11/21付けブログで「スイッチ1個を追加した安価な全負荷型蓄電池が待たれる」と書きましたが、そのスイッチの動作を考えてみると、通常系統電源と自家発電電源(太陽光や風力、エネファームなど)が一本の回路に繋がっている条件で、系統電源が落ちても自家発電の電圧が残るため「停電」とみなして系統電源側回路を切るスイッチの実現はメカスイッチでは難しそうと気付きました。
それではテスラのPOWER WALLのような全負荷型蓄電池は如何にして太陽光発電など自家発電が繋がっている状態で停電時に全負荷給電を実現できているのかが気になります。
それらしい機能を持った給電方式の記事がネット上にありました。(以下2015/3/7付け愛知工業大学 雪田和人教授の「分散電源導入型給電システムにおけるグリッド間連携」より一部引用させて頂いています)
①自立運転モード
自立運転モード説明図
常時はACスイッチをOFFにして系統電力を切り離し、自家発電と蓄電池の電力を自家消費電力に使う(自立運転モード)。自家発電の余剰電力は蓄電池に充電できる。
②連携運転モード(充電モード)
連携運転モード(充電モード)説明図
自家発電量が少なくて蓄電池放電が継続し残量が少なくなった場合、ACスイッチをONにして系統電力に連携して蓄電池に充電する。必要なら自家消費にも使う。
③系統連系モード(逆潮流運転モード)
系統連系モード(逆潮流運転モード)説明図
ACスイッチをONにし自家発電の余剰電力は蓄電池に充電せずに逆潮流販売が出来る。
メカSWと半導体SWの説明図(ネット情報)
ACSWはメカニカルSWではなく半導体SWで、ON/OFFをモード切替信号で制御できるので系統電源の停電・復電を検知してON/OFFできます。
これなら比較的安価な全負荷型給電システムが実現できそうです。但し「自立運転」を行うため、これと近い制御を行っていると思われるPOWER WALLの蓄電容量が13.5kWhと大容量になっているようです。でもこれは湯水のように電気を使うアメリカでの設計で日本向けモデルなら半分くらいの容量でも良さそうです。
国内メーカも一刻も早くこの技術を採用して全負荷型蓄電池システムを開発し、POWER WALLより競争力のある(例えばすでに省電力化を行って自家消費量の少ないユーザー向けに蓄電容量4~6kWh)など小容量モデルを安価に販売して頂けると市場が盛り上がると期待できます。テスラの様に直販で中間マージンを省略するとより安価になります。そうなれば分散電源によるグリッド間連系プラン実現の後押しにもなるかも知れません。
すでに自家発電による自給率が高い場合は、この蓄電池を活用して自立運転が常用できるので、そもそも停電など気にする必要がなさそうです。
HIT(4.2kW)の発電データ
12月2日(月)雨
太陽光発電量 1.0kWh
エネファーム発電量(予約発電) 4.0kWh
W発電量 5.0kWh
売電量 0.3kWh
買電量 3.9kWh
W発電自給率 57.5%
W発電設備利用率 4.3%
日照時間 0.5h
連系以来 3763日(10年111日)