連れション
夕方のNHKニュースを観ていたら、「連れション」という言葉が字幕に現れてびっくりした。ジェントルマンを自任するわたしは、少なくともご婦人の前では絶対に口にしない言葉である。ところが、淑やかそうな女性アナウンサーも、淡々とこの言葉を口にしている。
しかし、これはれっきとした学術報告のニュースであった。
京大大学院博士課程の大西絵奈さんは、京大野生動物研究センターで飼育する20頭のチンパンジーを観察して、近くにいるチンパンジーが小便をするとつられて小便をする傾向があることを発見した。この傾向は順位が低い個体ほど大きいという。
大西さんは、「連れション」というよりも、「つられション」というべきだといっている。
この結果は、京大のホームページ(チンパンジーにおける排尿の伝染―仲間がおしっこすると、つられておしっこする― | 京都大学)、あるいは投稿論文が掲載されたCurrent Biologyの電子版(https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(24)01594-X?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2F)で読むことができる。
わたしは動物行動学の話を聞くのが大好きだが、研究者はひたすら対象を観察することで法則性を見出す。運根鈍である。
有名なミツバチの「8の字ダンス」を発見し、ノーベル賞を獲得したカール・フォン・フリッシュは、巣箱の下に寝そべって、ひたすらミツバチの動きを観察したという。
大西さんもチンパンジーのおしっこを観察するのが大変だったとおっしゃっている。
ユニークで面白い結果を発見したこの若手動物行動学者に拍手を送りたい。
神 よ
ドナルド・トランプ氏が返り咲きアメリカ大統領に就任した。
就任式には歴代大統領夫妻が列席していたが、オバマ元大統領夫人のミシェル氏が欠席したのが印象的だった。
彼の就任の衝撃が1期目に比べて小さかったのは、トランプ⇔大統領という組み合わせに対する違和感が減少したためであろうか。
しかし、言うことは前にも増して過激である。
TikTokはアメリカでのサービスを再開し、「言論の自由」を言うトランプ氏のおかげと言っている。どんな「自由」が展開されるだろうか。
パリ協定からの離脱を表明し、化石燃料を「掘って掘って、掘りまくれ」とアジり、EV車の義務化を廃し、ガソリン車を奨励している。環境問題や地球温暖化などのニュースは、トランプ氏にとってはフェイクなのだろう。
選挙運動中の襲撃事件を2度にわたって切り抜けたことの理由を、「神がわたしを救ったから」とトランプ氏は言う。
わたしは言う。神よ、地球を守りたまえ。
ホワイトハウス。2014年撮影。
STOP WAR!
こんな人が文明国中の文明国に平然と現れてしまう。そして地球が汚れようが、どうなろうがお構いなしで二つの手を人差し指を立てながら体をくねらせる。
どうしてこんな人が選挙に勝ってしまうのか、どうしても理解できません。
トランプ大統領は先鋭化し過ぎています。「神よ、地球を守りたまえ」と願うのみ。
トランプというより、トランプを選んだアメリカ社会が心配です。世の中だんだん難しくなってきているような気がします。感嘆に読み解けない。歴史家はどう見るのでしょうか。