今、自殺名所兼心霊スポットの廃ビルに来ている。
俺は某週刊誌の新米記者で、心霊スポット取材のためにここを訪れることになった。
正直な話、怖いのは大の苦手なんだが、先輩から勧められて断ることが出来なかった。
これが終わったら、もうこの手の取材は二度とやらないと心に誓おう。
このビルは8階建てのオフィスビルで、東側に階段、西側にエレベーター、それを繋ぐ廊下に同じサイズの部屋が3つ隣接する間取りになっている。
デスクなどは一切なく剥がれた壁紙からコンクリートが剥き出しだ。
噂によると、ここで自殺したこの会社の社員が出る……とのことだ。
廊下一本しかないこの場所で幽霊になんて出くわしたら、逃げ場がないじゃないか。
出ないことを必死に祈りながら、懐中電灯片手にゆっくりと歩を進める。
まずはエレベーターから調べてみよう。
これが動けば、逃げ道が増えるだろうし、上の階からすぐに一階に降りられる。
埃を被ってざらついた上向き三角のボタンを押す。
すると電光板の8階が点灯し、すぐに消えてしまった。
やはり動かないか……参ったな……
仕方ないので、階段を昇って2階、3階と各フロアを調べていく。
どのフロアも変わらず何もない。
あっても不良の落書きくらいか。
時折吹き抜ける真冬のすきま風が異様に冷たく感じる。
東から西まで各部屋調べ階段を昇る、という単調な作業を繰り返し、ようやく7階に着いた。
良かった、もうすぐ帰れる……
そんな安堵から、少し気が楽になり足早になる。
そして7階の西側の部屋に入ろうとする。
『コツン』
俺は鳥肌が立った。
足音だ。
しかもヒール……警備員のはずがない。
『コツン』
音は階段から、少しずつ上がってきている。
どうしよう。逃げ場がない。
『コツン』
考えてる内にも乾いた反響音がこのフロアに近付いてくる。
ダメだ、逃げなきゃ。
『コツン』
慌てて駆け出し、エレベーターの扉に張り付き下ボタンを連打した。
すぐに「ポーン」という電子音がし、扉が開いた。
俺はエレベーターの扉の中に転がり込んだ。
俺は某週刊誌の新米記者で、心霊スポット取材のためにここを訪れることになった。
正直な話、怖いのは大の苦手なんだが、先輩から勧められて断ることが出来なかった。
これが終わったら、もうこの手の取材は二度とやらないと心に誓おう。
このビルは8階建てのオフィスビルで、東側に階段、西側にエレベーター、それを繋ぐ廊下に同じサイズの部屋が3つ隣接する間取りになっている。
デスクなどは一切なく剥がれた壁紙からコンクリートが剥き出しだ。
噂によると、ここで自殺したこの会社の社員が出る……とのことだ。
廊下一本しかないこの場所で幽霊になんて出くわしたら、逃げ場がないじゃないか。
出ないことを必死に祈りながら、懐中電灯片手にゆっくりと歩を進める。
まずはエレベーターから調べてみよう。
これが動けば、逃げ道が増えるだろうし、上の階からすぐに一階に降りられる。
埃を被ってざらついた上向き三角のボタンを押す。
すると電光板の8階が点灯し、すぐに消えてしまった。
やはり動かないか……参ったな……
仕方ないので、階段を昇って2階、3階と各フロアを調べていく。
どのフロアも変わらず何もない。
あっても不良の落書きくらいか。
時折吹き抜ける真冬のすきま風が異様に冷たく感じる。
東から西まで各部屋調べ階段を昇る、という単調な作業を繰り返し、ようやく7階に着いた。
良かった、もうすぐ帰れる……
そんな安堵から、少し気が楽になり足早になる。
そして7階の西側の部屋に入ろうとする。
『コツン』
俺は鳥肌が立った。
足音だ。
しかもヒール……警備員のはずがない。
『コツン』
音は階段から、少しずつ上がってきている。
どうしよう。逃げ場がない。
『コツン』
考えてる内にも乾いた反響音がこのフロアに近付いてくる。
ダメだ、逃げなきゃ。
『コツン』
慌てて駆け出し、エレベーターの扉に張り付き下ボタンを連打した。
すぐに「ポーン」という電子音がし、扉が開いた。
俺はエレベーターの扉の中に転がり込んだ。