こじらせ女子ですが、何か?

心臓外科医との婚約を解消して以後、恋愛に臆病になっていた理穂。そんな彼女の前に今度は耳鼻科医の先生が現れて!?

聖女マリー・ルイスの肖像-【49】-

2018年01月05日 | 聖女マリー・ルイスの肖像
【万聖節】ウィリアム・アドルフ・ブグロー


 さて、今回で最終回です♪(^^)

 なので、まだ介護ネタ☆については色々あった気がするものの……このお話、あとがき書く予定がないもので、何かこの物語についてのことを最後に書いたほうがいいのかな~なんて。。。

 まあ、最終回の前文で夢のないこと書くみたいなんですけど(汗)、マリーについては「こんな人いるかしらww」みたいに思いつつ書いてたような気がします(笑)これはイーサンも大体のところおんなじで、「こんなに色々揃った人って、いるもんかしら」と思ったり思わなかったり(^^;)

 ランディとロンとココとミミちゃんに関しても、やっぱりなんというかこう……あるひとつの家庭に五人も六人も人がいたら、血が繋がってる・繋がってない関係なく、そのうちの誰かが日陰者として犠牲になったりとか、そういうことって割合ある気がするんですよね

 しかもマクフィールド家はすごくお金のある家なので――誰かが事業に失敗するとか、ギャンブルに尋常でない額(億単位☆)を投資して破産するとか、結婚に失敗して買い物依存症になる、麻薬中毒になる、アルコール中毒になる……などなど、その他誰かに騙されてお金がすっからかんになること含め、トラブルなんていくらでも起きそうな気がしたり(^^;)

 普通の家庭と彼らの何が違うのかといえば、単にお金があるだけに、自分がその時夢中になっているものに費やす額が一般家庭とはケタ違いだという、その違いしかなく、問題の本質としては起きていることは同じなんじゃないかな……なんて、個人的には思います

 まあ、マリーがもしマクフィールド家に派遣されてなかったらどうだったのかって、わたしにも想像は難しいんですけど(汗)、イーサンの弟たちを立ち直らせるやり方っていうのはやっぱりスパルタだったでしょうし、その点マリーは相手が何度失敗してどんなに駄目な状況であっても、「それであればこそ赦す」といった感じではなかったかと思います。

 ただこれ、イーサン的なだけであっても駄目だし、かといってマリー的に優しくひたすら赦して愛する……というのでも駄目だろうなって、自分的には思うんですよね。だからこそきっと子育てというか、人を本当の意味で立ち直らせるっていうのは難しいことなんだろうな~なんて思います(^^;)

 あー、なんかべつにこういう種類の説教くさいこととか書きたくないもので(汗)、この小説に関してはあとがきで書くことがほんとにないんですよね(笑)。なので、やっぱりちょっと全然関係ないことに話を飛ばすことにしたいと思いますm(_ _)m

 前にどっかで、マクフィールド家の雰囲気は、アメリカのホームドラマなんかがモデルになってる……みたいに書いた気がするんですけど、アメリカのホームドラマというか、ハイスクールが舞台のドラマもそうだと思うんですけど、最低一度はドラッグの問題って絶対でてきますよね。

 最近、アメリカのどっかの州で大麻を合法化するかどうか検討中……みたいなニュースを聞いたんですけど、わたしも昔は実をいうと「大麻くらいならいいのかな☆」とか、なんとなく漠然と思ってました。大麻が合法化されれば、他のコカインとかクラックとかヘロインとか、そっちの中毒患者を減らせるといった話や、ポール・マッカトニーさんといった有名人の方が「大麻合法化賛成」と話しているという記事を読んで……自分自身は大麻とか麻薬とか、医療以外の目的では関心ないにも関わらず、ただ海外のよその国のこととしては「大麻くらいなら合法化されてもいいのかな?」となんとなく思ってました。

 でもこれ、一番問題になるのが実は、十代の子供たちに対してどうなのか、ということなんですよね

 何故かというと、最終的にジャンキーと呼ばれるまでに人がなるとして……いきなり最初からヘロインとかやりだす人というのは少なくて、大抵人が麻薬中毒になる入口って大麻らしいんですよ。で、最初は「大麻くらいなら」ということで手を出し、その後人生でつらいことなどがあった時に、大麻だけじゃ物足りないっていう感じで、それがコカインといった麻薬に手をだすきっかけになるっていうことでした。

 昔、「アーノルド坊やは人気者」というアメリカの超有名ホームドラマがありまして(笑)、わたしこれ、再放送とかで見てたの小学生くらいの頃だったと思うのですが、ある時、白人の家に引き取られた黒人の長男ウィルスが机に大麻を隠し持っていたというので、義理のお父さんのフィリップがこっぴどく叱るという場面がありました。

 まあ、見てたのが小学生の時だったんですけど、ドラマにこめられたメッセージみたいなものは、すごく心に刺さるものがあったと思います。白人のおじさんが家のお手伝いさんの残した黒人の息子ふたりを引き取ってるわけですけど……実の父親だって、自分の子供の机から大麻がでてきたらどうしたらいいかわかりませんよね(^^;)

 だけど、フィリップさんはこの黒人の息子に対して、愛情があるからこそこっぴどく叱るわけですよ。そこに「じーん」とくるのと同時に、子供心にも「麻薬とか絶対やっちゃダメだ」みたいに感じました。もっともこれ、今の御時勢としては「大麻くらいのことでそんな目くじら立てんなよ」っていうほうが大勢かもしれませんけど……こういうただ正論を説くだけでは「なんだよ、ダセェな☆」みたいになるところをやっぱりドラマの中ではこれからもうまく描いていく必要があるんだろうなって思います。

 なんていうか、ココちゃんとか、ネイサンと別れたあとに麻薬中毒になるとか、ありえなくもなかったのかなーなんて……あと、ランディくんは無制限に食事をし続ける引きこもりで、ロンくんも引きこもって売れない漫画描いてて、ミミちゃんは今もぬいぐるみのヌメア先生が一番の親友で、お母さんのシャーロットさんの入ってた新興宗教にたくさんお金寄付してたりとか……う゛~んこれがまあマリーがマクフィールド家に来てなかった場合の、最悪に近いシナリオでしょうか(^^;)

 そんで、イーサンはたぶんキャサリンと結婚してて、やっぱり一度結婚しちゃうと、自分ひとりだけで何もかも思ったようには出来ない部分が出てくると思うんですよ。奥さんに「あんな弟や妹とは縁切ってよ」とか「なんであんなクズな子たちを助けるのにこっちがお金ださなきゃいけないのよ」とか、色々……そういう意味で、マリーはやっぱりマクフィールド家に派遣されてくることになってよかったのかな~なんて、作者としては思います(笑)

 ええと、最終回だというのに、どうでもいいようなくだらないことばっかですみませんここまで読んでくださった方、本当に本当にありがとうございました♪m(_ _)mm(_ _)mm(_ _)m

 それではまた~!!



       聖女マリー・ルイスの肖像-【49】-

 イーサンは夢から覚めると、えもいわれぬ幸福な気持ちで、一階のダイニングのほうへ向かった。窓のところにかかっているマリーの作ったカフェカーテンも、昔と同じくそこにかかっている。イーサンはカーテンを開けてそのカフェカーテンだけのかかった状態にすると、そこからマリーの大理石像を眺め、彼女に「おはよう」と挨拶した。

 そして、マリーの墓の前に彼女そっくりの女性がいるような気がして、イーサンはすぐさまそちらへ走っていったのだった。

「……ミミじゃないか。一体どうしたんだ?」

「ううん。べつにこれといって何か理由があったわけじゃないんだけど……ほら、近ごろ忙しくてあんまりこっちにも戻って来れなかったでしょ?だから……」

 まだ朝の七時半だというのに、庭のほうにはもう人がいた。イーサンは近くに住むマクギンティ夫人とマクドナルド夫人に挨拶すると、自分でも少しばかり手入れのほうを手伝った。ミミもまた隣で同じように園芸用のグローブをはめて土いじりをはじめる。

 今、季節は六月で、庭のほうは花盛りだった。クレマティスやアジサイや花菖蒲や百合や……冬本番になる直前まで、なるべく庭中が花盛りであるようにと、そのような園芸計画に沿ってたくさんの球根や種が植えられたため、今では観光客がただ通りすがりに写真を撮っていくということまであるほどだった。

「おねえさんは薔薇も好きだったけど、どっちかっていうとね、目立たない地味な花を大切にするっていう人だったものね」

 ミミはすっかり慣れたもので、花の状態を見て節のどのあたりから鋏を入れればいいか、よくわかっていた。そして、マリーの部屋に飾るための花をいくつか花鋏で切りとるということにする。そしてそのあとは、兄と一緒に花がら摘みをしたり、地面に落ちた花びらなどを拾い集めたりといった作業を続ける。

「なんだったっけな。エデンの土がどうこういう……」

「そうそう!」と、ミミは思いだして笑った。「エデンの土に植え替えられるまではね、地上の花たちはいつまでもずっと種の保存っていうことを第一に考えていかなくちゃいけないんですって。ほら、蝶々が綺麗な花に止まってるのを見ると、綺麗な花だから止まってるんだろうって人間は思うけど、蝶々の目には花って全然違って見えるんですって。蝶々は人間と違って紫外線も色として見えるから……ロン兄さんに何かそんな話をしているのを聞いて、子供ながらに感心したものだったわ。あとは、フォーレの『蝶々』っていう曲があってね、その曲に合わせて蝶々さんの気持ちになってみましょうって言ったり……」

 イーサンは笑った。自分が知らないそんなことがまだ残っていたのかと、そう思って。

「本当、不思議よね。マリーおねえさんは二十年前のちょうど今くらいの時期にうちに来てくれて……お兄さんは最初、おねえさんに対してあまり態度がよくなかったでしょ?でもおねえさん、お兄さんの話を真面目に聞いてる振りをしながら、お兄さんがたまに背中を向けたりすると、わたしにウィンクしてくれたの。わたし、それ見ながらね、おねえさんにとってお兄さんのお小言なんか全然身に応えないんだなって思って安心したの。だって、そんなことで嫌になってこの屋敷から出ていったりして欲しくなかったんですもの」

「ははは。まあ、そりゃあな。ミミは小さかったからわからなかっただろうが、ついほんの数時間前までまったく知らなかった赤の他人なんだからな。そんな人間を自分の家に上げるとなったら、そりゃ警戒もするさ」

 マリーが死んでから、イーサンとミミは何年もかけて……お互いにマリーのことで知っていることを情報交換しあったものだった。ミミは、イーサンがいない間、どんなふうにして毎日おねえさんと過ごしていたのかを、またイーサンはランディやロンやココとの間で起きたこと含め、ミミが大きくなるにしたがい、「このくらいならもう聞かせてもいいだろう」ということを順に話していったのだった。

 マクギンティ夫人とマクドナルド夫人は、庭仕事が一段落すると、庭の隅のほうにしつらえられた東屋で、持ってきたお弁当を広げ、食事をはじめた。彼女たちだけでなく、庭仕事をしていってくれる人々は、よく手入れのいき届いた庭に敷物を敷くなどして、晴れた日にはよくサンドイッチを食べていた。イーサンも最初のうちはある種の遠慮から、レモネードを振るまったりしていたが、彼女たちはみなマイボトルを持参してきており、「そんなに気を遣われたらボランティアじゃなくなりますわ」と口を揃えて言うのだった。

「さて、俺たちもちょっと中に入って、休むとするか」

「そうね」

 ミミはマリーのために摘んだ花を手にすると、マリーの墓の像を見上げてから屋敷の玄関へと兄と一緒に向かった。マリーの墓のまわりはいつでも花瓶に花が活けられており、ミミが花を活けるスペースはすでにないのだった。

「それよりおまえ、どうした?何かラリーのことで俺に相談にでも来たってわけじゃないんだろう」

 ミミは朝食にベーグルを一個食べただけだったので、イーサンがフレンチトーストとオムレツを焼いてくれるのを見て、喜んでそれを食べた。冷蔵庫にはレモネードの作り置きとスイカジュースが入っていたので、その両方を取りだして飲む。

「ラリー知事のことで兄さんに相談することなんてもうないわ。だって、あの方はわたしにはもったいないくらいの立派な方ですものね。ユトレイシア・オペラハウスでの仕事もそのまま続けていっていいっておっしゃるし……わたしが不安なのはね、兄さん。こんなに幸せでいいのかしらっていう、そんなこと。だって、その昔……同じようになんの悩みもなかった子供時代に、突然おねえさんが亡くなって。またあんなことが繰り返されないかしらって、わたしが不安になったりするのはそんなことだけよ」

「そうか」

 自分の分のカエルの目玉焼きを焼くと、イーサンは椅子に座ってフレンチトーストにかぶりつく。

「懐かしいわねえ、それ」と言って、ミミがレモネードを飲みながら笑う。「ほんとね、初めてマリーおねえさんがファニーサイドアップでうさぎの目玉焼きを作ってくれた時には感動したものよ。それも、ベーコンで首のあたりにリボンをつけてるみたいにしてくれて……おねえさんはどんな魔法を使ったんだろうって思ったくらい」

「ミミも、結婚して子供が生まれたら、同じようにしてやったらいいさ」

 イーサンはコーヒーを淹れていたが、外の暑さのせいもあって、やはりスイカジュースを飲むことにした。

「そうね。わたし、きっとおんなじようにするわ。洗濯をした時には、サボンと柔軟剤のいい香りがして……昔のわたしにとってそれは<おねえさんの匂い>だったけど、よく考えたらあれがお母さんの匂いだったのよね。それに、朝起きてきたらいつも、キッチンからはパンやオムレツを焼いたいい匂いがしてきて……ハロウィーンも毎年楽しかった。おねえさんったら気前がいいものだから、来る子供来る子供にいっぱいお菓子の詰まった袋を籠から出してあげてたの。不思議の国のアリスや魔女の格好や……小さい時はね、本当の意味ではよくわかってなかったの。そういう衣装を作るのにおねえさんがどのくらい大変だったかとか、そういうこと……」

 ミミはぐすっと少しだけ涙ぐんで、ティッシュで目頭のあたりを拭った。

「そりゃまあ、おまえは小さかったんだから、それが当然さ。それに、マリーはおまえや兄さんたちや姉さんのことを喜ばせたくてそんなことをしてたんだから、そういう意味では十分報われてたんじゃないか?」

「うん。それはね、本当にそうなんだけど……」

 ミミもまた、スイカジュースに口をつけると、今度は少しだけ笑った。

「本当にねえ。おねえさんが来た当時、わたしは別だったけど、兄さんたちも姉さんも、野菜が嫌いだったでしょ?わたし、今でもみんなで食事に行くと、少し不思議な感じがするの。みんなどうやって野菜食べられるようになったんだろうって思ったりして……ココ姉さんのことは覚えてるのよ。おねえさん、なんとかは美容にいいとか、この野菜には抗酸化作用があるとか、説得力のあること言って、ココお姉さんに色々食べさせるようにしたのよ。ほら、こういう陽射しの暑い時にはシミを作らないためにビタミンCがたっぷりのこの野菜ジュースを飲みなさいとか……他に、糖分を控え目にして美味しいクッキーを作るにはどうしたらいいかとか、色々ノートに書いてあったでしょ?こんなに色々わたしたちのことを考えてくれてたんだなあって、初めてあのノートを見た時、感動しちゃった」

「そうだな。マリーにとってはどうも、ガキってのは神さまからの預りものみたいな感じだったらしいからな。アグネス院長宛ての手紙にも書いてあっただろ?成人して大人になるまでは、子供が何を口に入れるかについては親に責任があると思う……みたいなこと。幸い、マクフィールド家はお金持ちで、なんでもオーガニックの食材が使えるから、それだけでも自分の責任は軽減されるような気がして助かるって。まあ、あいつは実際、着るものだけじゃなく、食べるものも我慢しようと思えばいくらでも出来るって感じだったものな。家族でレストランに行くって時も、子供のために一緒についていくってだけで、そういうことにも実際は大して執着とかそういうものがなかったんだろうな」

 あざらしパンやラッコパンに関しても、マリーの残したレシピがあったからイーサンも作れたようなものだった。といっても、最初は失敗続きで、頭のふたつあるあざらしパンや頭部の破裂したラッコパンばかりが出来てしまい――ちゃんとした姿形のものをイーサンが作れるようになったのは、そのようなあざらしとラッコの大量の犠牲を生んでのちのことではあったのだが。

「わたしもね、大きくなってからよくわかったの。外の人はマリーおねえさんほど綺麗でもなければ心も清らかじゃないってこと……だからね、ずっと不思議だった。マリーおねえさんみたいに生きるにはどうしたらいいんだろうって。まあ、わたしの場合メアリーが守ってくれたから、随分助かったのよ。メアリーったら、本当はわたしと仲良くしたいのに、どうしていいかわからなくって、それで毎日わたしに物をせがんでいたなんてねえ!しかもそのメアリーがランディ兄さんと結婚して子供が生まれてマリーって名づけたんですもの。わたしもロン兄さんと一緒に言っちゃったわ。『わたしも女の子が生まれたらマリーって名前にする予定だったのに』って」

 メアリー・コーネルはマクフィールド家に引き取られると、自分の立場というものをよくわきまえて、最初のうちは一緒に同じ食卓で食事をすることさえしなかったものだった。また、イーサンのことをよく手伝い、部屋の掃除や料理や、色々なことを小間使いよろしく色々と手伝ってくれるだけでなく、学校ではいつでもミミの盾となって守った。たとえば、ミミに対して『ミミだなんて、まるで娼婦みたいな名前だな!』などと言う輩がいたとすれば、その男子生徒たちの末路は実に悲惨なものになったと言わねばなるまい。

「まあ、確かにランディとメアリーが結婚するだなんて、俺も考えてみたことはなかったな。この家にいる間、くだらないことをくっちゃべっては笑いあってた記憶はあるが、そんな恋愛的兆候なんぞ何もなかったものな。ただの仲のいい兄と妹みたいな感じで……だがまあ、ランディにとってはメアリーは特別な女の子だったらしいぞ。他の女の子っていうのはランディが金持ちらしいっていうのを噂で聞いて近寄ってきたりするんだと。その点メアリーは確かに違ったものな。ココやミミに対してもそうだったが、ロンやランディに対しても王子様に仕える小間使いといった感じで、いつでも二段も三段も上の相手みたいに心の中では思ってるというのか」

「そうね。メアリーはランディ兄さんのこともロン兄さんのことも王子さまとは言わなかったけど、イーサン兄さんに対してだけは『王さまの言うことはなんでも聞かなくっちゃ!』みたいによく言ってたものね。わたしも、兄さんがメアリーを引き取るって言った時には微妙な気持ちだったけど、今は彼女がいてくれて本当に心から感謝してるのよ。あんなに忠実で、この子だけは自分を裏切らないっていうくらい信じられる友達なんて、メアリー以外に見つけるのは今でも難しいくらいだもの」

 もちろん、ミミには昔も今も友達ならたくさんいた。だが今二十六歳という年齢に達してみると、女の友情というものを長く続けるというのがどのくらい難しいかというのが、だんだんによくわかってくるものだ。

「俺も、マリーが『メアリーのおばあさんを施設に入れて、もしメアリーを引き取る気持ちがおありなら……』みたいに言われた時には、実際切れそうになったからな。そんな赤の他人の子を我が家に入れるなんぞとんでもないと思ってな」

 ――その後、メアリーのおばあさんはアルコール中毒を治す施設に入所後、数か月して亡くなった。もともと、心臓のほうに疾患を抱えてはいたらしいのだが、それほど重篤なものでもなく、突然発作を起こして亡くなった時には病院の職員たちもみな驚いたという。メアリーは結局その後、イーサンが後見人ということになり、ミミと同じユトレイシア音楽院の中等部へと進学した。といっても、メアリーには音楽的才能など何もなかった。そこで、彼女はマリンバやビブラフォンなど、パーカッションに使われる打楽器をマスターするとともに、ユトレイシア音楽院の難しい一般入試試験にもどうにか合格したのであった。

「本当、不思議よねえ。マリーおねえさんに関わった人って、みんな幸せになってる気がするもの。唯一、マリーおねえさんのことを受け容れなかったり悪口言ったりした人たちはその恩恵に与れなかったかもしれないけど、わたしたちと同じように一目見た瞬間に『この人は普通の人とは違う特別な人だ』ってわかった人にとっては……メアリーだけじゃなく、ホームレスのおじさんとかマッキンタイア夫人とか、コーネリア・ローズさんとかクロフォード夫妻とか……」

「そうだな。まあ、俺にとっては不思議というよりも驚きだ。死んだあとにこんなに色んな人がマリーによくしてもらったといってぞろぞろゾンビみたいに出てきたんだから。それだけじゃなく、直接にはあいつのことを知らない人までもがあいつの手紙を読んで感動したといって、ものすごく長い手紙を財団宛てに送ってきたりするんだからな。それも、自分の人生を変えた、信仰生活が変わった、これからそちらの施設のどこかでボランティアをしてみたいってことにはじまって、『迷ってたけど、これで牧師になる決心がつきました』だの、『看護学校に入ろうと思いました』だの、果ては『宣教師としてアフリカへ行くことにしました』だの……死んだあともこんなにたくさんの人間に影響力を与えてるんだ。俺は昔は、この地上には本当の意味で永遠なものなんかないとよく思ってたが、今は考えが変わったよ。この地球も太陽もいつかは滅ぶ。だけど、全人類が滅ぼうとも、マリーが人にしたことっていうのは残る。ようするに、それが永遠っていうことなんだろうな」

 イーサンは今や、マリーのゆえに、日曜日は毎週欠かさず教会のほうへ通っている。そしてユトレイシア・ノアの方舟教会の野球愛好会、天の方舟チームは、その後イーサンのスパルタ教育によって飛躍的に戦績が伸びていったといってよい。今やこの地区の最強チームとして名を馳せているほどだ。

「わたしも、嬉しいの。イーサン兄さんもランディもロンもココお姉ちゃんも……もちろんわたしも、みんなマリーおねえさんのお陰で人生が変わったっていうことが。いつか、もしわたしが今よりずっと年を取って死ぬことになったとしても、わたしたちの元には天使じゃなくておねえさんが迎えにきてくれるって、家族のみんながそう信じてるってことがね」

「…………………」

 ミミはまたティッシュで涙を拭い、イーサンは少しの間黙ったまま食事をした。

 マクフィールド家の今の家族の絆を生んだのも、やはりマリーのお陰だった。想像してみるだにぞっとすることではあるが、マリーがこのマクフィールド家にもしやって来なかった場合……イーサンはもしかしたらランディとは彼が成人後、何かちょっとした諍いをきっかけに二度と顔を合わさないといった関係になっていたかもわからない。いや、イーサンはランディのことを今、とても高く買ってはいる。だが、事業に注ぎこむ金の使い方や、女性との交際の仕方やら(何分、マリーがいないということは、ランディはメアリーと結婚していないということになる)、色々うるさく言うあまり、何かの拍子にきっと大喧嘩になっていたろう。

 ロンに対しても、「漫画家だなんて、そんな夢みたいなことばかり言ってないで、まっとうに働くことを覚えろ」といった具合で、(お兄さんはぼくの本当の気持ちなんか何ひとつわかっちゃいない)といったふうに内に篭もっていたかもわからない。

 唯一、ココとミミとの絆というのは、もしかしたら今とそんなに変わっていないかもしれないと思いもするが、それでもマリーの死のことがなくて、家事のことなどをココに押しつけてばかりいた場合、ある日ネイサンではないもっとレベルの低いボーイフレンドと暮らすために家出する……といったことはあったかもしれない。

 ミミにしても、ピアノを習いはじめたり、さらには声楽を本格的に学びはじめるということはなかったであろうし、そうなると今よりもっと平凡な特にこれといった特技を何も持たない子として、結婚する予定もなく、ずっと家にいたかもしれない。

 しかも、ここまで並べた「もしかしたらあったかもしれない未来予想図」は、これでもまだ比較的「よい」ほうだった。だが、今やマクフィールド家はマリーの死によってひとつに堅く結ばれており、喧嘩をする前からすでに和解しているといったような強い絆を持っていた。ランディとロンはその後も(本格的かつ深刻な)兄弟喧嘩をしたことはなかったし、ココもこのふたりの兄のことを誇りに思い、また妹のミミのことも大切にしていた(ちなみに、ココはメディアに身をさらすことの多いミミのファッションについて今も色々アドバイスしたりしている)。

 また、メアリーのことにしても、彼女を引き取ると言った時、誰より一番反対したのはココだったが、メアリーがいるお陰で自分の家事仕事が減るとわかると、実に可愛がっていたものである。

 イーサンはかつてその昔、「誰がなんと言おうとも、この世界では家族と愛が大切だ」などとは微塵も思ったことはない。金だけの繋がりしかない父親、十一歳の時に死んだ、家にあまりおらず、家事能力のない母親に育てられても、自分などは比較的まともに育った――その一事をとってみれば、家族も愛もそんなに大切なものではないように思われた。だが、今イーサンは「家族と愛以外に大切なものなど何もない」と言える自分が嬉しかった。兄妹のうち、誰かが困っていたらいくらでも何かして助けてやろうと思うし、それは家族の全員がお互いにそう思っていることでもあったからだ。

「あのね、お兄さん……」

 スイカジュースを一口飲むと、ミミは何故か上目遣いになって、言いにくそうに言った。

「お兄さんは、結婚するつもりはないの?ほら、自分がラリーと結婚するからとかそういうことじゃなくって……お兄さんはお料理でもなんでも出来る人だから、そういう心配はしてないんだけど……わたしたちもみんな独立したようなものだし、お兄さんはそのこと、どう思ってるのかなあって前からたまに思うことがあって……」

「そうだなあ」

 イーサンはマリーのレシピノートに作り方のあったレモネードを飲んで笑った。

「どうなんだろうな。『この女と絶対に結婚したい』というような、逆らえない宇宙的力でも感じれば、そういうことにもなるんだろうがな。だがまあ、現実の結婚っていうのは親友のルーディが送っているようなああいうものじゃないかっていう気がする。もちろん俺はあいつのことが好きだし、ルーディの生き方自体も何もかもが好きだ。友達としてな。だが、俺もおそらくキャシーあたりと結婚していたとすれば、おそらくあんな感じじゃなかったかと思う。出来ちゃった結婚で、子供がいる以上仕方ないって感じで夫婦生活を続けて……もっとも、ルーディのところに子供はいないんだがな。三回くらい流産して、その後は……いや、俺も詳しいことはよく聞いてないが、おそらくはそういうことなんだと思う。実際、あいつはいい奴なんだ。他でちょっと浮気するにしても、あくまで遊びであって、ミランダと離婚する気はないって程度のものだ。奥さんのほうはちょっと子供のことを気にしすぎてるが、むしろ子供のいたほうが今ごろ離婚してた可能性のほうが高いとルーディは言ってるしな」

「…………………」

 黙り込んだ清純な妹のことを見て、イーサンにしても余計なことを言ったとは思った。もちろん、ラリーはミミに首ったけであって、それ以前の問題として知事という立場にあろうがなかろうが、一度結婚した以上浮気するようなタイプの男ではない。だが、ラリーのようであれることが理想だと思いながらも、ルーディの生き方にもやはりイーサンは心惹かれるものを感じた。そしてそれはラリーにしても実は同じなのだった。

「ああ。これから理想の相手と結婚して幸せな花嫁になるって妹に、なんか余計なことを言っちまったな。ラリーはルーディと正反対で、恋愛や結婚といったことは真面目に考えるタイプだから大丈夫とは思うが……」

「いいのよ、お兄さん。わたしだってもう子供じゃないんですもの。ルーディさんのことはわたしも好きだし、何より本を読むとわかるの。表面的にはちょっと軽薄そうに見えるにしても、実はとても深みのある人だってことも……でも、お兄さんの場合はあれよね。女の人のほうでは兄さんに<宇宙的引力>を感じてる人がたくさんいるのに――お兄さんのほうではマリーおねえさんの存在感が強すぎて、誰にもそんなものを感じられないんじゃないかしら」

「かもしれないな」

 ミミは食事を終えると、冷凍庫を開けてシャーベットを取りだし、それをデザートにすることにした。オレンジやぶどうやメロンや、色々な味や形をしたシャーベットだ。このシャーベットの作り方も、マリーのレシピノートに作り方が載っているものだった。

「わたしこれ、おねえさんが夏のとっても暑い日に作ってくれた時のこと、今もよく覚えてるわ。クローバーとかハートとかダイヤとか……色んな型に入れたものを、最後、冷凍庫に入れて固めるでしょ?でもわたし、どうしても待ちきれなくってしょっちゅう冷凍庫を開けてばかりいたの。そしたらおねえさん、『ミミちゃん、そんなにしょっちゅう開けたり閉めたりしてたら、固まるものも固まらないわ』っ言って、別のことに気を逸らそうとしたのね。そのあと、『ベンジャミンのおくりもの』っていう本をわたしとうさしゃんに読んでくださったの。そしてね、わたしとうさしゃんが絵本の内容に夢中になってるうちに――シャーベットのほうではすっかり固まってくれたというわけ」

「そうか。そういえばうさしゃんは元気か?」

「ええ。元気よ。今も世界中、どこの楽屋にも一緒についてきてくれるの。わたし、うさしゃんにおねえさんのことを今では重ねてるところがあるのね……だから、マネージャーにはいつも言ってあるの。座席のひとつにね、オペラやコンサートのはじまる前にうさしゃんのことを運んでおいてもらって、いつもおねえさんに聞いてもらってるような気持ちでいるのよ」

 昔懐かしいシャーベットの味を楽しむと、ミミは帰っていった。正直なところを言って、イーサンがこれまで結婚せずに来たのは実は、ミミの存在が何より大きいかもしれなかった、そうは言っても、イーサンの中でランディよりもロンのほうが可愛いとか、ロンよりランディのほうが可愛いといったことはないように、そうした比較によって自分の四人弟妹を見たことはイーサンにはない。

 だが、やはりミミは末っ子として特別な子だった。容姿的にというのではなく、一年一年成長していくごとにどんどんミミがマリーに似ていくのを見るにつれ……イーサンは自分の結婚云々といったことはどうでもよかったし、何よりそれ以前に生活全体が忙しかった。最初、イーサンは大学で哲学科の教授の助手という立場だったのだが、ある時機会があって『善について』という一冊の本を出版した(ちなみに、本の最初のほうにある推薦文は教授が書いてくれた)。

 それは哲学の歴史を遡って、どんなに自分の側に不利な条件が揃っていても、善や正義を行わなければならないのは何故かといった主旨について述べたものであり、本の中にはマリーの善人としての死についても触れている箇所がある。イーサンはこの時点で出版界においてはまったく無名の人物であったし、この手の地味な哲学の本というのはそもそもがそんなに売れる手合いのものではない。

 ところが、これがなんの間違いからかベストセラーリストに長期間載るということになり……やがてイーサンは恩師の哲学科の教授が定年で引退するのと同時、准教授から教授へと昇進したわけだった。今、イーサンは哲学科の教授として生徒から絶大な人気がある。「人は何故生きるのか」ということや、戦争や飢饉といったことを含む世界の終末のシナリオについて宗教と哲学の両面から説いてみたり、今や誰も疑問すら持っていないように思われる資本主義の正当性についてなど――イーサンの講義はおそらく、人生を生きる上で思想として必要なすべてを備えているという意味で、学生たちのみならず一般聴講生たちにも人気があるものと思われた。

 もちろん、この<人生>という中には、結婚といったことも欠かせない。何分哲学の講義の中では揺り篭から墓場までに起こりうる主要なことについて論じているといっても過言でなかったから、「恋愛」とか「結婚」ということについてもイーサンは少しばかり講義の時間を割く。そして、毎回この講義の時間になると、「他に何か質問は?」とイーサンが最後に聞くなり、必ず誰かしらが「何故マクフィールド先生は結婚されてないんですか?トシっちゃトシだけど、今だって十分格好いいのに」みたいな質問をだす。

 イーサンの答えはいつも大体同じものだ。「キルケゴールは言ってる。『結婚しないでいるがいい。君は後悔するだろう。結婚するがいい。君はやはり後悔するだろう』と……ようするに先生はその前者ということだな。今のところ、何か後悔の念に苛まれて夜眠れなくなるということはないにしても」……学生たちはどっと笑い、大抵はこの答えに満足してくれる。

 実際のところ、一般的にいって男性が結婚する決断をする場合、その動機は性欲や愛によるもの、すなわち愛欲が動機であることが多いだろうとイーサンは思っている(もちろん、講義の時にはこんなストレートな物言いはしない)。また、第二には社会的な動機が大きいかもしれない。会社の取引先の上役に信頼されるには、結婚していないよりも結婚していたほうがより信頼されるといったことに始まるあれである。また、結婚という社会的通過儀礼を経験していないと(仮にその後離婚したにしても)、ある一定の年齢に達するとある人間グループの関係において軽んじられるといったことがあるだろう。

 もちろん、ロックスターや俳優や作家など、そのようなことに比較的煩わされずに済む人種も存在してはいる。つまり、プロの絵描きや彫刻家、詩人など、「彼は芸術家だから」ということで、結婚などしていなくてもその一言で済まされてしまうといった類の人々である。

 この点、イーサンはほとんどまったくといってもいいほど、社会的重圧といったものを感じていなかった。何分、年の離れた弟妹を四人も育てたも同然だといったように世間が評してくれるため、「あなたは結婚したことがないから、こういうことがわからないのよ」とか、「子供のいない男にはわからないわ」などと言われて軽んじられるようなことすらない。

 何分、イーサンは自分でも自覚しているとおりプライドが高いため、その種の何かがあったとすれば「適当な女性と結婚する」ということも考えたかもしれない。だが、イーサンは今満たされて幸せだった。そしてこの幸福を他の人々に理解して欲しいとすら思っていないのだ。

 実際のところ、イーサンはマリーの<不在の存在感>を感じながら、今もあの屋敷でふたりで暮らしていた。そして、マリーのことが恋しくなると、彼女の好きだった19世紀頃の作家――ジェーン・オースティンやアンソニー・トロロープなど――の小説を読む。その間、イーサンは心の中でこの本のこの箇所を読んでマリーはどう思ったのだろうと考えたりするのだった。すると、何故か彼女が今も生きているような感じさえすることがある。

 さらには、本当に人生が虚しいような、精神的危機にある時には、いつでも夢にマリーが出てくる。そして、この頃にはイーサンにも大分色々なことが理解されてきた。夢の中の世界はいつでも夜だった。だが、まわりを死のような暗闇の山に囲まれたあの場所の山頂が、白々と明けそめてきたとしたら……その時こそ、自分の死の近い時なのだと。

「まあ、あの時の流星がいくつも湖の底に落ちていた様子から見た感じだと……俺はどうやらまだ死なないらしいな、マリー。おまえが生前神の手足として働くよう言われたように、今じゃ俺がそんなおまえの手足だ。まだこの地上で俺におまえの名の下に何かさせたいことがあるというのなら、俺はすべておまえの望むとおりにしてやろう。そして、それが今の俺の一番の生き甲斐なんだ」

 そしてイーサンはこの時、ふと思いたってマリーの好きだったあの詩人――エミリー・ディキンスンの詩集を持ってきて読んだ。


 >>死が――せまい愛となるまで
 残されたわずかな心は
 あなたを支えるだろう
 あなたの有限の権利がつきるまで

 けれどもあのひとの死が
 あなたにひどい欠乏をもたらし
 あなたの生命はあまりにも落ちぶれて
 それからはただあのひとに倣う

 やがて瓜二つとなって
 あなた自身はあのひとを追うあまり
 自然の楽しみを棄てて
 ただ愛を見せる

(『ディキンスン詩集』新倉俊一さん編訳/思潮社より)


 ――イーサンは結局のところ、このあとも生涯に渡って一度も結婚はしなかった。もちろん、彼の人生にマリー以後、一度も女性の影がなかったという、これはそうしたことではない。ただ、彼はどんな女性のこともマリーと「今も住んでいる」屋敷に入れることはなかったし、そういう意味でおそらく、イーサンは最初の婚姻を守り通したのだ。いや、それは世間の人々が「法的な意味では」結婚していないと見なしていたというだけで、イーサン自身はずっと自分は結婚していると思って暮らしていたという、そういうことなのだろう。

 またその後、ランディとメアリーの間には長女マリーの次にイーサンという長男が生まれ、ロンも獣医の女性ルイーズと結婚し、ルイスという男の子が誕生した。ココは三十代後半になってから一度結婚して離婚していたネイサンと結ばれ、ユリアという女の子を出産した(ユリアというのは、ネイサンの亡くなった母の名前である)。そしてミミはマリーとルイスという一男一女に恵まれた。

 イーサンはこの自分の甥や姪というよりも、ほとんど孫としか思えない子たちのことを実に可愛がった。また彼らのほうでもこの伯父に実に懐き、両親には相談できないような問題についてはいつでもこの伯父の元に持ち込んだものだった。

 そして今、マクフィールド家では女の子が生まれたらマリー、男の子ならルイスという名前を残すよう、子供たちに話して聞かせているところである。「それはどうしてなの?」と子供たちが聞く時、ランディもロンもココもミミも、実に懐かしそうに顔を和らげて、自分たちの家に小さな頃、天使がやって来たという話をするのだった。そして、その天使の名前がマリー・ルイスという名前だったということを……。



 終わり





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