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蕎麦汁小考3…「かえし」考(1)

2012年07月10日 | 蕎麦

「かえし」概論

「かえし」とは、 蕎麦汁の材料のうち、基本的には、濃口醤油と砂糖を混ぜ合わせたものをいいます。 これに味醂を加えている店が大多数です。

他の材料を加えたり、引いたりして、独自の味を作る店もあります。 しかし、基本的な線は変わりません。

この「かえし」に出し汁を合わせて蕎麦汁(辛汁・甘汁)をつくります。

関東の蕎麦屋のほとんどが、「かえし」を使って蕎麦汁を作る方法をとっています。

考え方としては、汁の《元》ととらえれば、解りやすいでしょうか。

「かえし」の利点と効用

〇味の強化

醤油に砂糖を混ぜる事で醤油のキツサを和らげ、同時に旨味を強化する利点があります。 「かえし」はある程度寝かせます。 熟成させる事で、醤油と砂糖は一体となり、角がとれ、当たりが柔らかくなります。 蕎麦と馴染みやすい汁を作る事が出来るのです。

〇保存性の向上

砂糖を混ぜる事で防腐効果があります。床下の様な場所に置けば、暑い時期でもある程度の期間なら大丈夫です。

〇汎用性と利便性

「かえし」を元に、天つゆ等の、色々なつゆを作る事が出来ます。

一度に量を仕込む事も可能であり、汁の《元》が常にある事で、時間およびコストを短縮する事が出来ます。

欠点がない訳でもありません。

ある程度の量を仕込んだ方が味も作業効率もいいのですが、予定通りにはけないと、保存性があるとはいえ、大量に仕込んだものが味の変質及び劣化する事となる危険性がないとはいえません。

その店に合う、より美味しい蕎麦汁を安定して作るには、「かえし」は非常に重要です。 更に考えていきたいと思います。