こじらせ女子ですが、何か?

心臓外科医との婚約を解消して以後、恋愛に臆病になっていた理穂。そんな彼女の前に今度は耳鼻科医の先生が現れて!?

惑星パルミラ。-【23】-

2022年08月05日 | 惑星パルミラ。

 

 さて、例の問題(?)に関連して、まだ色々書きたいことはあるものの……今回は「こんだけSFについて知らない人が、どの作品を参考にしたのか」ってことについて、です。

 

 ハイ、まず今回のトップ画見てみましょう。いや、もう笑っちまいますね(笑)。確か「サンドワーム(砂蟲)」ってモンスターをわたしが最初に知ったのは、ゲームのRPGかTRPGのルールブックでだったと思いますが……それから△□年もしてから、元ネタの小説を初めて読むってどうなんでございましょう、的な(^^;)

 

 しかも、ゲームにおけるモンスターのサンドワームって、そんなに強くない的印象があるんですよね。でも、元ネタのサンドワームは「こっ、こんな奴にどうやって勝てっつーんだよおおッ!!」というこの素晴らしいまでのスケール感いえ、こんな完璧な小説書いたフランク・ハーバートさんは、まさしく天才と思います

 

 そんで、実はわたし、自分では最初そう思わなかったものの……パルミラの多幸感を覚える空気中のアレ(笑)っていうのは、ようするに『DUNE――砂の惑星――』におけるメランジを思わせるとこがあるよーな……と、あとから思わなくもなかったんですよね。

 

 この一種の麻薬(香料)のようなメランジは惑星デューンの砂漠でしか取れず、しかもこのメランジのあるところ、必ず護り神のようにサンドワームさんがセットでいらっしゃるという。なので、メランジの獲得はまさしく命がけの作業となりますが、このメランジの供給量っていうのが、他の惑星にも大きな影響を与えているわけですよね(あと、航宙ギルドにも)。

 

 確か、デューン読みはじめる前から、惑星パルミラの設定は大体のところ決まってたとは思うものの……まあ、パクリ☆ということでも自分的にはまったく構わないのです(笑)。あと、デューンの発表年は1965年みたいなのですが、大体このくらい昔のSFというか、特に有名でSFの古典名作山脈に名前刻んでる系の小説っていうのは、もし仮に何かこう連想されるような設定を使ったりしてても――割とオマージュ☆ということで片付けられる傾向にあるのではないかという気がしたり(^^;)

 

 まあ、わたしもまだあんまりというかほとんどSF的なものを読んでないものの(汗)、SF芸の伝統の継承みたいのがどうもあるらしく、たとえばそれは小説じゃなくても、漫画でもアニメでもSF映画でも……何かこうSFツー(通、ツウ?)の方々の間では、「SF作家の△□の影響が見られる」といった指摘というのは特段侮辱ということもなく、SFの伝統芸(?)みたいなものは、そんな形で連綿と続いてきたし、まったくの真新しいオリジナリティーあふれる作品が待ち望まれつつ、「たぶんこの作品はSF作家のなんとかやこんとかやかんとかの影響を受けてるんだろう」と指摘できること自体が楽しく、それもまたSF小説を読む面白さのひとつではなかろーか……と、そうしたことらしいんですよね(^^;)

 

 んで、わたしスタニスワフ・レムの小説って『ソラリス』しか読んでないものの……惑星パルミラに太陽がふたつある設定というのは、ソラリスからです。なので、第一の太陽がソニア、第二の太陽がソラリス(笑)。第二の太陽の名前は間違いなくソラリスから取りました。あと、「絶頂の惑星」という言葉も、わたしの中の語彙としては存在してなく(エクスタシーの惑星はあったにしても・笑)、この言葉自体も『ソラリス』からです。確か、今回はまだ出てきてないものの、そのうち「絶頂の惑星」という単語がどこかに出てきてたように記憶してます(というか、わたしもこれから読み返すんだけど^^;)。

 

 あと、影響受けたといえば、オラフ・ステープルドンの『スターメイカー』。『オッド・ジョン』に関しては、この小説読んでなければ「オッド・ステラ」という名前はつけてなかったと思います。そんで、『スターメイカー』は書いてる途中のどこかで読み終わったように記憶してるものの……実はわたし、オラフ・ステープルドンっていう作家自身、まったく知りませんでした。ただ、某密林様にてSF小説をいくつか検索してると――「あなたへのおススメ」みたいな感じで、SFの名作や、あるいは割と最近の話題作などがいくつも出てくるんですよね(笑)

 

 それで、『スターメイカー』というタイトルと、あの表紙に惹かれたわけです。「星を創る人??っていうことは、宇宙の創造主?」的なことが連想されたわけですが、あらすじ読んでみるとなんかそれっぽい……ということで、試しに注文してみたわけです。それで、『スターメイカー』については【5】のところで軽く触れてるので内容についてはそちらを参考(?)にしていただくとして――まあ、途中まで読んでるうち、なんとなくわかるわけですよね。最後のほう、確かに『スターメイカー』なる創造主が出てくるにしても、それは人間が想像するような<慈愛あふれる神>などではありえないだろーな……ということは、割と早い段階で予想されるわけです(^^;)

 

 けれど、わたし自身は一読者として『スターメイカー』の描写は見事と思いますし、他にはありえないくらいのものとも思います。

 

 >>わたしが向き合っていたのは、暖かい歓迎でも心やさしい愛でもない、まったく違う精神であった。そしてすぐにわかったのは、<スターメイカー>がわたしを創造したのは、花嫁に迎えるためでも愛する子どもとしてでもなく、なにか別な目的のためであったのである。

 彼は自らの神性の高処から、完成した自作を値踏みする芸術家の、情熱的ではあるが超然とした注意を払いつつ、わたしを熟視したように思われた。自らの達成を穏やかに寿ぎながらも、結局は最初の構想に取り返しのつかない誤りを見つけて、早くも創造のやりなおしを熱望しながら。

<スターメイカー>の眼差しは、穏やかな手つきでわたしを解剖し、不完全な箇所を捨て、わたしが幾星霜の苦闘を経て勝ち得たささやかな美点を、自らの滋養にするために吸収した。

 苦しみのなか、わたしは無慈悲な創造主に叫び声をあげた。結局は被造物の方が創造主よりも気高いのだと叫び声をあげた。というのは、被造物のほうは愛し、そして<スターメイカー>という星にさえ愛を切望したのに、創造主である<スターメイカー>は愛することも、愛を必要とすることもなかったからである。

 

(『スターメイカー』オラフ・ステープルドン著、浜口稔先生訳/ちくま文庫より)

 

 こんなふうに一部分を引用しても、「なんのこっちゃら☆」という話ではあります(^^;)でも、この宇宙の不思議なありようを科学的に観察し、第一次世界大戦その他における人間のありえないまでの惨状といったことを思うに……霊的な存在として遠く宇宙を旅してきた主人公を、「随分長いこと旅をしてここへ辿り着いたのですね、我が子よ」と神があたたかく優しく抱きしめるとか――まあ、ありえない結論だろうというのは理解できます。

 

 けれど、この『スターメイカー』こと無窮の神霊、すべての肉なるもの、物質的なもの、霊的なものの頂点に立っているのだろう存在との接触……ここから、あるひとつのヒントが導きだされるように思わなくもありません。人間が神が創った被造物であるとするならば、それがどのような存在であれ、我々人間は基本的に恋い慕うよう霊的な意味で組み込まれているわけですよね。つまり、それは宇宙の孤児であるひとりの人が、実際に数千億光年ばかりも旅して、自分を創造した神(親)が、「あれ?もっとすごい人と思ってたのに、なんかみすぼらしいような……」と感じたとしても、ある意味文句は言えない。しかも、これだけすごい旅をして、ようやく神と出会ったのに「神がどのような存在かなど、知らぬほうがよほど幸せであったろう、可哀想な我が子よ」と言われたとしても――この方が、わたしたちの霊の源であることだけは、自分の内に同質の霊を感じるがゆえに、その事実を否定できないとしたら……まあ、「本当にほんたうの真実なる神」という存在はそんなことないんでしょうけれど(笑)、そうした可能性もゼロ%ではないのだ……とか、色々連想的に考えさせられるところも、『スターメイカー』という小説の持つ凄さ・素晴らしさではないかと思います。

 

 なんにしても、今のところわたしが「特に影響受けた」のは、SF小説に関してはこの三作ではないかという気がしたり(たぶん

 

 それではまた~!!

 

 

       惑星パルミラ。-【23】-

 

「なるほど……」

 

 ここで、一緒に<フェイゲン研究所>から小型飛空艇に乗ってきた、他の研究員のひとり――ザック・アイスヴァーグが廊下の向こうからやって来て、声をかけた。

 

「シドニー・ローエン所長が昆虫採集から帰ってきたみたいだぜ」

 

「ああ、そうか。教えてくれてサンキューな、ザック。さて、施設内をまだ色々案内したいのは山々だが、まずは先にシド施設長に挨拶をしにいこうか」

 

<フェイゲン海洋研究所>は、海からの人間の耳では感知することが出来ないほどの囁きをシャットアウトするためかどうか、施設内は窓も少なく、建物の構造自体、非常に閉鎖的な科学施設といった趣きであった。無論、常に研究所内の空気を洗浄し、パルミラ中に瀰漫する例の成分をなるべく排除する必要があるとはいえ――ここ第四研究所はもう少し解放的な雰囲気に溢れていた。特に一階から三階までは窓も多く、常時施設内のどこからでも、周囲に集まってくる動物たちの様子を眺めることが出来るようになっている。何より、壁に飾られた中の絵が動かないタイプの絵画や、他の惑星のトーテムポール的なものがあちこちに飾られていたりと……代々の施設長の趣味なのかどうか、どことなく原始的生命や文化を重んじるといった、何かそうした空気があちこちから感じられたものである。

 

 ゼンディラはこの時、てっきりシドニー・ローエン施設長の所長室というのが一番上の階にあるのではないかと想像していたが、驚いたことには施設長の執務室兼私室となっている部屋は、同じ一階にあるという。

 

「シド所長は大の爬虫類愛好家でね……昆虫採集のほうもさ、トカゲやヤモリや蛇のエサのために取ってくるんだよね。動物に関しては施設の中で飼ったりできないけど、爬虫類や昆虫類は別でね。あと、鳥類に関しては飼ってるんじゃないけど、裏庭のほうにそうした人工的な巨大ジオラマを設置してあってさ、たくさんの鳥が自然にやって来るよう、色んな種類の植物や鉱物を配置してあるんだ。そっちにはあとで案内するよ」

 

「よろしくお願いします」

 

 所長室のほうはドアも開きっぱなしであり、シドニー・ローエン施設長という人物は、どうやらあまり細かいことを気にするタイプの人間でないのではないかという予感が――その時からゼンディラはしていたものである。

 

「ハァーイ♪どうもどうも、君が<フェイゲン研究所>のアイドル、ゼンディラくんだねん」

 

 この時、シド所長は首に二メートルばかりもある、白地にきらきら黄色く輝く鱗の蛇を首に巻きつけ……今採ってきたばかりの宝石に擬態した昆虫を、惜しげもなくその蛇に与えていた。

 

「は、はい……シャトナー博士からは、先に連絡しておくと聞いていたのですが、第一研究所へ向かうまでの間、お世話になります」

 

「ああ、いいのいいの、細かいことはほんと、どーでもよろしい。あ、ちなみにこっちはボールパイソンのポールくんだよん。どう、君もエサなどひとつ与えてみては?」

 

「…………………」

 

(いえ、結構です)とも言いづらく、ゼンディラが黙ったままでいると、マイケルが助け舟を出してくれた。

 

「所長、会って早々すぐ蛇にエサを与える栄誉を与えてしんぜよう……なんて言われても、大抵の人は困っちまいますよ。こっちのゼンディラさんは、ESPの素養ありとされながらも能力が目覚めないもんで、そこらあたりの研究のために第一研究所のほうにご用があるそうです。まあ、そのあたりについては我々の感知するところではありませんから、ゼンディラの待遇はまあ、特別な珍しい客人といったところでいいのではないでしょうか」

 

「いやいや、我々の施設にそんな特別な客人などやって来るのは、いつぶりかね?ESP機関の子供たちはみなかわゆいが、君くらいの年齢の若者で、下位惑星出身の客人など――我々の間で迎えるのはとんとないことだもんねえ」

 

 まあ、なんにしてもゼンディラくん、そこらへんに座りたまえ……そう促され、ゼンディラはあちこちにシミの散見される汚い薄紫のソファに座った。室内のほうは、シド所長が仕事をするためらしい木製の机に、他には片側にこの既知宇宙中の動物に関する本がびっしり詰まった本棚、あるいは廊下でも時々見かけたトーテムポールといった装飾品が置いてあった。壁には、シド所長が今まであらゆる惑星で出会った珍しい動物と撮った写真などが飾られている。

 

 それから、オウムのような原色の鳥が大きな鳥かごに一羽いたが、(ここパルミラの動物は檻に入れるとストレスで禿げてくる聞いたけれど、例外もあるのだろうか)……ゼンディラはそんなふうに思い、赤い毛並みに冠羽がブルー、尾羽がグリーンのオウムをちらと眺めやった。

 

「ああ、オウムのジョンね。ゼンディラ、君はこういうしゃべるタイプの鳥のこと、どう思う?私らが一生懸命教える言葉を、本当の意味で理解する知能が、彼らに備わっていると思うかね」

 

「どうでしょうか。ある程度、そういうところもあるのではないかと思いますが……たとえば、朝におはようと言ったら、オウムのほうでもオハヨウと言ってくれたり、飼い主にとってそれが心に嬉しいことなら、鳥がそれを挨拶と理解しているかどうかは、もしかしたらどうでもいいことかもしれませんよね」

 

 ここで何故か、シド所長とマイケルは顔を見合わせて笑っていた。その理由については、ゼンディラにものちにわかるが、どうやらこの一言ですっかりシドニーはこの旅の僧侶が気に入ってしまったらしい。

 

「いいねえいいねえ、ゼンディラくん。下位惑星系のマイナーな宗教の僧侶だなんて聞いてたから、もっとお堅い人物がやって来るのかとばかり思っていたよ。そうだそうだ、マイケル。もうすぐ第三研究所ではナイト・フェスティバルがあるんじゃないかい?その時、我々と一緒に<カペルスキー研究所>へ行くってのはどうだろう。結局、第一研究所のESP研究所の子供たちだってその時カペルスキーへやって来るんだろうから……それで、その時にゼンディラのことはピックアップしてもらえばいいってだけの話じゃないかね」

 

「そうですね!まさにナイス・アイディアです、シド所長」

 

 マイケルは勝手知ったるなんとやらで、奥のほうにあるキッチンから、三つのグラスとポッドを持ってきて、アイスハーブティーを注いだ。シド所長のほうではエサをあげたポールくんを窓の外へ逃がしてやっている。

 

「それで、どんなもんだね、ゼンディラくん。ここ、惑星パルミラの印象のほうは……」

 

 シド所長は金色のハーブティーをごくごく飲んで喉を潤すと、強い酒でも飲んだあとのように、ぷはーっと満足気な吐息を洩らしている。彼は薄い金髪にブラウンの瞳をした、口許にヒゲを蓄えた五十手前くらいの人物のように見えた。

 

「とても……素晴らしいところだと思います。ただ、あまりに素晴らしすぎて、その点で問題があるのかなという気はしますが……」

 

 ここでシド所長は再び、マイケルと目を合わせると驚いたような顔をして、彼らふたりの斜め向かいの袖椅子に座った。そちらも椅子カバーなど含め、シミだらけだったが――蛇といった爬虫類がおしっこし放題では、無理もないことだったに違いない。

 

「すごいね、君、ゼンディラくん!大抵の人はねえ、ここパルミラの快楽性にすっかりやられちゃうみたいなんだよね。かといって何も、やる気ゼロの廃人になるってわけではないにしても……ただもう、ある種の向上心みたいなものがすっかり失われ、どことなく退廃的になっちゃうというか。我々はその点、三か月おきにコロニー生活をすることで、どうにかこうにか免れてるっちゃ免れてる気もするけど……ゼンディラくん、私がここ<マンハイム研究所>へやって来たのは、もうかれこれ三十年ほどの昔だよ。惑星間動物取引条約に触れた角で――まあ、簡単にいえば密猟団の一味と間違えられてね。裁判惑星行きが決定したんだ。で、『自分は何も悪いことはしてないのに、こんな冤罪のためにこれから何年も時を無駄にするのか』と悶々としていた頃……本星の情報諜報庁から迎えがきたんだ。うまく手を回して裁判は無効にしてやるから、そのかわり自分たちの仕事を手伝えと言うんだね。正直、最初はどうせろくな仕事じゃないだろうと思ったんだが、その後私が思ったのは、『冤罪で捕まって良かった!』ということだったかもしれないね。何故なら、そのお陰でここ、パルミラなんていう動物たちの楽園へやって来ることが出来たんだから……」

 

(わたしと同じだ……)

 

 この時、ゼンディラはロドニアス・クルーガーやヨセフォスといった特殊工作員が、何故自分をすぐ裁判惑星へ連れていこうとしたのか、その理由があらためてわかるような気がした。おそらくは、似た形で冤罪、あるいは軽微な罪状によって捕まえ、その後釈放と引き換えに恩を売り、その相手を意のままにする……おそらく、一種の手続きとして、情報諜報庁の分析官や工作員がよく使う手段だったに違いない。

 

「そいでね、ゼンディラくん。私がここの<マンハイム研究所>の所長になって、かれこれ十年くらいになるんだけど……惑星パルミラにいる動物でわかってる哺乳類は5122種、鳥類が1万125種、ヘビやトカゲといった爬虫類も1万12種、昆虫に関しては100万種を越える種が発見され、それぞれ分類・登録されてるんだけど――まあ、これからも極たまにね、新種が発見されるってことはここ陸のほうでもあるかもしんない。でも、その新種を見つけるのにやっきになろうという研究員は、私含め誰もいないし、偶然どっかに出かけて珍しい虫なんかがいて、『もしかして新種じゃね?』くらいのことしか今はもうみんな考えてないんだね。つまり、ここパルミラでは発見されて六千年くらいの間に……そのくらい色々調べちゃって、いまや私の代ではそんなにやるべきことは残ってない感じなんだ。まあ、もちろんわからない謎についてはまだたくさん残ってもいるよ。それぞれ、どんな植物や鉱物を好むか、その生態についてはわかっていても――『何故そうなんだろう』と考えはじめると、ちょっとしたラビリンスだよね。ねえ、ゼンディラくん。私は今までの間、相当長いことこの既知宇宙中を旅して、色んな惑星で色んな動物や鳥類や爬虫類なんかと直に会ってきた。そしてそんな中で一番不思議だと感じているのは、どんなことだと思うかね?」

 

 マイケルのほうではすでに答えを知っているのだろう、彼はゼンディラのほうを興味深い眼差しでじっと見守っていた。

 

「どんなことでしょうね……なかなか難しい動物クイズです。ええと、わたしが<フェイゲン研究所>にいた時、『この惑星では鬱病になる生物は何ひとつとしてないのでしょうね』とふとつぶやいたら、シャトナー博士がこんな映像を見せてくださいました。それは第五研究所からは離れている場所の海辺でのことらしいのですが、ラッコによく似た愛嬌のある生物がいて……いえ、わたしはラッコという生物自体、初めて見たのですが、海にぷかぷか浮いて、お腹のあたりに置いた石で器用に貝なんかを割って食べるという映像を見せてもらったのです。でもその、オパールみたいな石を何かの拍子に失くしちゃったんですね。そしたらその後、半狂乱になったようにその石を探したのち、愕然とした顔をして、暫く無気力に水の上をぷかぷか漂っていました。その後、このラッコには二日くらい落ち込んだような様子が見受けられたそうです。でもまた、新しく石を見つけて同じようにしだしたわけですが、これは『石ならなんでもいい』ということではないという意味で、それを失った時軽く鬱っぽくなったということなんじゃないかと、シャトナー博士がおっしゃっていたことがあって……」

 

「ああ、なるほど!まったくゼンディラくん、君は面白いことを言うねえ。もしかして、精神病になるのは人間だけ……なんていうのは、我々の傲慢な思い込みだということかい?」

 

 この時、シド博士の後ろのほうにあるケージで、オウムが「バコ」とか「ズコ」と言いだしたが、ゼンディラは特にそれほど気にしなかった。

 

「というか、こんなふうに「自分は何故生きているのだろう」なんていうことで悩むのは人間だけで、人間以外の動物はそういった種類のことで悩まないのは何故なのだろう……なんてふと、そう思ったものですから」

 

「いいねえいいねえ、ゼンディラくん。君はやっぱり着眼点が違うんだね。どうだい、今からでも僧侶から動物学者にジョブチェンジしてみるというのは……なんていう冗談はさておき、私が今も一番不思議に思ってるのはね、ここ惑星パルミラ以外の惑星では、大抵動物の進化の過程が似たりよったりで、弱肉強食による食物連鎖が働くことによって生態系のバランスが保たれている――という点で、どこも大体似てるんだね。まあ、ちょっと中には精霊型人類とか、ブッ飛んだ存在もいるにはしても、そうした例というのは数として極めて少ないわけだよね。だから、私はこう思った……というより、私以前にすでに同じことを考える学者というのは何人もいたわけだけど、あるひとつの惑星が超新生爆発によって生まれ、その後長い時をかけ、生命の生まれる土壌が育まれ、最初に単純な構造の単細胞生物(細菌)の誕生、藍藻植物による光合成によって酸素が生まれ……続く、海中での多細胞生物の誕生と生命大爆発。それら三葉虫やアンモナイトなどの、海中生物の進化と繁栄。その後、火山活動によって誕生した大陸で森林が形成されるようになると、そこから順次、節足動物、両生類などが陸へ上がっていき――ゼンディラくん、我々人類と呼ばれる一般に高等動物とか呼ばれる生物が誕生するまでには、本当に気が遠くなるほどの時がかかる。しかも、その間何度となく色々な生物が絶滅するか、あるいは絶滅寸前のストレスをかけられることによって進化してきたんだ。私はね、ここパルミラではどうだったのだろうと思うよ。何故って、どの動物も極めてストレスに弱いし、蛇には牙のある種は存在しないし、毒によって身を守ろうとする蜘蛛といった昆虫も存在しない。ハチによく似た昆虫もいるんだけどね、彼らの中に針を持ってる種はただの一匹もいないと来てる!ここパルミラはまったくもって驚異の惑星さ――ゼンディラくん、君ももしかしたら<フェイゲン研究所>で見せてもらったかもしれないけど、今ではパルミラ誕生から今現在に至るまでの仮説が一応、今から43億年前に遡って3D映像で見ることが出来る。まあ、とにかくパルミラの特徴は、多種多様な鉱物の分布が惑星誕生の極初期から見られたこと、その鉱物が閉じ込めた栄養分が溶け出して混ざり合い、それが生命誕生のきっかけになったということ……その後は幸運にも隕石衝突といった緊急事態が起きるでもなく、今という今まで色々な動植物や昆虫などが幸福かつ順調に進化してきた――これはまったく驚くべきことだよ、ゼンディラくん!」

 

「シド所長」ここで、マイケルが小さく手を挙げて言った。「ええと、ぼくがその昔聞いたところによりますと、所長がこの既知宇宙中で動物学者として不思議に思っているのは、どこの惑星にもどこかしら似たりよったりの動物や昆虫が存在していることだと聞いた気がします。もちろん、その惑星によって呼び名は違うにしても、地球産の動物と比較した場合、どこの惑星にもライオンに似た肉食獣のトップに立つ存在がいたり、チーターのような足の速い動物、馬やロバのように人が上に乗って移動するのに適した動物とか……その他、川にも海にも人間が食べるのにいい魚が泳いでいるし、内部の骨格や内臓の構造に若干の違いが見られるにせよ、脳の構造それ自体にはそんなに差がないって。それで、これは地球発祥型人類と他の爬虫類型人類といった異星人の脳を比べた場合でも――まあ、似たりよったりだったりするわけですよね。もっとも、爬虫類型人類種の場合、我々よりも嗅覚が優れていたり、アメン星人などは目も見えず耳も聴こえませんが、彼らには彼らで特殊なテレパシーによってやりとりが出来る伝達方法があり……それでも、脳の基本構造自体には驚くほど違いがあるわけじゃありません。でもここパルミラでは、これほど幸運な環境に恵まれていながら――人間のような存在は生まれなかったわけですよね。ここでは、『我思う、ゆえに我あり』と考えるような唯一の存在が石、鉱物生命体ということですよ」

 

「ううむ。まったくもって大きな謎だよねえ。というか、我々だっていまだに何故『自分たち人間に意識などというものがあるか』、わかってなどいないのだからね。そして、第一研究所近くにある例の洞窟の主にしても、その点は我々と同じらしいよ。何故自分に物を考える力があるのか、意識的なものが存在しているのかは、彼にもわからないらしいからね」

 

「シド所長は、その、この惑星パルミラの魂とも言われる鉱物生命体と出会われたことがあるのですか?」

 

「いいや、残念ながらないよ」

 

 自分の後ろでオウムが『バコズコ』言っていても、まるきり気にも留めず、シド所長は続けた。

 

「第五研究所の施設長のリーにも聞いたかもしれないがね、その昔とは違って、いまや彼は自分が誰と会い、誰と会うべきでないかを選ぶそうだからね。でも、ESP研究所へやって来た能力者たちはみんな、誰とでも会うようだから……ゼンディラ、君もいずれ会見を許されるんじゃないかね。そうそう、第三研究所にいるカミル・グルーシン施設長は、選ばれて呼ばれたことがあったらしいよ。彼の言ったことによれば、例の鉱物生命体さんに『気に入られている』ということだったからね。ナイト・フェスティバルがあった時にでも――彼から話を聞いてみるといいかもしれない」

 

「わたしは、ESP能力者なんじゃないかと言われつつ、その実力のない無能者ですからね。そうした意味で、パルミラの魂とも言われる鉱物生命体と会えるかどうかはわかりません。それで、そのナイト・フェスティバルというのは……」

 

「ゼンディラ、君は実にいい時にやってきたもんだよねえ!」

 

 マイケルが喜びを禁じえないといったように、嬉しそうに言うと、シド所長のほうでも、何度となく「うんうん」と頷いている。

 

「ええと、大体来週の1月末頃かな。北欧地帯の第三研究所のあるあたりが夜になるんだ。ゼンディラ、君もここへ来てからずっと昼間ばかりでびっくりしてるだろうけど……まあ、研究施設内ではね、各個人の部屋をまったくの真っ暗闇にして、既日リズムを整えるようにしてるにしても――天然の夜なんてもの、経験できるのは一年に数日だけってことでね。ちょっとしたお祭り騒ぎになるのさ。研究所を空にするわけにはいかないから、その全員がってわけにはいかないけど、それでも第一研究所から第五研究所に至るまで、たくさんの人間が夜を祝いにやって来る。しかも今年はさ、びっくりするなよ、ゼンディラ!三つある月がこの夜の間に三つ重なる瞬間まであるんだ」

 

「そうなんですか」

 

 惑星パルミラはふたつの太陽と三つの月を持っており、ひとつ目の太陽をソニア、二番目の太陽をソラリス、ひとつ目のピンクがかった月をピュリス、二番目の青みがかった月をルファーナ、三番目のグリーンがかった月をファシリテと呼んでいた。そしてこの三つの月が重なりあう瞬間というのは――実に、七十六年に一度と言われている。

 

「感動が薄いなあ、ゼンディラくん!ESP機関経由でパルミラへ来たということは、あそこの長官は今メルヴィル=メイウェザーくんだから、まあ、メイウェザーくんの心憎い優しさというか親切心というか気遣いといったところだったんだろうねえ。とにかく、なんにしても君はいい時にきたよ」

 

 もちろん、メイウェザーの頭にはそんなパルミラの持つ三つの月が七十六年ぶりに一列に並ぶ瞬間のことなど、まるで頭になかったに違いない。単に彼としてはロニー=ブラッドリーとゼンディラの接触をなるべくならば避けたかったという、それだけの理由であったろうから。

 

 そしてこの瞬間――シド所長の後ろで、突然オウムが『せっくすぅ!』と叫びだし、ゼンディラは目を丸くした。オウムはさらに雄叫びを上げ続ける。『バコ』、『ズコ』、『せっくすぅ!!』それから続けて『ズコバコせっくすぅ!!』と叫び、『せっくす、バコズコ』などと繰り返した。

 

「やれやれ。こっちは楽園惑星パルミラで、三つの月がナイト・フェスティバルの夜に一列に並ぶというロマンチックな話をしてる最中だというのに……なんだ、このクソみたいなオウムは!下品なことを立派な僧侶さまの前で口にするんじゃない、ジョン!!」

 

 シド所長は怒った振りをして、そんなふうにオウムのことを叱りつけたが、彼が面白がっていただろうことは間違いない。マイケルのほうでも大笑いしている。

 

「ほら、最初に所長がゼンディラに聞いたろ?こうしたオウムみたいな鳥の話す言葉を、本人は理解してると思うかどうかって……このオウムのジョンはさ、元はここの施設の――まあ、ぼくのガールフレンドなんだけどね、ケイトリンって子に懐いて、毎日ジョンのほうからケイトのいる部屋の窓までやって来るようになったもんで、『可愛い子ね』、『なんて優しい子』、『愛してるわ、ジョンちゃん』とかなんとか毎日言って可愛がってたわけ。そこでだね、我らがシド所長がケイトにこう聞いたんだ。『ジョンは君の言ってることをちゃんと理解してると思うかね』って。ケイトは答えた。『そりゃもちろんそうですわ。オウムっていうのはそりゃもう賢い生き物なんですから』とかなんとかね。で、人の悪いシド所長は、ジョンのことを見つけるとそばまで行って繰り返しよくない言葉を教えたんだ。そしてその後、ジョンはケイトの窓まで行ってこう繰り返した。『セックスしたい。キミと、ズコバコせっくす』みたいにね。もちろんケイトは怒ってシド所長の部屋に――ようするにここだけど、怒鳴りこんできた。彼女が怒ってたのは実は、ジョンのことだけじゃないんだ。ジョンが覚えた言葉を、他のオウムなんかが覚えてしゃべりだすかもしれない……というわけで、ジョンは責任を取ってシド所長が引き取ることになったわけさ」

 

「君のガールフレンドを悪く言う気はないが、ケイトも馬鹿な子だよね。鳥類学者なら誰もが知ってることなのに、ただの反響言語を鳥がちゃんと言語ってものを理解してると思うなんてさ……ところでゼンディラくん、君はもうこの星の石、鉱物たちと話したりなんかしたかい?」

 

「いえ、まだ……ただ、シャトナー博士の話によると、多くの場合石たちはひとりでいる時に話しかけてくると聞きました。わたしはまだこの惑星に来たばかりで、ほとんどひとりになれる機会というのがないので……」

 

「ああ、そっか。言われてみればそうだよね。言語学ってことでは、第三研究所のグルーシン博士のほうが詳しかったりするんだけど……まあ、いいや。ここパルミラにずっといるとね、鉱物とだけじゃなく、何故か不思議と他の動物や植物ともしゃべれそうな気のしてくることがある。それでね、私はこういう仮説を立てた――ここ惑星パルミラで生きる全生物の共通点というのは、一体なんだろうと。みんな、惑星の大気中に瀰漫する例の成分を吸ってるということじゃないか、とね。これでもし……我々が鉱物病になることを恐れず、他の動物や昆虫たちみたいに……色んな鉱物をアイスキャンディよろしくなめだしたとしたらどうだろう?ゼンディラくん、君には馬鹿げて聞こえるに違いないが、もしかしたら私はビッグリスやジャンボうさぎとも意思の疎通をはかれるのではないかと考えている」

 

「ですが、初期の頃の宇宙船<ピルグリム号>の人々は、ここにある果実をもいで食べたり、土に自分たちの持ってきた種などを植えて育てたことで……鉱物病になっていったわけですよね?そして、鉱物病になるということは、体内に鉱物の何かしらの成分が蓄積していくということで――でも、そうした状態になった時、もし他のパルミラの動物などと意思の疎通ができたとすれば、そうした記録が残っているのではないでしょうか?」

 

(そうとも、そうとも)というように、シド所長は何度も頷いている。マイケルもまた、ゼンディラがいつでも適切な切り返しの出来ることに、感心しているようだった。

 

「そうなんだ。当然そのことは私も考えた……だから、やっぱり私たちはあくまでよそ者なんだろうなということをわきまえた上で――パルミラの動物も昆虫もみんな、それぞれ食べる植物や鉱物が決まってるわけだろう?そしてこうした鉱物類というのは特に、どこかよそから邪悪な人間でもやって来て、ごっそり惑星外へ盗んでいくか何かしない限り……彼らがいくらなめてもしゃぶってもなくなるということはない。我々人間も、もしかしたら自ら進んで毎日パルミラの植物と鉱物だけで生きていける方法を見つけたとしたら――この惑星と同期できるかもしれないじゃないか」

 

「同期、というのは……」

 

 ゼンディラがそう疑問を差し挟むと同時、マイケルが即座に「不可能ですよ、シド所長」と、苦笑いして言った。

 

「我々人間がパルミラの植物を生のままで食べたりとか、鉱物だけしゃぶって生きるなんていうのは、到底不可能です。それに、ここの動物や昆虫がそうであるみたいに、だんだん目がちょっと宝石っぽく輝いてきたり、体の一部がそんなふうになってきたら――まあ、それこそ鉱物病の初期症状ですが、みんなから不気味がられて除け者にされちまいますよ。でも、シド所長の言いたいことはぼくにもわかることにはわかります。つまり、生きてる間は無理でも……死んだあとでなら同期が可能かもしれないということでしょう?例のあの洞窟に列石されてる人たちは、きっと惑星パルミラの一部のようになってるんでしょうから、彼らの魂の一部もまた、パルミラのすべての動植物や鉱物のことをわかっている、理解している――そういうことですよね」

 

「そうだ。だって、私たちにしたって不思議だろう?普通、こんなことを言ったら、『何わけわかんないこと言ってンすか、所長。ぎゃははっ!』てなもんだろう。だが、私もマイケルも石に話しかけられたことがある……そうなると、理屈でなくわかってしまうんだ。ここ惑星パルミラでは、一番偉いというのか、すべての生物の頂点に立つ生命体が石、鉱物類で、彼らと同じようになれることが世界最大の幸福なのだというふうに――意識が変わってきてしまうのだよ!もちろん、私と君には他のこともわかっている。何故って、人工コロニー『ルステラ』へ言って石抜きをすると、また少し考えが変わってくるからだよ。『石、石って、あんなもんたかが鉱物じゃないか』というようにね。でもそれでいて、パルミラへ帰らないということだけは絶対的に考えられない……あ、ゼンディラくん。今話したことは私とマイケルからの君への忠告と思ってくれ。ここ惑星パルミラに長くいると、私たちのようになってくる、それが幸福なことなのか不幸なことなのかは別として、そんなような末期症状のでる前に、自分はここを離れられて良かったのだ――そう思えるくらいがきっと健全なのだとね」

 

「…………………」

 

 ゼンディラが話についていけず、暫し沈黙したままでいると――オウムのジョンがまた、『ズコバコ、せっくすぅ!!』、『ズッコン、バッコン。イケるぞ、こるぁ!!』、『チミを思ってマスターベーション』、『きもついィっ!!』などと雄叫びはじめる。

 

「ダメじゃないか、ジョン!!大切なお客人が来てる時は、下品なことを言うのは厳禁だとあれほど注意したのに……いいかげんにしないと今日の夕食に鳥肉として蒸して出しちまうぞ」

 

 すると、『ヤレルもんならヤッテミロ、こるぁ!!』と、興奮したように冠羽を広げたジョンから返事が返ってくる。ある意味、きちんと会話が成立しているように聞こえるのが、不思議といえば不思議だった。

 

「あ、シド所長。ぼくも<フェイゲン研究所>から帰ってきたばかりなもんですから、ゼンディラをまだあちこち案内してないんです。だから、パルミラに生息する他の鳥たちはこんなに下品じゃないってことを知ってもらうのに、先に裏庭のあたりでも案内してきますね」

 

「ああ、それがいいね。そのほうが、私がこのクソ鳥と口汚く罵りあうのを聞かなくてすんでいいだろう」

 

 ――ゼンディラとマイケルはシド所長の部屋を辞去すると、彼の案内でまずは研究施設の裏庭側へ向かった。<庭>などと言っても、そこからは果てしもなく森林地帯が広がり、その先には大河パローナが大蛇のようにうねり、そのあたりは豊かな湖沼地帯でもあったから、その中で暮らす鳥類や動物たちが暮らしやすい区域を自然を模して形造った……裏庭のジオラマと呼ばれる場所は、何かそうしたところらしい。

 

 砂色の扉を開けて外へ出ると、第一の太陽ソニアが沈み、次に第二の太陽ソラリスがちょうど上って来ようとするところであった(ちなみに、パルミラで暮らす人々は第一の太陽が沈む時、それを便宜上<夕方>と呼び、第二の太陽が昇ってくると、それを<夜>のはじまりとしてカウントしている)。

 

 裏庭では種々の樹木に数多くの鳥たちが憩い、その美声を競いでもするかのしように――否、その美しいコロラトゥーラを互いに響かせ、生きる喜びの交歓会でもしているかのようであった。一度に数十種類の異なる鳥が鳴き交わしているのは間違いないのだが、それでいて不思議と調和して聴こえるのが、ゼンディラにも不思議だった。

 

 

 >>続く。

 

 

 

 

 


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