メディアの仕組み
池上彰・津田大介
対談本ではあるが、さながら「池上彰の仕組み」とでもいえそうな本。彼があえてとっているスタンスの持論とか情報のインプットアウトプットの方法論とかが、津田大介との対話の中で語られている。
興味深いのが、池上彰が毎回チェックしているメディア。
○新聞
・読売新聞
・朝日新聞
・毎日新聞
・日本経済新聞
・SANKEI EXPRESS
・朝日小学生新聞
・毎日小学生新聞
・中国新聞
○雑誌
・クーリエ・ジャポン
・ニューズウィーク日本版
・日経ビジネス
・FACTA(隅々まで読む)
・選択(隅々まで読む)
・TIME
・中央公論(ときどき)
・週刊ダイヤモンド(特集による)
・週刊東洋経済(特集による)
・週刊エコノミスト(特集による)
だそうだ。そして、テレビは見ない、とのこと。
新聞で、小学生新聞が入っているのは彼の由来からしてわかるけれど、中国新聞が入っているのが興味深い。地方紙をひとつチェックしておくということなのだろうか。それにしてもなぜ中国新聞なんだろう。
雑誌も、「選択」とか「FACTA」が入ってくるのがジャーナリストっぽいし、クーリエジャポンとかニューズウィーク日本版みたいに、エッジの効いた海外ネタも視野に入っているところが彼らしい。
いずれにしても、日常に構えておくメディアの数としてはやはり広いほうだと思う。
最近はやりの情報インプットスタイルは、検索型の情報収集、あるいはSNSなど介した近しい人からの情報流入が中心だとは思うが、これの最大の弱点は、けっきょく自分が関心を持っている領域しか情報が入ってこないということだ。例のgnosyにしても、自分に興味ある情報に集約されがちだ。
一方、この広めの網の投げ方は、池上彰自身がいうところの「ノイズ」、津田大介いうところの「誤配」、一般的には「セレンディビティ」を期待する情報収集法である。
こういう受動的情報収集の代表がテレビとされているわけだけど、その分テレビの前にかじりついていなければならず、テレビは見ないということは、時間とのコストパフォーマンスの上でテレビは情報収集としては期待できない、という彼の本音が見えている。
そして、追跡すべきテーマが決まれば、実はそこはかなりのオールドスタイルというか学究的につきつめているようだ。
事実の組み合わせのみでメッセージを語っていく彼のスタイルはこうしてできているのかと知った次第である。