に塗装を推奨している。塗装被膜よりは強そうな変成シリコンを充填しながら平へらで被膜を作ることにした。 | ウレタンは紫外線に弱く、雨水で変質する。変成シリコンを充填塗布したことで7~8年は持ってほしいものだ。BD発泡ウレタン7缶と変成シリコン2本使用した。 |
まとめ
樹木の空洞穴埋めといっても、空洞の位置や状態によって対処法も違ってくるのだろう。このオニグルミもうまく穴埋めができたとしても、年月の経過に伴う樹木の状態が改善されればいいのだが。最悪、伐採ということになるかもしれない。
なんとか元気に生き続けてほしいと願うばかりです。
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2022年02月18日 | DIYを楽しむ生活 |