
なぜ「あかつき」は苦難の道を乗り越え、金星に向かったのでしょうか。金星は地球と直径や質量がほぼ同じくらい(金星の方が少し小さい)で地球の兄弟星あるいは姉妹星とも言われています。46億年の昔に地球とほぼ同時に誕生し、それからしばらくの間は金星の表面にも地球のような海があったと考えられています。しかし似ているのはそこまでで、今日の金星の環境は地球と大きく異なっています。まず表面の気温は460℃もあり、気圧は92気圧という高温高圧の地獄のような環境です。上空には硫酸を成分とする雲に覆われ、そこから硫酸の雨が降ってきます。硫酸の雨は地上に達する前に蒸発し空に戻ります。大気はほとんど二酸化炭素でできていて、これが強烈な温室効果を生んでいます。そして上空にはスーパーローテーションが吹き荒れているという具合です。サイズも重さも地球にそっくりな金星が、なぜこれほどまでに環境が異なってしまったのか?その原因を解き明かすことによって、普遍的な惑星気象の原理が明らかにできると期待されています。地球の気候変動の原因と目される二酸化炭素による温室効果の仕組みもよく理解できるようになると考えられています。こうした理由で「あかつき」は10年に及ぶ宇宙の旅を続けています。
上の写真は1982年3月1日に金星表面に着陸し初のカラー写真の撮影に成功した旧ソ連のヴェネラ13号の記念切手です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Venera_13 から引用させていただきました。