索引 100分de名著 ジーン・シャープ(1918- 2018)
ジーシ・シャープ
100分de名著 ジーシ・シャープ 第1回 独裁体制は見かけほど強くない 「79」
100分de名著 ジーシ・シャープ 第2回 非暴力という「武器」 「79」
100分de名著 ジーシ・シャープ 第3回 非暴力ゆえの勝利 「81」
100分de名著 ジーシ・シャープ 第4回 新たな独裁者を生まないために 「81」
「アラブの春」、「オキュパイ・ウォールストリート」、セルビアの民主化運動等、数々の市民運動で教科書のように読まれた一冊の本があります。
「独裁体制から民主主義へ」。
「非暴力におけるマキアヴェリ」「非暴力闘争におけるクラウゼヴィッツ」とも呼ばれるアメリカの政治学者ジーン・シャープ(1918- 2018)が、
史上暴政をふるった数々の独裁体制を綿密に分析、
それに対し非暴力による反体制運動がどこまで効果を上げることができるかを徹底的に究明した名著です。
「独裁体制から民主主義へ」が書かれた1990年代初頭、ミャンマーではクーデターを起こした軍事政権によって独裁的な政治体制が敷かれていました。
ミャンマーの亡命外交官からの要請をきっかけに、非暴力闘争、抵抗運動へのヒントになればと
タイ・バンコクにおいて英語とミャンマー語で書かれ雑誌に連載されたのがこの本の原型です。
以来、世界で40言語以上に翻訳され、数々の民主化運動を成功に導いたとされます。198もの具体的な手法を提案しているのも特徴です。
論旨は極めてシンプル。独裁体制は単独では成り立たちません。有形・無形の民衆たちによる支持があってこそ成り立ってるといいます。
一見強固で揺るがないようにみえる独裁体制には、その力の源を断つことで容易に瓦解する脆弱さが潜んでいます。
綿密にたてられた全体計画、弱点に集中すべく慎重に選ばれた戦略、徹底して貫かれる非暴力によって、
執拗かつ広範に展開される市民の運動が、やがて独裁体制を覆すことを可能にするといいます。
国際関係思想の専門家・中見真理(清泉女子大名誉教授)さんは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、再び起こったミャンマーでの軍事クーデター、
香港での民主化運動への過酷な弾圧など、独裁的な強権政治が世界で猛威をふるっている今こそ「独裁体制から民主主義へ」を読み直す価値があるといいます。
その理由は、シャープのヴィジョンが決して綺麗事ではなく、抵抗運動を、戦略、戦術、武器の体系を駆使した「暴力なき戦争」とみる冷徹でリアリスティックな洞察があるからだと強調します。
「独裁体制から民主主義へ」を分り易く解説。現代社会につなげて解釈するとともに、そこにこめられた「独裁体制との向き合い方」「市民運動のあり方・進め方」「民主主義を維持・発展させていく方法」などを読み解いていきます。
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