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意味がわかると怖い話2962 「廃ビル」

2019年12月24日 09時40分20秒 | 意味がわかると怖いコピペ
今、自殺名所兼心霊スポットの廃ビルに来ている。

俺は某週刊誌の新米記者で、心霊スポット取材のためにここを訪れることになった。

正直な話、怖いのは大の苦手なんだが、先輩から勧められて断ることが出来なかった。

これが終わったら、もうこの手の取材は二度とやらないと心に誓おう。

このビルは8階建てのオフィスビルで、東側に階段、西側にエレベーター、それを繋ぐ廊下に同じサイズの部屋が3つ隣接する間取りになっている。

デスクなどは一切なく剥がれた壁紙からコンクリートが剥き出しだ。

噂によると、ここで自殺したこの会社の社員が出る……とのことだ。

廊下一本しかないこの場所で幽霊になんて出くわしたら、逃げ場がないじゃないか。

出ないことを必死に祈りながら、懐中電灯片手にゆっくりと歩を進める。

まずはエレベーターから調べてみよう。

これが動けば、逃げ道が増えるだろうし、上の階からすぐに一階に降りられる。

埃を被ってざらついた上向き三角のボタンを押す。

すると電光板の8階が点灯し、すぐに消えてしまった。

やはり動かないか……参ったな……

仕方ないので、階段を昇って2階、3階と各フロアを調べていく。

どのフロアも変わらず何もない。

あっても不良の落書きくらいか。
時折吹き抜ける真冬のすきま風が異様に冷たく感じる。

東から西まで各部屋調べ階段を昇る、という単調な作業を繰り返し、ようやく7階に着いた。

良かった、もうすぐ帰れる……

そんな安堵から、少し気が楽になり足早になる。

そして7階の西側の部屋に入ろうとする。

『コツン』

俺は鳥肌が立った。

足音だ。

しかもヒール……警備員のはずがない。

『コツン』

音は階段から、少しずつ上がってきている。

どうしよう。逃げ場がない。

『コツン』

考えてる内にも乾いた反響音がこのフロアに近付いてくる。

ダメだ、逃げなきゃ。

『コツン』

慌てて駆け出し、エレベーターの扉に張り付き下ボタンを連打した。

すぐに「ポーン」という電子音がし、扉が開いた。





俺はエレベーターの扉の中に転がり込んだ。




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