語り手の木下は、亡くなった父親の死体がどこかへ行ってしまい、それを探し続けている。
木下の友人の栗木は、
「桜の木の下に木下の父親の死体が埋まっている。」
という話を教えてくれたのだが、
なぜ彼はそんなことを知っていたのであろうか?
土に埋まっている死体の在処、しかも桜の木の下と断定して発言できるのは、
死体を隠した犯人か、霊能者か、西行法師くらい。
栗木は西行法師でも霊能者でもなさそうなので
木下の父親の死体を隠した犯人は、栗木なんである。
栗木は死体の隠し場所をわざと教えて、木下を罠にはめる。
木下に自宅の桜の木の下を掘らせて、
そこに殺した銭湯のおばちゃんを入れて、
あたかも、木下がおばちゃんを殺して土に埋めているかのように仕向けた後、
警察に通報すれば木下は殺人罪及び死体遺棄罪で逮捕される。
栗木は木下を苦しめたくて仕方がなかったのである。