まず会話文だけを抜き出すと、
「あ~……これが噂の……」
「かなり荒らされてるわね……落書きも酷いし」
「流石にこれは無いわね」
「確かに……」
「無いわね、これは」
「ハァ……」
「まあ良いわ……帰りましょ」
「やっぱり、噂は所詮噂なのよ。あ~あ、来なきゃ良かったこんな場所」
「来年は違う人でも誘って」
「悪かったわね、もう誘わないわよ。ふんっ」
これらの頭文字を縦に読むと「あかさたなはまやらわ」となる。
次に、地の文(状況)を整理すると
私は親友と二人で心霊スポットに来た
↓
しかし、そこには先客がいた
↓
院内を一周する
↓
しかし、不思議な事はおろか物音一つなかった
↓
不満を洩らす
↓
親友が怒る
今回のポイントは最初、先客がいたという点である。
廃病院はかなり音が響くはずだが、
院内を一周しても『物音一つない』というのは明らかに不自然である。
つまり、聞こえるはずの音が聞こえなかったという事である 。
最後の一つ、それは会話の中に潜んでいる。
『流石にこれは無いわね』
との言葉に、
『確かに……』
『無いわね、これは』
と受けている。
一見、普通の会話のようだが、
語り手は親友と“二人”で来ている。
しかし、『流石に~』という言葉に対して『確かに……』と『無いわね、これは』という返事があります。つまり、この場には三人いる事になる。
つまり、返事をした内の一人は、この廃病院に取り憑く地縛霊?